「歌、ダンス、演奏、お芝居、モデル、お笑いなどに一度挑戦した人」だけでなく「挑戦したかった人、今から目指したい人」にも扉を開き、応募資格もほぼ「25歳以上」のみ。「開かれたオーディションを開催し、選ばれた喜びから、初めての挑戦、成長していく姿のすべてを目の当たりにしてもらおう」というプロデュースの方針は共通している。

しかも同プロジェクトも“avex×JME×Y&N brothers”という強力な枠組みで行われた。単純に自分のプロデュース力で勝負するのではなく、劇場やテレビ出演などの実践的な場をしっかり確保しているところはさすがであり、プロデューサーとしての親心にも見える。

そのSHOW-WAとMATSURIは全国のイオンモールツアーからはじめて、平日昼の帯番組『ぽかぽか』(フジ系)での生歌唱、早いタームでのリリースとイベント開催、全国ツアーなど、デビュー以来多忙な日々を過ごし、着実に人気グループへの階段を上がっている。

アラサー&アラフォーの男性グループ、セカンドチャンスをつかむためのオーディション、昭和ムードの楽曲……と言えば、4月8日にデビューしたばかりのモナキが現在メディアを席巻しているが、彼らがいきなりブレイクしたきっかけはSNSを中心とするネット戦略だった。

つまり、純烈のリーダー・酒井圭一がプロデュースするモナキの戦略は、テレビ出演と矢継ぎ早のリリースやイベントで勝負してきた秋元康のプロデュースとは真逆と言っていいだろう。

さらにそのネット戦略の有効性は、女性アイドルグループシーンを席巻する「KAWAII LAB.」のFRUITS ZIPPER、CANDY TUNE、CUTIE STREETらを見ても現在の主流であることは間違いないところ。しかし、秋元康は「いかにいい曲を作り、ライブでファンに届け、テレビなどで広く知ってもらうか」を追求している。だからこそ秋元康のプロデュースは瞬間風速の強さに頼らない「派手に見えて実は地道」なものなのかもしれない。

楽曲のプロデュースにほぼ専念か

秋元康のプロデュースに関するニュースが報じられると必ずと言っていいほど「作りっぱなし」「切り捨て」などの辛らつなコメントが書き込まれる。

しかし、プロデューサーと言えども、グループアイドルのすべてで関わるのは不可能だろう。秋元康で言えば企画やコンセプト構築のほかは楽曲メインとなり、各現場におけるマネジメントは多くのスタッフが関わっている。たとえばSHOW-WAとMATSURIのイベントに行っても秋元康プロデュースというムードはほとんど感じないし、ファンたちもそういう目では見ていない。

ましてや秋元康は5月2日の誕生日で68歳になる高齢だけに、現場のスタッフに任せるのは当然だろう。自身がプロデュースした過去の曲や、セリフを入れた流行りのバズリ曲などと比べられる難しさと戦うためにも、自分の仕事に専念しているのではないか。

また、「プロデューサーという肩書きだけで批判を受けやすい」という点では、そんなつらいポジションを取ることで若手・中堅のスタッフを守っているようにも見える。さらに言えば、「秋元康プロデュース」というフレーズで守っている間の成長やトライをうながしているのかもしれない。

そんな姿勢はドラマでも同様であり、『10回切って倒れない木はない』に関しても「企画を立ててからは日本テレビの優秀なドラマチームに全てお任せした」と語っていた。重要であり、自信のある企画やコンセプト構築に専念し、あとは他のスタッフに任せているのだろう。

秋元康がプロデュースするアイドルグループは戦略も楽曲もどこか昭和の香りを残しながら、時代の変化に対応しようとする姿勢がうかがえる。一見AKB48と同じように見えるCloud tenのプロデュースも、これまでの経験を生かしつつ、新たな試みを加えたものになっていくのではないか。