――改めて、町田さんと言えばテレ東日曜深夜の坂道3番組を全部手がけられていますが、どのような経緯で担当することになったのですか?
先ほども出ましたケイマックスの長尾さんに声をかけてもらいました。僕は特にアイドル好きというわけじゃなかったんですけど、当時『HEY! HEY! HEY!』(フジテレビ)をやっていて音楽業界には一応明るかったので、音楽好きの作家ということで呼ばれたんじゃないかなと思います。
――最初の『乃木坂って、どこ?』がスタートしたのが2011年ですから、すっかり長寿番組になりました。
当時、女性アイドルって刹那的な存在だったし、アイドル番組も1年ぐらいで終わるような時代でしたから、まさかこんなに長く続くとは思ってなかったです。乃木坂46自体もこんな巨大グループになるなんて想像もできなかったですよ。
――スタート当時は、作家さんとしてどのようなミッションがあったのですか?
僕は『乃木どこ』に2年目から入ったのですが、ファン以外の多くの人にも観てもらえる番組にしたいとのことだったので、なるべく内輪にならないよう気を付けてはいます。この番組は、グループのプロモーション的な役割も担っているので、メンバー一人ひとりの新しい魅力やキャラクターを引き出せたらいいなと思っています。
――やはり他のバラエティとアイドル番組への臨み方は違うものなのですか?
基本的には普通のバラエティ番組と変わらないですね。そもそもケイマックス自体がお笑い野武士集団のような会社なので(笑)
――『内P(内村プロデュース)』をやってた制作会社さんですもんね。
『内P』とか『「ぷっ」すま』とか、ザ・バラエティを作っていた人たちなので、そんなスタッフとアイドルという掛け算が良い化学反応になったんじゃないかと。僕ら作家もアイドルだからと言って緩い企画を出すことはないです。他の芸人バラエティと同じスタンスで臨んでます。
――スタンスが変わらないのに、それに応えられるポテンシャルをアイドルの皆さんが持っていたのは驚きでしたか?
でも、決して彼女たちが最初からバラエティスキルが高かったわけではなくて、現場のディレクターやMCの皆さんに鍛えられたんです。バナナマンさん、土田(晃之)さん、澤部(佑)さん、オードリーさんという一線級の芸人さんたちがいわば毎回千本ノックをやってくれてるようなものなので、そりゃスキルは上がっていきますよね。
――アイドル番組を手がける中で、これまでの経験が生きる部分はありますか?
同じケイマックスの『「ぷっ」すま』は大きいですね。草なぎ(剛)さんもユースケ(・サンタマリア)さんも、芸人さんと違って自ら笑いを取りにいく必要がない人たちです。その中で、笑いが自然に生まれる企画やテロップなどの編集によって面白く見せる技術を学びました。
プロ野球の二軍監督のように「今この子が仕上がっていますよ」
――坂道グループで、最近特にバラエティでの輝きを感じるのは、どなたになりますか?
乃木坂の弓木奈於さんや櫻坂の武元唯衣さんが外番組に多く呼ばれるのは分かりますよね。個人的には増本綺良さんの才能も早く世間に見つかってほしいです。あとは、最近テレ東でやっていた『放送作家松田好花』とか、おそらく『ひなあい』を見て企画してくれたんだと思いますが、ああいう番組発のキャラクターが一人歩きしていくのはうれしいですね。
あと、あれだ、乃木坂の林瑠奈さんがAmazonの『THEゴールデンコンビ』で千鳥さんの横のアシスタントに大ばってきされたのもすごいですよね。おそらく芦田(太郎、元テレビ朝日・現Amazon)さんだと思うのですが、よくぞ林さんのポテンシャルを見いだしてくれたと思いましたね。結局、何かを発信していれば誰かが見ていてくれるんですよ。
――『オールスター後夜祭』のMCに高山一実さんが抜てきされたりとか。
そうそうそう! 立派になられてうれしいですよ。昔、『乃木坂46時間TV』という番組で高山さんに司会をお願いしたら、「私は司会なんて自信がない」と弱音を言っていたのを懐かしく思い出します(笑)。その頃から僕らはできると信じていました。高山さんで思い出したけど、卒業後のメンバーの近況についても会議でよく話題になって、「いい人と結婚して良かったね」とか、みんな親戚のおじさん状態です(笑)
――町田さんが他の番組の会議で、坂道のメンバーをおすすめすることもあるのですか?
はい。最近はTVerの再生数が重要視される傾向もあるので、ファンの熱量が高い坂道メンバーをキャスティングする機会も増えてきました。そうした時には、なるべく適材適所なメンバーを送り込むようにしています。プロ野球の二軍監督のように「今この子が仕上がっていますよ」と最新情報をお届けしています(笑)
――それはどの番組も情報が欲しいですよね。
一方で、メンバーのポテンシャルと関係なく、「どうやら坂道が数字あるらしいから誰でもいいからキャスティングしよう」という番組は萎えますね。そういうのはファンにも見透かされてると思うし。「この企画にはこの子の要素が合ってるからキャスティングしたい」というのが望ましいから、その一端を担えるように少しでもお役に立てればと思っています。
――3番組をやりながら、テリハさんの『サクラミーツ』(テレビ朝日)も担当される中で、どう差別化するかは大きなテーマですよね。
そうですね。基本的に坂道3番組は何でもありバラエティなので、ほとんどの企画は網羅しています。だから小山さんに相談された時に、まだやってなかったコントはどうだろうという提案はしました。『サクラミーツ』はまだ見ぬ芸人さんたちとの化学反応で差別化をしていきたいと思っています。