3つ目のリストは、ミス東大グランプリ。制作サイドは、「知性と美ぼうを兼ね備えるミスキャンパスの最高峰・ミス東大。この肩書きがあれば日本一の才色兼備とのお墨付きがあるも同然」「圧倒的な学力を生かすに進んだのか、それともタレント性を生かした道に進んだのか」とリスト作成の必然性を訴えていたが、いかにも『東大王』を放送しているTBSらしいチョイスだった。

2020年の神谷明采は在学中で芸能事務所に所属しているが、「卒業後は入社倍率600倍の世界銀行に行きたい」という。

2019年の上田彩瑛は在学中で芸能事務所に所属しているが、卒業後は医師の道を予定。

2018年の西村若菜は卒業後の進路未定で、「ミス東大の肩書きは目を引くけれど、勝手に期待されて勝手に幻滅される。それを凌駕(りょうが)するのは難しい」と悩みを明かした。

2017年は取材NG。

2016年の篠原梨菜は現在TBSのアナウンサーであり、根暗な高校時代は人と話さなくていい薬剤師か研究職などに就こうとしていたが、「自分を変えるためにミス東大に出て180度変わった。勇気を出してチャレンジしてよかった」と語った。

2015年、2014年、2012年は取材NG。2013年の澤田有也佳と2011年の諸國沙代子はそれぞれABCテレビ、読売テレビのアナウンサーになっていた。2010年の加納舞は外資系証券会社で営業職を担い、ミス東大の肩書きをきっかけに100億円などの巨額取引きもあり「一生モノのネタ」と笑顔を見せた。2009年の池田麻衣子はアナウンサーになりたかったが「ミス東大の肩書きは通用しなかった。加藤綾子さんらに圧倒され、勝ち目ないな」などと語った。

2008年は取材NG。2007年の中井裕子は夫の仕事でボストンに移住。「その夫はミスター東大」「世帯年収4,000万円くらい」であることが明かされ、「当たり前だがやはりミスター東大のその後もすごかった」というオチのナレーションで終了した。

ちなみに現在も活躍中の三浦奈保子はこの年の準ミスで、八田亜矢子は2004年のグランプリ。このあたりはあえてピックアップしなかったのかもしれないが、期待していた人は拍子抜けしたのではないか。

■繊細さを求められるリスト作り

ミス東大で5人が「取材NG」だったように、現在エンタメなどの人気商売に携わっていない一般人は「『浮ついている』『自慢したいだけ』『過去の栄光にすがってみっともない』と言われたくない」と出演を避ける人も少なくないだろう。だからこそ「取材NG」ばかりにならないようなテーマ設定は、“ピックアップ”ではなく“リスト”を前面に押し出した当番組の難しさだ。

リストのテーマは、スポーツなら高校生の全国大会がテレビ放送される野球とサッカー以外は工夫が必要ではないか。その他では、音楽賞、映画祭、タレントオーディションなど、1位を決めるものなら基本的には何でもいいのかもしれない。ただ、リストの顔ぶれは、一般的に知られすぎていても「当たり前」、知らな過ぎていても「別に」などと、どちらも興味が誘えずに見てもらいづらく、そのさじ加減が難しそうだ。

最後に「第14回全日本国民的美少女コンテストグランプリ」という肩書きについて聞かれたスタジオの高橋ひかるが「うれしい反面、やっぱり重く感じることはいっぱいあったので、いつかその肩書きを取って……」と話し、ヒロミが「その肩書きがなく呼ばれるのも喜びだもんね」と合いの手を入れると、高橋が「そうですね」と語って番組は終了した。

これは人生賛歌の余韻を残すとともに、次回への布石なのだろうか。もし次回放送で「全日本国民的美少女コンテスト」などの芸能事務所オーディションが扱われるのなら楽しみだ。日本人は“ランキング”と同じくらい“リスト”が好きなだけに、スタッフの仕事次第では、テレビらしいスケールのあるコンテンツを視聴者に届けられる。そんな期待感は確かに感じられた。

■次の“贔屓”は……異色ドラマの登場人物がグルメロケへ『よだれもん家族SP』

『よだれもん家族SP』に出演する大竹一樹(左)と松尾諭

今週後半放送の番組からピックアップする次回の“贔屓”は、25日に放送されるテレビ東京のバラエティ特番『よだれもん家族SP 間野一家チートデイ幸せ口を探せ!』(16:00~)。

『よだれもん家族』は、今春から毎週日曜11時台に放送されている“お取り寄せ”がテーマのグルメドラマで、25日に最終話が予定されている。今回ピックアップした理由は、同日夕方16時から登場人物がグルメロケを行うバラエティが放送されるため。

これは、テレ東がシルバーウィークの9月19日~25日で行っている「~テレ東系 食べる1週間~食べ東 世界を幸せ口にする」というグルメキャンペーンの一環であり、キャンペーンもドラマも企画などで秋元康が絡んでいる。グルメドラマ、グルメバラエティの両者に新たな可能性を広げるものになるのか、異色かつ意欲的な取り組みであり興味深い。