中山競馬場を訪れている今回の「競馬場の歩き方」。前編では「がぶりチキン」を食べ逃すという痛恨のミスに見舞われるなど、ツキに見放されてしまった。しかし、ここは鉄火場・競馬場。何か運気を上げる食べ物はないかと探したところ、競馬場ならではのB級スイーツを発見した。

  • 中山競馬場

    取材当日、中山競馬場では秋のG1レース開幕戦となる「スプリンターズステークス」を開催していた

G1観戦の際にはぜひとも食べたい1品

中山競馬場内をさまよい、たどり着いたのはスタンド1階の「らぁめんや楽」。ラーメンメニューが書かれた看板のなか、「G1焼き」(150円)なる文字が目に止まった。見た感じでは、馬の絵が書かれた大判焼きのようだが、さっそく店主に話を聞いてみた。

  • 中山競馬場の「らぁめん楽」

    「らぁめん」(680円)や「もつ串」(200円)などを取り扱う「らぁめんや楽」。前編で取り上げた「スティックハウス パドックV」に隣接している

――すいません、お店はいつオープンしたんですか?

「今年の8月17日なので、できたばっかりですね」

――そうなんですね。メニューに「G1焼き」なるスイーツがあるようですが、ラーメン店としては異質な気もしますね?

「もともとは『ナッキーモール』(船橋法典駅と中山競馬場をつなぐ地下通路)でG1焼きを販売していたんです。そこに工事が入ることになり、G1焼きをなんとか残せないかと考えました。私たちはもともと、大井競馬場でラーメン店を経営していたのですが、G1焼きとラーメン店を合体させて、ここ中山で新たにお店を開いたんです」

――では、お店は新しくても、G1焼きの歴史は古いわけですね。

「東京競馬場で2000年に販売を開始して、中山競馬場では2002年から販売していたと記憶しています。ほかの競馬場でたい焼きを販売していたこともあり、馬の刻印を押したりしてオリジナルの形で販売したら面白いんじゃないかと思って始めました」

――「G1焼き」と「プレミアムG1焼き」(170円)の違いは何でしょうか?

「G1焼きはあんことクリームの2種類ですが、プレミアムG1焼きは季節のあんを取り入れています。例えば春だったらイチゴ、秋はマロンクリーム、冬はチーズやチョコレートといったように、フレーバーを月ごとに変えています」

  • 中山競馬場の「G1焼き」

    G1の文字が刻印された「G1焼き」。食べると、馬券も当たりそうな気がしてくる

お店で1番人気という「G1焼き」のあんこをチョイスし、ゴール前へと移動。レースを見ながらじっくりと味わってみる。割ってみると、皮の中にはたっぷりのあんこが。さっぱりとした甘さも食べやすく、丁度いい塩梅だ。

  • 中山競馬場の「G1焼き」

    3cmぐらいはありそうな厚みの中にぎっしりと詰まったあんこ。ボリュームも申し分ない

手に汗握る約70秒間の戦い

絶品スイーツで運気をアップさせたところで、本日のメインレースとなるG1スプリンターズステークスの時間が迫ってきた。ちなみに、1,200mの距離で争われるこのレースは、1着賞金1億1,000万円をかけた秋の短距離王決定戦だ。勝利することが条件だが、馬主であれば、わずか70秒ほどで大金を手にすることができる。

  • ダノンスマッシュ

    単勝2.8倍の1番人気に押されたダノンスマッシュの本馬場入り。少し発汗しているように見えるが果たして

15時40分、駆けつけた3万人を超えるファンが見守るなかレースはスタート。好スタートから逃げた3番人気のモズスーパーフレアが粘り込みを図るところを、2番人気のタワーオブロンドンがゴール直前で差し切り、G1初勝利を飾った。1番人気のダノンスマッシュは、さらにその外を追い上げるも3着でレースを終えた。

  • クリストフ・ルメール

    見事に勝利を飾り、鞍上のクリストフ・ルメールもガッツポーズ

あっという間の電撃のスプリント戦を終え、歓喜の声やため息が入り混じる中山競馬場。熱戦を繰り広げて戻ってくる各馬に、観客は惜しみない称賛を送っていた。ラグビーと同じく、レースが終わればノーサイドといった印象だ。

これから年末にかけて、競馬場ではほぼ毎週、ビッグレースが開催される。この機を捉えて、競馬場を巡ってみるのも楽しいだろう。

著者情報:安藤康之(アンドウ・ヤスユキ)

フリーライター/フォトグラファー。編集プロダクション、出版社勤務を経て2018年よりフリーでの活動を開始。クルマやバイク、競馬やグルメなどジャンルを問わず活動中。