今年も残すところ約1週間。この一年、みなさんはどんな年だっただろうか。私は四十路を前にして、あれは今年のことだったか、それとも去年、いや一昨年……と記憶が混線してきているのだが、読者の方にももしかしたらそんな方が多いかもしれない。この連載でのそばも183杯目を迎え「この店は以前取り上げたか?」問題が加熱してきており、ここ最近はその都度検索を叩いている始末である。

  • 「鶏天極上太麺そば」(530円)(写真:マイナビニュース)

    「鶏天極上太麺そば」(530円)

さて、今回は久しぶりに東京の東の方に出かけてみた。JR日暮里駅から京成線に乗り換え「関屋」で下車、改札徒歩0分、足立区の立ち食いそば屋「雑賀屋」である。「さいかや」と読み、関屋や北千住などでいくつかの居酒屋店を持つグループの一店舗だ。早朝から24時まで営業、しかも無休。朝食から飲みの後のシメまで幅広い需要を担っていることと思う。真冬でも店頭にテーブルとスツールが数脚出されている様子は、駅前でも一際目を引く。看板や提灯、のぼりや張り紙が入口を賑わしている。引き戸には「子育て応援」として3歳以下の子供用そばは無料、なんていうのも目に入った。

著名人も唸る立ち食いの名店

午前9時半頃、入店。先客はいなかったが、この後2~3人の客が続いた。店内は立ち食いオンリーのカウンター形式。右手に券売機がある。名物と思しき極上太麺そばをはじめとして、穴子天や牡蠣そば、担々麺、排骨麺、麻婆丼やカツカレーなど、そばうどんを中心とした食堂のようなラインナップにも見える。2軒隣には同グループの居酒屋もあるようだが、こちらでもアルコールの販売あり。オーダーは「鶏天極上太麺そば」(530円)をチョイス。

食券を出し、2~3分待つ。その間に店内を観察すると、注文した同メニューはテレビにも取り上げられたことがあるそうで、多数のモデルや俳優、芸人さんの顔が壁に貼られていた。また「食べログ 話題のお店」として「立ち食いそば屋なのに」足立区で6位、北千住で4位になったよ、という紙も。地域に根ざしつつもメディアとも共栄をはかる、個人的に好きなタイプのお店だ。

丼を覆うアツアツのジャンボ鶏天を頬張る

そばが到着。丼をほぼ覆ってしまうほどのジャンボサイズ鶏天はアツアツでジューシー。衣だけでなく、鶏肉の脂がツユに染み出していて、美味い。さらにこのそばは、鶏天だけが魅力ではない。まるできしめんのように麺打ちされたそばは、モチモチでコシがある。少し縮れた麺は味絡みも良く、初めて経験する食感だ。脇には細く刻まれたネギが添えられており、さっぱりとした口当たりで揚げ物とのバランスを上手にとっている。ツユも魚介ダシ強めで、塩味は濃くなく、大変食べやすい。店の看板メニューとして申し分ない味だった。

  • 「関屋」改札徒歩0分の立ち食いそば屋「雑賀屋」

最後の一滴まで飲み干した、一年を締めくくるに相応しい一杯。時間帯を変えれば、活気あふれる下町の社交場にもなるのだろう。東武スカイツリーライン「牛田」駅の目の前でもあり、アクセスも上々。ぜひ年内に一度、味わって頂きたい味だ。

著者:高山洋介

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作