さて、今回は池袋駅から東武東上線に揺られ、「大山」駅まで"そば巡り"の足を伸ばした。午前9時、下りの東上線はゆったりとしており、駅前でただそばを食べて帰るだけ、というのがいくら仕事とはいえどもなんだか心苦しい。店は、南口改札出たところ、駅の売店に隣接する駅そばの「文殊 大山店」である。

  • 大山「文殊 大山店」で、正真正銘の揚げたて天ぷらがのった「春菊そば」を賞味

    「春菊そば」に「ちくわ天」トッピング(410円+110円)

玉子の無料サービスに心躍る

「文殊」はこれまでも何度か紹介しているローカルチェーンのひとつで、立ち食いはなく、全席着席式であるがわずか5席の小さな店だ。店外に券売機とオススメメニューのサンプルが置かれたテーブルが出ている。外から見たところ、先客はない。「駅そば」ということもあって、券売機は交通系ICカード対応。

温冷に分かれて、きつねやたぬき、わかめ、とろろなど安心の顔ぶれ。さらに文殊といえばやはり天ぷらメニューだ。かき揚げをはじめとして、海老天、なす天やイカ天、ごぼう天、コロッケなど豊富な取り揃えである。自家製麺の茹でたて、天ぷらの揚げたてにこだわる当店ではぜひ天ぷらを食したい。注文したのは「春菊そば」に「ちくわ天」トッピング(410円+110円)。天ぷらダブルのせの贅沢コンボである。

ガラガラと店内に入るとカウンターを挟んで、店主の気持ちのいい挨拶。食券を置き、左手の給水機で水をくみ、一番右端の席へ。中央に席を構えてしまうと、お互い身動きが取りづらい少々不便な位置取りになるためだ。注文してから調理するシステムなので、暖かい店内でAMラジオのニュース番組を聞きながら水を飲んで待つ。しばらくすると店主から「玉子は生ですか? 茹でですか?」の問い。「あ、生でお願いします」と答える。月見は頼んでいないよと思ったが、そういえばこちらは玉子のサービスがあるのだった。天ぷらだけの丼に嬉しい花が咲いた。

揚げたてサクサクの天ぷらに大満足

約3分ほどで完成。揚げたての天ぷらは、正真正銘揚げたてで、丼の中でパチパチと油が弾ける音がするほどだ(ちょっとこわい)。当然ながら歯ざわりはサクサク。春菊天はかき揚げ型で、葉の青みと茎の甘みが絡み合う丁寧な逸品。老若男女みんなが好きなちくわもアツアツでボリューム十分。ツユにひたしてよし、生玉子と絡めてよし、また一風変わった味変を楽しめる。さらに文殊といえばこの細麺。舌触りよく、上品なかつお出汁と相まって香りも大変よい。かけそばで十分勝負できるレベルの味だ。

  • 「大山」駅南口を出てすぐの「文殊 大山店」

文殊の本店は両国だが、この大山店をはじめとして志村三丁目や成増にもあり、板橋区民にとってはメジャーなファストフードになるのかもしれない。この連載で取り上げたのはこれが3店目。全店制覇を目指し、また次の一軒を目指す。

著者:高山洋介

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作