ラジオ業界に関わる様々な人を掘り下げる連載「ラジオの現場から」。記念すべき1人目に登場するのは放送作家の鈴木おさむ氏だ。数々の人気バラエティ番組を手掛けてきただけに、「鈴木おさむ=テレビのバラエティ番組」というイメージが強いが、放送作家生活を始めた当初はラジオが仕事の中心だった。

現在は『JUMP UP MELODIES TOP20』(TOKYO FM)のパーソナリティとしても活躍している鈴木氏に、リスナー時代からラジオライフを改めて振り返ってもらった。放送作家を志した彼は10代でラジオの現場に飛び込んでいく――。

■「好きだったのはやっぱりとんねるずさんですね」

  • 鈴木おさむ氏

    鈴木おさむ氏

――学生時代からラジオは好きだったんですか?

かなり聴いてました。僕らの頃の1番は『オールナイトニッポン』(『ANN』)。好きだったのはやっぱりとんねるずさんですね。

――年齢的にはビートたけしさんのANNにも間に合ってますよね?

実は僕、たけしさんの『ANN』はそんなに通ってないんです。たけしさんのリスナーの中心は僕らよりもうちょっと上の世代の人たちなんですよね。僕らが中学の時はとんねるずさんが中心。ウッチャンナンチャンさんも始まってましたね。

僕が1番聴いてた時は月曜日がデーモン小暮さん、火曜日がとんねるずさんで、水曜日が藤井フミヤさん、木曜日がたけしさんから古田新太さんに代わった頃です。金曜日で1番聴いてたのは鴻上尚史さんが終わったあとのウッチャンナンチャンさん。そんなラインナップですかね。深夜3時からの2部はあまり聴いてなかったかなあ。1部を聴きながら寝ちゃうことが多かったです。

■『ウッチャンナンチャンのANN』イベントにも参加

  • ウッチャンナンチャンの内村光良(左)と南原清隆

――『ウッチャンナンチャンのANN』にはハガキも送っていたそうですね。

高2の時、「タコイカじゃんけん」コーナーに送ったら読まれて、常連が出演する大磯ロングビーチのイベントに行ったことあるんです。自分でネタを読んで対決したんですよ。ニッポン放送はそういうイベントはあんまり番組内でちゃんと紹介しないから、電波には乗ってないと思うんですけど。

――ちなみにラジオネームはあったんですか?

「鈴木おさむ」だったと思います。今にして思うと、「毎回聴いてます!」とかウンナンさんに言ってて、モロ痛いヤツですよね(苦笑)。だから、ラジオのイベントで僕にも言ってくれる人がいるんですけど、昔の自分を見ているみたいな懐かしい気持ちになります。

■放送作家を目指したキッカケ、ラジオの影響も

――鈴木さんが放送作家を目指したキッカケを話す際に、いつも『夢で逢えたら』(フジテレビで放送されていたダウンタウン、ウッチャンナンチャン、清水ミチコ、野沢直子出演のコント番組)を挙げていますが、ラジオの影響もあったんでしょうか?

めちゃくちゃありますね。ラジオって僕らのちょっと前の世代だと“マイクの向こうに話しかける”という感じのパーソナリティが多かったんですよ。その後、僕がニッポン放送でお仕事させてもらった時にも、いろんなタイプのパーソナリティやスタッフがいましたけど、やはり「ラジオの前のリスナーに話しかけるんだよ」と言う人が結構いたんです。でも、僕はそういうのがあんまり好きじゃなくて、どちらかというと、とんねるずさんの“部室の中に自分もいる”という感じがすごい好きでした。

たけしさんもそういう匂いがあるじゃないですか。作家の高田文夫さんも超笑うし。その部室の中に連れていってくれるという。『夢で逢えたら』からもラジオのように“作家臭”がして、「その奥に行きたい」「その部室に自分も行きたい」と感じました。ラジオは強烈にその感覚を僕に教えてくれましたね。