ラジオ業界に関わる様々な人を掘り下げる連載「ラジオの現場から」。記念すべき1人目に登場するのは放送作家の鈴木おさむ氏だ。彼のラジオにおける作家活動を振り返るうえで、木村拓哉は欠くことのできない存在である。今回は出会った時の印象やパーソナリティとしての魅力、さらには鈴木が考える今後のラジオ界についてざっくばらんに語っていただいた。

■木村拓哉の魅力は「ラジオで嘘をつかない」

  • 鈴木おさむ氏

    鈴木おさむ氏

――TOKYO FMとの関わりは、95年に始まった木村拓哉さんの『What's UP SMAP!』を担当される時から始まりますが、衝撃的なのは、最初に木村さんとお会いした時に「『夢がMORI MORI』が嫌いだ」と伝えたそうですね。

僕は『夢がMORI MORI』が大嫌いで。なぜなら、その前にやっていた『夢で逢えたら』が大好きだったんです。そのあとの番組で「夢」が付いてるから、さぞや面白いんだろうなと思ったら、自分のイメージと違って、「なんだよ、これは」みたいに思ってて(笑)。で、木村君に会った時に「『夢MORI』が嫌いなんですよ」って。たぶん最初に交わした会話の10ターン以内には言ったんですよ(笑)。たぶん当時木村君は同世代の作家とは仕事したことなかったはずだから、すぐに意気投合できたんだと思います。

――最初の印象はどんな感じでしたか?

木村君と会う前に、光GENJIのイベントの仕事をしてたんですけど、まさにジャニーズという印象だったんですね。そのイメージがあったんですけど、木村君は真逆で。ニュートラルという感じだったので、すごくびっくりしました。

――「男に聴かせるラジオ」にしたいというコンセプトを考えていたそうですね。

それは本人も言ってましたね。番組の中でコントっぽいこともやったりして。のちの『SMAP×SMAP』に繋がる部分もありました。

――ラジオパーソナリティとしての木村さんはどんなところに魅力があると思いますか?

ラジオで嘘をつかないというか。真摯に取り組むし、その姿勢は素晴らしいと思いますよ。今は『Flow(supported by GYAO!)』をリスナーとして聴きますけど、嘘がないというか。手を抜かないし、本気なんですよね。

■中居正広は「ラジオの使い方が上手いなと思う」

――元SMAPの他のメンバーを、ラジオ的な喋り手として見るとどうでしょう?

(稲垣)吾郎ちゃんの『THE TRAD』はめっちゃ聴きやすいです。あの世代というのもありますけど、言葉が1個ずつ丁寧で、伝わってきますよね。中居(正広)君はラジオというチャンネルを自分で持ってますよね。ラジオと他とで発信することをちゃんと分けているし、使い方が上手いなと思います。

(香取)慎吾君は天才なんで、「それは上手いでしょう!」という感じ。(草なぎ)剛君と一緒に『ShinTsuyo POWER SPLASH』をやっているじゃないですか。あの2人の距離感でやっているのがまたいいですよね。剛君も1回『ANN』をやったんですけど、その時もめちゃくちゃよかったです。彼らは1人でやってないですけど、やったらめちゃくちゃいいと思いますよ。

――今、構成としてかかわっているラジオはあるんでしょうか?

今はないですね。

■リスナーとして聴くTOKYO FM

――リスナーとして聴いている番組は?

TOKYO FMはよく聴いてますね。『Skyrocket Company』を一番聴くかな? マンボウやしろくんは高校の後輩ですけど、彼のラジオは聴きやすいですよね。楽しいラジオが好きです。山下達郎さんの『サンデー・ソングブック』も毎週聴いています。本当に至極の音楽を届けてくれるので仕事のBGMとしてもいいんですよ。ほかには桑田佳祐さんの『やさしい夜遊び』。『あ、安部礼司』も僕ら世代の曲がかかってくるんで、聴いちゃいますね。

最近好きなのはリリー・フランキーさんの『スナック ラジオ』。どうしようもないですね、あのラジオ(笑)。すごくいいです。シモネタばっかり言って本当に昔から変わってないですけど、あれを16時から放送しているというのもいいです。不定期ですけど、村上春樹さんの『村上RADIO』もいいです。かかっている音楽は素晴らしいし、村上さんのしゃべりが全部情報なんですよ。本当にエッセイみたいなラジオで。この番組は“レベチ”ですね。面白いです。

――芸人さんのラジオはどうですか?

芸人さんのラジオって僕と距離が近いので聴けないんですよね。この前、放送した東野幸治さんの『ANN』は聴きましたけど。東野さんぐらいまでいくと大丈夫なんですけど、もっとラジオって他人事で聴きたいんで。身近な人だと仕事になっちゃうというか、聴いてて苦しいというのがあるんです。

――鈴木さんは今後のラジオ界はどうなっていくと思いますか?

テレビが今迎えているピンチってあるじゃないですか。でも、ラジオ界はいち早くradikoを作ったし、やりようはあるんじゃないかなって。ラジオをやりたい人もいっぱいいますしね。あとは曲が使えるのって大きいと思うんですよ。個人の音声メディアだと音楽は使えないじゃないですか。僕は音楽を聴くためにラジオを聴いているところが半分あるし、だから、未来が明るいはずです。

ただ、radikoはまだ意外とみんな知らないんですよね。こんなに便利なものはないのになっていつも思うんです。ラジオって不意な曲が流れるので、それがとても楽だったりして。そういう意味で言うと、マネタイズのやり方がもっといろいろ出てきて、radikoがあってもっと聴きやすいということが伝われば、未来は明るいと思っています。