「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第72回のテーマは「ルール運用が『当たり前』になる時」です。

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最近、うちのパートナーは「仕事で家を空ける」とかのときに、すごく気を遣ってくれるようになっています。

2,000円を置いていってくれて「これでランチしてね」って、すごい! 気遣いの人じゃん。平和~~~ってなったんですけど、それをルール化したのは自分でした……。

基本的にお財布別でワリカン夫婦である我が家は「仕事だから」で家を空けても、片方になんにもインセンティブがありません。お財布が一緒で、そのときに家を空けて稼いだお金も両者のものであるという家庭なら、仕事に行かないほうが育児するのは当然なのですが、うちは違います。

本来、週末の育児は夫婦が行うわけで、片方がいない場合はもう片方だけが「労力」というコストを払うことになる。我が家はその不満を解消するために、お金で補てんするということにして、それを1日2,000円としました。

金額の根拠は新生児のころに、私が実家の母親に来てもらっていたときの「交通費と昼食代の実費」でした。子どもの発育とともに、実母に来てもらうことも減りましたが、子どもと外食に行ったりできるようになり、そのまま価格は2,000円です。

我が家はワリカンといいつつ、パートナーが食費、私が固定費を払っています。家を空けて労力がない上に、いつもだったらパートナーが払っている食費分まで、なぜ私が払わないといけないのか……。そして、私は休日や週末に仕事になるケースはほぼなく、不公平……! というわけで、お金を払ってもらっています。

最初は「家族なのにお金取るの!?」とか言って抵抗していたパートナーですが、財布を一緒にしてない(片方の労働はあくまでも片方の収入でしかない)場合に、家庭内の労働をしないのは「不公平」という指摘に「それはそうだ」と気が付き、お金を払ってくれることになりました。

前提としてはこういう感じなのですが……。これが、だんだんと「しぶしぶ払っている」という感じではなくなってきたんですね!

お金を払わないで、ワンオペを押し付けた場合、押し付けられたほうは不満を抱きます。そうならないように「お金」を使うことにしたわけですが、「お金を置いていってくれる」のは、気遣いであり思いやりでもあるんですよね。

「文句言われるからしかたなく」やってることでも「相手が大変だから思いやって」やってることでも、行動そのものは同じ。「2,000円置いていく」です。2,000円置いていってくれたときに、私は素直に「嬉しい」わけです。私がそうしろ、と言ったことでもやってくれれば「思いやってくれてる」と思える。そして感謝できる。

パートナーも、お金を置いていくことで私の不満がなくなるだけでなく「家事育児を丸投げする」ことへの引け目を感じなくて済む。そして、私から感謝もされる。あれ? これってすごく良いことなんじゃない? となりました。

誰も不満がなくて、感謝される結果というのは「成功体験」として積み上がるんですよね。そして、気が付いたら「決まりとしての強制」ではなくて、「思いやり」としての行動になる。

我が家ではこの「ワンオペ2,000円ルール」は、かなり良い結果になっています。連載第19回「『どうしてわかってくれないの?』の前に」、連載第20回「やってほしいことをやってもらうには?」でも書いたのですが、相手に正解を教えてやってもらうというのは、結構いい方法なんじゃないかなと思います。

私の友人にもお勧めしていて、友達も夫に言ってほしいことを「こう言って」とお願いして、言ってもらうことがよくあるらしいのですが「向こうから自発的に言ってほしい」という願望はあるようです。

その友人が「でも、よく考えたら元々自分から『愛してる』とか言うような人は自分の好みじゃない気がする」と言っていて、そういうの……あるかも~~と思いました。

確かに世の中には、自分からなんでも気遣いできて、ポジティブな声かけも自発的にできる男性というのはいると思うのですが……そういう人と自分が恋愛関係になって、その後、結婚したりするか……? と考えると、ないかな……と。

ないけど、やってほしいコトはある。やってくれることを諦めると「もう一生誰からも思いやってもらえない」と絶望しちゃう。絶望するくらいだったら「やって」って言って、やってもらったほうがいいなと思います。

ってことは、やっぱり私もずっとパートナーに「こういうときはこうしてほしい」「こうしてくれると嬉しい」と伝え続けないとダメなんだろうなあ……。いつか、何も言わなくてもお互いがわかり合えるようになるその日まで。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。