「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第1回となる今回のテーマは、2人が「事実婚」を選んだ理由についてです。

  • バツイチ同士の事実婚

こんにちは。はじめての方、はじめまして。水谷さるころといいます。マンガにも描いてますが、バツイチ同士の事実再婚をやっております。

出産のときは産前産後の短期間だけ法律婚をして、子どもの姓と戸籍は夫側へ、私だけ戸籍を抜けて名前を元にもどしつつ、子どもの親権者は私という形をとりました。戸籍は別ですが、世帯は一緒なので、名前が違うだけで生活はごく普通の家庭と同じ……という生活をしています(離婚していても、同居している場合は母子家庭にはなりません)。

なぜこんな生活になったのか? というと、初婚の失敗経験からです。

何も考えずに「結婚したい! 」と、アラサーで焦って結婚。「結婚さえすれば幸せになれる」という謎の思い込みでつっ走った結果、世の中が全然、男女平等でも、多様性が認められる社会でもなかった……という現実に直面しました。

何よりも私にとって痛手だったのは、「結婚したんだから、もう仕事はそこそこしかやらないでしょ? 」となぜか周囲に思われてしまった「結婚によるブランディングの失敗」でした。

家庭の中では家事をほぼすべて取り仕切る一方、生活費はワリカン。外からは「夫に養ってもらってる(ハズ)」という思い込みによる、扱いの変化。さらに「よき妻であれ、そして夫に従え」という圧。もともとは私から「結婚したい」と言い出したため、元夫は問題の当事者意識はないまま……結局3年半で離婚しました。

その後、「なんでこんなことに?」といろいろ反省して、改めて「結婚」について調べることにしました。

「結婚」したら97%の女性が夫の姓に改姓して、お正月やお盆は夫の実家に帰省、男性は世帯主であり一家の大黒柱で、家庭を持ってこそ一人前……。なんとなく「そういうもの」と思っていたものを「あれ? 本当にこれがやりたいことだったっけ?」「本当にしたかった生活とは?」と、「パートナーとどういう関係になれば快適に暮らせるのか」という視点からすべて考え直しました。

「法律婚」はいわば「安心おまかせパック」で、法律も慣習も全部をまとめたものです。そのままそれがはまる人なら快適だけれど、合わないこともある。そんなわけで、法律もパートナーとの関係も、「一からカスタマイズしていこう!」と事実婚に至りました。

この連載では、「事実婚」の生活ライフハックというよりは、どういう考え方やコミュニケーションをすると快適に暮らせるか……という「考え方」や「心構え」をメインにしていきたいと思ってます!

著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。