「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第74回のテーマは「育てるんじゃなくてカスタマイズ?」です。

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「男なんて、女の手のひらの上で転がしてなんぼヨ」的な言説ってまだ生きてますか? 私が若いころは、よく言われていました。まだ生きてるかしら……。

でも、最近はそういうのがイヤな人も多いですよね。私もイヤです。もちろん、パートナーが、できなかったことができるようになるのは素晴らしいです。我が家のパートナーは、私と暮らすことになってから炊事を毎日するようになって、メキメキ上達しています。最初は私のほうが経験値があったので、教えることもありました。道具も私が持っていたものを彼が使うことが多かったので、使い方とかも教えたりしました。

うまくなったら嬉しいし、褒めます。そして今では私よりも色々作れます。なので、私は基本的に炊事はパートナーにお任せしています。

さて、これは「私が育てた」のでしょうか?

まあ、他の人がはたからみて勝手に「育てた」と揶揄することもあるかもしれませんが、我が家ではそういう認識はありません。なぜなら、彼が自分で「炊事はオレがやる」と決めて、自分でやるようになり、自分で経験値を積んでうまくなったからです。私は彼が困っていたらサポートするし、聞かれたら答えましたが、「やって」とも「やりなさい」とも言ったわけでもないし、「育てた」りはしていません。

パートナーが料理がうまくなる過程で、「成果を褒める」とか「作ってくれることに感謝する」とかはしました。これは本気でそう思ったから伝えました。でも、この行為を「男なんか褒めときゃいいのよ~」と言えば、同じ行為でも見方が変わりますよね……。

私は「男だから褒めると効果があるのか?」ということには懐疑的です。だって、私だって褒められたいので。

そして、人に炊事してもらえたら嬉しいです。なので日々感謝しています。もちろん、女性のほうが炊事をパートナーにしてもらえるケースは少ないので「ありがたみ」を感じることが多いのかもしれません。それに男性の中には食事を含めて「サポート」してもらえることが当たり前と感じて、感謝を表さない人もいるかもしれないので、私がパートナーを褒めたり感謝することに、多少の「男女間」バイアスはあると思います。

でも、意図的に相手を誘導するために褒めているわけではない。我が家はパートナーを「褒めて」乗せる必要もないですし、私がうまく誘導して育ててもいないと思います。なので「女は男をうまく育ててナンボなんですか?」と聞かれたら、「そんなことないです!」と答えます。

ただ、何もしなくてもパートナーと問題なく暮らせるか? と聞かれると、そうではないなと思います。

私も食の好みはあるし、お互いの価値観に違うところもたくさんあります。一緒に暮らすために、すり合わせする必要はありますよね。それって「育てる」わけじゃなくて、お互いの行動や価値観を踏まえて、ある程度「相手に合わせる」……つまり、相手用に「カスタマイズ」する必要はあるなあと思うのです。

相手の行動や性格を「私用に変わって!」とだけ言ってしまえば、ある意味傲慢ですが、お互いがちゃんと話し合ってお互いの着地点を見つけることで、行動が変わることはあります。

私は今まで実家の家族、その後元夫、そして次に現バートナーと暮らしているわけですが、一緒にいる相手によって全然違う役割を家の中でしています。実家のときは一切家事はしておらず、元夫との生活では家事は全て担っていました。そして現在は家事をパートナーと分け合っています。

一緒に暮らす相手によって、自分も変わります。自分よりもこだわりのない人と暮らせば、自分のこだわりで家の中のルールが決まりますし、自分よりもこだわりのある人と暮らせば、家の中のルールは相手に合わせることもあります。

「相手を育てたくない」というのはごもっともだし、共感もするんですけども、逆にいきすぎると「何も言わなくても問題ない人と一緒にいたい」となる可能性もあります。でも、それは難しいですよね。

なので、お互いの価値観をすり合わせて、お互いを相手に合わせてカスタマイズするという行為は必要だと思っています。これからも我が家は相手に敬意を持って、相手からもリスペクトされて、お互いが相手にとって快適なパートナーでいられるようにしていきたいです。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。