「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第19回のテーマは「コミュニケーションの正解は? 」です。
子どもが生まれてから、将来のための先取りとして「教育関係」の記事なども読むようになりました。
それにしてもつくづく思うのですが、今の子育てはなにかとやること多くないですか? 小学生になると家庭で宿題を見てあげるとか、「あれ? 私そんなことしてもらったっけ?? 」と思うことが多いです。宿題は「やりなさい! 」と口で叱られるだけだったような……。
などとそんなことを思いつつ、今はまだ4歳児とはいえ、小学校もそう遠くはない感じになってきたので、子どもの教育方法などについても予習をしているわけですが、「勉強嫌いにさせないコツ」みたいな記事の中で「できないことをやらせ続けない」という話を見ました。これは、1回だけでなく「受験勉強のコツ」とか「効率的な勉強方法」とか、色んな記事で見かける方法です。
「わからない問題があったら答えを見る」
「答えを見て、理解して練習をする」
「しばらくしてまた解いてみて、理解できているかチェックする」
「できなかったらまた答えを見る」
そして繰り返すうちにできるようになる。というものです。
わからない問題を、「考えても解き方がわからない」「思い出せない」といつまでもやっていると、「自分はできないんだ」と思ってしまったり、苦手意識だけが残って勉強が楽しくなくなったりして、やがて勉強嫌いになってしまうのだとか。人は、達成感や楽しさがないと続けられない、というものです。
言われてみれば当然だよね! と思いました。
この方法を知ったとき、「もっと早く言ってよ! 」みたいな気持ちになりました。私は典型的な「勉強嫌い」で、それでも、受験とか短期的な目標のためには「我慢」して無理矢理瞬間的に覚えたり詰め込んだりして、なんとかしちゃってました。でもそういうのって、すごく昭和っぽいですよね。我慢や辛いほうが「正解」とされてる感じ。
「わからない問題は、さっさと答えを見て解き方を理解する」というのは、効率的で合理的。「でもそれって、コミュニケーションでも同じじゃない?! 」と思ったわけです。
家庭でも会社でも、「こうしてほしい」とか「こうするのが正解」という答えがあるのに、「なんでわからないんだ」「普通わかるだろ」「なんでいちいち説明しなきゃいけないの」とか言って、「正解に自分でたどり着け」と相手を突き放す感じ。
それって、「答え見ちゃうのはずるい」的な発想なのかもしれないな……と思いました。「苦労して正解にたどり着くほうが正しい! 」みたいな。でもそれをやると、全然楽しくないし、問題が解決したとたん頭の中からさーっと抜けて行っちゃうんじゃないかと。受験のときに無理矢理覚えた歴史の年号みたいに。
仕事にしろ、家事にしろ、夫婦のコミュニケーションにしろ、正解を教えて、そして練習させて「なるほど、こうすればいいんだ」と理解して「成功体験」を積めば、もう間違えないですよね。
だから私は家事でも、私がどうしてもらったら嬉しいかでも、ちゃんと相手に「正解」を説明することにしてます。参考書の答えを見てもらう。それで、やってもらってできたら「ありがとう! 」と言う。感謝の言葉=正解なので、ありがとうは花丸。
これをちゃんとお互いやっていけば、パートナーの取り扱いについて熟練して、理想の夫婦になれるんじゃないかと思うのです。
なのでパートナーに対して「なんでわからないの」と思う前に、私はちゃんと自分自身が「参考書の答え」を持ってるのか、と確認するようにしています。
著者プロフィール:水谷さるころ
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女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。