FPが家計のさまざまなお悩みに答えていく本連載。今回は、AFPの池田ひろみさんが、「毎月の家計が赤字」という匿名希望さんの悩みに対しアドバイスします。

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◆相談者さんのプロフィール

相談者

相談者 匿名希望さん(仮名)
女性/専業主婦/42歳/賃貸住宅・大阪

家族構成

夫(会社員/46歳)、子ども2人(7歳・4歳)

◆お悩み

贅沢をしているつもりはないですが、毎月赤字で貯金が思うようにできません。第一子妊娠時に保険を見直し、学資保険に加入しましたが足りないのではと思っています。このままでは子ども2人分の教育費と夫婦の老後資金が全く貯められないので不安です。どうしたら良いのでしょうか。

◆匿名希望さんの家計収支

月収は34万円、支出は36万円、現在の貯蓄が350万円となっています。

ボーナスの使い道

毎月の赤字の補填で年間約24万円、年2回の帰省費用約20万円、旅行費用約10万円、自動車税約4万円 、美容・服飾費約8万円、貯蓄約30万円

住宅費用

夫の転勤の可能性があり、今のところ購入の予定はない。家賃はやや高めと感じているが、子どもの教育環境や夫の通勤を考えて現在の立地環境を選択。

車関連費

車の車体費用は支払い済。通勤には使用しておらず、買い物や週末のお出掛けで使用。駐車場代が2万円と高額のため負担が大きく今後は手放すことも検討している。

加入保険内訳

・夫生命保険 3000円
・夫婦の医療がん保険 8000円
・第一子学資保険(15歳満期/200万円) 月々1万1000円
・第二子学資保険(15歳満期/200万円) 月々1万1000円

家計収支

食費・日用品費からママ友との交際費や化粧品代等を支出しており、どの程度使っているのか不明。教育費は小学校・幼稚園への支払いが1万8000円、習い事代が1万9000円。

進路

高校までは公立を目指して欲しい。高校卒業後の進学プランは未定。

◆FPからのアドバイス

お子さまの年齢を考えると、第一子の大学受験と第二子の高校受験が重なるまでの約8年間が貯め時 です。毎月の収入の範囲で貯蓄を増やし、ボーナスに頼らない家計づくりを目指しましょう。

アドバイス1: 赤字家計を改善するところから

すでに保険の見直しもされており、水道光熱費も抑えられていて、家計管理を頑張っていらっしゃるのが分かります。改善点としては、通信費は携帯電話会社やプランを変更し年間16万8000円減額、食費・日用品費は買い物の仕方を変え年間12万円減額できそうです。また、元々手放すことを検討されていた車は使用頻度の割りに年間40万円の負担が大きいため、手放すことを推奨します。新たな支出として、妻の小遣いを月々5000円と設定し家計とは別で管理。これで毎月2万9000円の黒字となり、年間約30万円だった貯蓄額が年間約92万8000円に増えます。

アドバイス2: 教育費は学資保険プラスアルファで

児童手当を学資保険にあて、計画的に貯蓄できているのは素晴らしいですね。このまま続けていきましょう。 4年間の大学費用は国公立で約250万円、私立文系で約400万円、私立理系で約550万円必要となります。進路によって大きく変わりますが、1人当たり400万円準備しておくと私立理系への進学の際も初年度と2年目の費用が賄えるため安心です。学資保険で200万円貯まるので、それをベースにさらに1人当たり200万円ずつ、合計400万円準備しておきたいところです。家計の見直しにより約4年半で実現可能です。 大学受験前の塾代 や受験費用、さらに1人暮らしをする場合は生活費等も必要ですが、大学の教育費に関しては親がいくらまで負担するのかをお子さまとしっかり話し合い、奨学金制度等 の利用も検討してみてはいかかでしょうか。

アドバイス3: ご本人の収入アップが老後対策に

第二子の大学卒業時は夫64歳、匿名希望さん60歳。お子さまの教育費負担がなくなってから老後資金を貯めるには限界がありますね。教育資金の準備が終わったら、次は老後資金に向け早めに準備をしていきましょう。しばらく使う予定のないお金はiDeCoやつみたてNISAを利用すると効率よく貯蓄が可能です。 また、仮に匿名希望さんが月5万円の収入を得て60歳まで継続すると、約1080万円貯蓄 を増やすことができます。

◆ご相談後の感想

赤字家計からでも毎月貯金ができることが分かり嬉しいです。教育費や老後資金に備えられることが分かって安心しました。 働いていないので自分の小遣いをつくることに抵抗がありましたが、生活費と区別し使える金額がはっきりしたのでストレスもなくなりました。さらに、私自身が働いて収入を増やすことで、ゆとりができることが分かったので検討してみたいと思います。ありがとうございました。