FPが家計のさまざまなお悩みに答えていく本連載。今回は、ファイナンシャルプランナーの池尻美由紀さんが、小学生2人のお子さんを育てている専業主婦、すみれさんの悩みに対しアドバイスします。

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◆相談者さんのプロフィール

相談者

相談者 すみれさん(仮名)
女性/専業主婦/39歳

家族構成

夫(会社員/40歳)、子ども2人(11歳・10歳)

◆お悩み

結婚して15年目です。現在は賃貸アパートに住んでいます。できれば来年中にマイホームを購入したいです。もし、資金的に厳しいのであれば、購入時期を先延ばしにして、貯金などをして資金を増やした方がよいのでしょうか? 希望物件は4,000万円前後の新築マンションです。親からの援助は期待できません。

また、これから先の子ども2人の進学や受験が続くことを考えて教育資金を準備したいですが、どのように計画したらよいかわかりません。

保険の保障についても、今のままで大丈夫なのか心配です。

◆すみれさんの家計収支

収入

支出

月収は手取りで40万円、その他児童手当が2万円、ボーナスが年2回の支給で併せて80万円。

月の支出は、家賃が10万円、食費が8万円、水道光熱費が2万円、通信費が1.5万円、教育費が5.5万円、小遣いが5万円、保険料が5万円、車関係は2万円、雑費が3万円となっています。

貯蓄状況は普通預金が100万円、定期預金が650万円、株式が450万円です。

◆FPからのアドバイス

アドバイス1: 頭金を最小限に抑えて、希望のマンション購入を

現在、賃貸にお住まいですが、4,000万円の新築マンション購入をご希望なのですね。一般的に住宅ローンは、頭金は物件価格の20%以上、年間支払い額は、年収の25%以下が望ましいとされています。頭金の金額は1,000万円を希望されていますが、少し検討していきたいと思います。

物件価格4,000万円、諸経費200万円で計算をします。頭金1,000万円(物件価格の20%以上)を入れることも可能ですが、今後の教育費を考えますと、キャッシュを手元に残しておくことの方が賢明かと思います。

それでは、フラット35で返済期間を25年、4,200万円借入した場合と頭金420万円を入れて3,780万円借入れた場合でシミュレーションしてみます。

4,200万円借入した場合、金利は1.47%で毎月の返済額は167,381円となります。3,780万円借入した場合、頭金を10%以上入れることで金利が0.96%になります。毎月の返済額は141,774円となります。経済情勢の変化などを考慮して、ボーナス払いはせず、年12回払いを検討しています。

頭金を入れる、入れないにかかわらず、お子さまの大学の時期、車の買い替え、リフォーム時期などは貯蓄を取り崩さなくてはいけません。シミュレーションの結果、2人目のお子さまが大学に進学された頃に貯蓄がなくなってしまいます。ぜひ、就学時期に合わせて収入を増やすために、奥様がパート収入を得ることもご検討ください。そうすることによって、ローン返済後の貯蓄額は、4,200万円借入れた場合は1,835万円、3,780万円借入れた場合は2,142万円となります。

今回のシミュレーション結果では頭金を入れた方が貯蓄額は多くなりましたが、お二人のお子さまが大学に通われている間は教育費がかなり必要となってきます。頭金なしにされて、お子さまが成長されてから繰上げ返済を検討されるのもよいかと思います。

また現在、政府では住宅ローン控除のさらなる延長も検討されています。その場合、一定期間、所得税が還付されます。

これらを検討しました結果、憧れのマイホーム購入は可能だと思われます。

アドバイス2: 教育資金の準備は継続的な積立を

お子さまの教育費も年々増加していきます。特にお子さまが大学に進学されている時期は負担が大きくなっていきます。

まず、お子さまの教育に係る基本費用の支出について、小学生は年32万円、中学生は年49万円、高校生は年46万円、大学入学時は年134万円、大学2年生以降は109万円、塾代として中学生は年36万円、高校1.2年生は年48万円、3年生は年96万円(文部科学省のデータより引用、小中高を公立、大学を私立として見積もっています)と仮定しましょう。

これらの想定額でキャッシュフロー表を作成しますと、手取り収入のかなりの部分を教育費が占める年もみられますが、奥様も収入が得られるとするならば、貯蓄を取り崩しても貯蓄がマイナスになることはないかと思います。今までも上手く貯蓄されていますので、今まで通り貯金、株式運用をなさってください。

アドバイス3: 必要保障額を見直して、浮いた保険料を貯蓄に

生命保険の必要保障額(これからのご家族の生活費、子どもの教育費など必要な支出から遺族年金、死亡退職金、預貯金などの収入を差し引いた金額)の計算は、万が一の場合、残されたご家族が現在と同じ生活をするにはいくら必要か計算します。

現在、加入されている保険の内容を確認させていただきました。定期保険特約を5,000万円から4,000万円に変更しても必要補償額を十分カバーしています。そうすることで、毎月の支払保険料が4万円となり、年間12万円を貯蓄に回すことができます。

生命保険に加入する時は、随分悩まれて補償額を決められたと思いますが、契約内容が当初の契約のままになっていました。今回、保険の見直しが出来たことは、とても良い機会でした。この先も、お子様の成長などライフイベントに併せて、見直しをすることをお勧めします。