今年2月に着せ替え人形「リカちゃん」の新シリーズとして誕生した「ぷちリカちゃん」。第1弾ではサンリオキャラクターズとナルミヤキャラクターズとコラボレーションしたことで、平成女児を中心に絶大な支持を集めました。
この記事では、ヒット商品となった「ぷちリカちゃん」の担当者にインタビュー。開発背景や日々のお仕事について話を伺いました。
伝統ある「リカちゃん」を小さくする勇気
お話を伺ったのは、タカラトミーリカちゃん事業部マーケティング課の主任を務める相馬梨良さん。今年2月にマーケティング課に異動し、現在はスーパーマリオとコラボレーションしたリカちゃんなど、商品プロモーションやイベント企画などのマーケティングを担当していますが、異動する前はリカちゃんの企画開発課で「ぷちリカちゃん」の担当をしたといいます。
――「ぷちリカちゃん」はどのような発想やニーズから生まれたのでしょうか?
相馬さん:もともとリカちゃんを小さくするという構想自体は、私がリカちゃん事業部に入るずっと前からあったのですが、企画を出しては商品化まで至らないことを繰り返していたそうです。最近のトレンドとして、ぬいぐるみやキーホルダーをカバンにつけたり、持ち歩いて写真を撮ったりする需要があることから、今ならリカちゃんを小さくすることで遊び方の幅が広がるのではないかと考えました。また、ミステリーボックスの人気が高まっていたことから、うまく組み合わせて「ぷちリカちゃん」が誕生しました。
――小さいという点のほかに、「ぷちリカちゃん」の新しさや魅力はどんなところにあると思われますか?
相馬さん:リカちゃんというと、着せ替えやごっこ遊びが浮かぶと思いますが、「ぷちリカちゃん」ならではの遊び方は、後ろ側にループをつけているので、ボールチェーンを通してキーホルダーにすることもできますし、ポーチに入れて持ち運ぶこともできます。今はカフェや旅行先で、料理とぬいぐるみを並べて写真を撮る人も多いですよね。通常のリカちゃんは、サイズ的にハードルが高いと感じる方もいると思うんです。「ぷちリカちゃん」だと気軽に取り出しやすいサイズ感なので、写真撮ってSNSにあげるような遊び方もしてもらえたら嬉しいなと、作っている時から考えていました。
――開発段階でとくに重視した点、苦労した点を教えてください。
相馬さん:顔はとくに力を入れた部分でした。リカちゃんの顔をそのまま小さいサイズに落とし込むと、怖く見えてしまったり、バランスが合わなくなったりしてしまうんです。そのため、みなさんが想像するシンボルの顔を、いかに「ぷちリカちゃん」サイズでバランス良くデフォルメしたデザインに落とし込めるかを、チーム内でも話し合いながら微調整をしてこの顔にたどり着きました。
――たしかに、みんなの憧れであるリカちゃんの「顔」はとても重要ですよね。
相馬さん:目の幅や間隔、縦横比や大きさ、白いハイライトの大きさや距離感、まつ毛の長さや太さの微調整は力を入れました。リカちゃんの一番大事な左を向いている瞳は絶対残したいなと思っていたので、「ぷちリカちゃん」にも反映されています。
――第1弾ではサンリオキャラクターズとナルミヤキャラクターズとのコラボ。そして6月27日からは第2弾となる『ぷちリカちゃん サンエックスユニバースコレクション』が発売されますが、コラボデザインを考える際に大切にしていることは?
相馬さん:「ぷちリカちゃん」に限らず、リカちゃんはいろんなIPとコラボレーションをさせていただいていて、リカちゃんを好きな方だけでなく、キャラクターのファンの方からもちゃんとかわいいと思ってもらえるようなデザインを心がけています。
また、一目見た時にどのキャラクターかわかるようにするのは大事にしていましたね。『サンリオキャラクターズコレクション』は、顔が見えなくてもわかるシルエットやお洋服の形状に、『ナルミヤキャラクターズコレクション』もキャラクターを意識したフードの形や、キャラクターに沿った靴の色などを選びました。その細かいこだわりもファンの人に届いていたら嬉しいです。
――第1弾の発表時からSNSで話題になっていました。「ぷちリカちゃん」への反響についての率直な感想を教えてください。
相馬さん:約60年の歴史がある中で、見た目から背丈から何から何までデフォルメしたリカちゃんは、これまでにほぼない商品内容だったので、受け入れてもらえるのか不安に思いながら、情報解禁日を迎えました。情報が解禁されるとSNSでは何万いいねがつき、その2日後には公式予約サイトも完売状態だったので、熱を込めて作ってたものが、自分以外の人にもちゃんと伝わったんだなと感動しました。小さいサイズにした時になんて言われるかなという不安もあったのですが……。しっかりとみなさんに届いたんだって喜んだのを今でも覚えてます。
――「ぷちリカちゃん」はどのような体制で作られたのですか?
相馬さん:マーケティング担当1名と開発担当である私の2名がメインで進めていました。もちろん、上司やチームメンバーに意見を聞きながら進めていますが、髪色や衣装決め、関係各所とやり取りするのは開発がまかせてもらっている部分が大きいので、「売れなかったらもう私のせいかもしれない」と怖くなることもあります。「ぷちリカちゃん」の企画を出した時は上長から「大丈夫!」と言ってもらえて、商品化できたことは嬉しかったですね。
――そんな少人数でヒット商品を生み出していたんですね。
相馬さん:私もびっくりしました。最初は売れるか心配だったのですが、すぐに予約分も完売して、2カ月後の発売日には約1週間で完売したと聞いています。発売日とその次の日に何店舗か売り場を見に行ったんですけど、もう跡形もなくて……。私もほとんど店頭で見ることができませんでした。
――発売を知った時に“エモすぎるコラボ”とときめいたのを覚えています。
相馬さん:「ぷちリカちゃん」のターゲット層は20~30代に設定していて、その方々に合わせてコラボレーション先を考えていたので、第一弾は、しっかりとその層に刺さった内容になったことが大きいと思っています。また、持ち運べることや、ミステリーボックス仕様になっていることも、従来のリカちゃんにはない要素だったので、そういったニーズやトレンドに合っていたから支持されたのかなと思います。
ヒット商品を生み出す仕事とは
――ここからは相馬さんのお仕事についてお尋ねしたいのですが、まずは「ぷちリカちゃん」開発時の平均的な1日の仕事の流れを教えてください。
相馬さん:リカちゃんの企画開発担当は複数名いるので、毎月アイデアミーティングをする時間がありました。その他は自分の担当している商品の業務をみんな個々でやっていく形なんですけど、リカちゃんにもいろんな商品あって、それぞれ担当がいるんです。私は「ぷちリカちゃん」を担当していたので、コラボ先が決まったら衣装デザインの検討や、生地や素材はどんなものを使おうか、どんな髪型がいいかなどを考えます。ある程度デザインが固まったら、試作用の生地を買いに行ってどの素材を使うかなどを試行錯誤していました。
――デザイナーが別にいるわけではないのですか?
相馬さん:企画開発の担当が独自の分析やファッションセンスで決めています。あとはパッケージやロゴのデザインも、開発の仕事の中に入っていました。
――まさにオールマイティですね。企画の種やトレンドはどのようにキャッチしているのでしょうか?
相馬さん:SNSや街中でファッションを観察したり、子ども向けのファッション雑誌も参考にしたり。あとはキャラクター系の展示会やポップアップも見に行っていました。
――仕事のなかで、やりがいを感じる瞬間、難しさを感じる瞬間を教えてください。
相馬さん:なかなか見られる瞬間ではないのですが、売り場に行った時に、お子さんが自分の商品を手に取って買ってくれた瞬間を見ると、大変だったことも全部忘れちゃうくらいやりがいを感じられます。難しい部分で言うと、リカちゃんの頭身は現実の人間とは全然違うので、人間が着ているファッションをそのままリカちゃんに落とし込むと、違和感があるんですよね。また、シンプルすぎる洋服だと子どもの目を引きにくかったり、顔が華やかな分、雰囲気が出ないというか、地味に見えるんです。一目見た時に「かわいい」と思ってもらえるように、子どもたちが好きな要素をどこかに入れたり、流行のファッションをバランスよく織り混ぜたりして、デザインを考えるのが難しいなと思います。
――商品をつくる上で、大切にされている考え方などはありますか?
相馬さん:自分自身が本当にかわいいって思えるものを作ることを心がけていました。「ぷちリカちゃん」も、自分が「かわいい」「買いたい」と思うものじゃないと届かないだろうというのは大前提であったので、細かいところまでしっかり考えながら「これだったらかわいい。大丈夫」と思えるものにしたいと思っていました。結果的にそれがちゃんと子どもから大人まで届くと思っているので、そこは大切にしています。
――リカちゃんを通して届けたいものを教えてください。
相馬さん:リカちゃんは来年60周年を迎えるので、3世代で楽しんでもらえている人形だと思います。子どもは着せ替えで遊んだり、ごっこ遊びをしたり、大人になると洋服を作って着せてあげたり、どこかに連れて行って写真撮ったり、遊び方の幅はいろいろあると思うんですけど、共通してリカちゃんを心から好きでいてくださっていると思うんですね。本当に友達のように大事に思ってもらえている存在だと思うので、これからもずっとリカちゃんが近しい存在でいてもらえるように、届けていきたいなと思っています。
――最後に読者に伝えたい「ぷちリカちゃん」の魅力を教えてください
相馬さん:既存のリカちゃんの遊び方とは異なる、時代に合わせた遊び方ができるので、日常の中で「ぷちリカちゃん」を通してときめきを感じてもらえたらすごく嬉しいです。
6月27日には、第2弾となるサンエックスとのコラボレーション『ぷちリカちゃん サンエックスユニバースコレクション』が発売。サンエックスのキャラクター「リラックマ」「すみっコぐらし(とかげ)」「たれぱんだ」「みかんぼうや」「こげぱん」「アフロ犬」に加え、初となる「シークレット」も1種類ラインアップした全7種展開となっています。洋服や帽子のデザインや「ぷちリカちゃん」の髪色、表情など細やかなこだわりをぜひたしかめてみてはいかがでしょうか?







