次々に新しい料理や食材などが登場するとあって、『食のトレンド』は刻一刻と移り変わっていく。しかし、クライアントや職場の同僚と「あれ食べた?」という話になることはよくある。そんなときに「……聞いたこともない」というのは、かなりマズい。この連載では、ビジネスマンが知っておけば一目おかれる『グルメの新常識』を毎回紹介していく。第72回は「豆乳カフェ」。

  • EVERYSOYの一番人気メニュー「ソイチーノ」(506円※イートイン価格、ソイビスコッティは別売り)はとてもクリーミー

「豆乳カフェ」って何?

豆乳をメインメニューに掲げるカフェ「豆乳カフェ」が増えている。豆乳は、豆腐を作るときにでる大豆の搾り汁。これに、にがりを加えれば豆腐になる。大豆は、たんぱく質や大豆イソフラボンを含むヘルシーな食材として知られ、健康志向の広がりから気軽に飲める豆乳人気も高まっている。2020年には豆乳の生産量は過去最高を記録した。

すでに大手コーヒーチェーンやカフェでも牛乳を豆乳に変更できるオプションが定着しているが、最近では豆乳が主役のカフェも登場しはじめた。おいしくてヘルシーな豆乳カフェを紹介しよう。

「豆乳カフェ」はどこにある?

  • EVERYSOY「ソイチーノラテ」(605円※イートイン価格)

豆乳カフェは全国各地にある。2021年4月、京都・四条烏丸(ラクエ四条烏丸内)にオープンした「EVERYSOY(エブリソイ)」もそのひとつ。運営は、京湯葉を製造販売する1885(明治18)年創業の老舗「ゆば庄」。湯葉は旅館やお土産などハレの日使いが多いため、新型コロナの影響が大きく、「観光客だけではなく地元のお客様にも、日常的においしく栄養価の高い豆乳を飲んでほしいという思いからオープンしました」とEVERYSOY マネージャーの平田トモキさん。ちなみに湯葉は、豆乳を加熱したときにできる表面の薄い皮である。

EVERYSOYでは、大豆以外の原材料を使用しない無調整の2種類の濃度の豆乳にフラクトオリゴ糖を少量混ぜて、濃厚かつクリーミーな口当たりに仕上げた「ソイチーノ」を開発。単品でも楽しめるほか、一部の季節商品をのぞき、人気の「ソイチーノラテ」などすべてのメニューにこの「ソイチーノ」が使われている。

会社員をターゲットにオフィス街にオープンしたが、客層は思いのほか幅広いそうだ。「豆乳臭さがなく、今までの豆乳とはまったく違うといってくださるお客さまが多いです」と平田さん。フードメニューもあり、乳製品不使用・小麦粉不使用のティラミス「ソイティラミス」などが人気だという。

2020年に大阪にオープンした「台湾豆坊(たいわんまめぼう)」は、台湾スタイルの豆乳を味わえるカフェ。現在店舗移転のため一時休業中だがデパートなどの催事でその味を楽しむことができる。

  • 台湾豆坊の生豆乳各種(430円/340ml~※催事や新店舗によって変更の可能性あり)

台湾では、豆乳は豆漿(トウジャン)と呼ばれ、日本以上にポピュラー。「日本の豆乳は、豆腐を作る前提の製法ですが、台湾は主にドリンクとして飲むため、目的と作り方が違い、サラサラでクセがありません。当店の豆乳は、大豆をすり潰した生呉(なまご)と呼ばれる搾り汁を加熱しないでしぼり(生搾り)、その後加熱する生豆乳なので、大豆本来の甘みを感じていただけます。消費期限は当日です」と広報担当の出山亜希子さん。大豆は、北海道産の最高級品種の「とよまさり」 の大粒のみを厳選して使用。とよまさりは甘みが非常に強く、直接飲むのに適しているそうだ。

豆乳は6%か9%か好きな濃度を選べるのもユニーク。一番人気はストレートだが、フレーバーの付いた豆乳(黒胡麻、アーモンド、抹茶)もある。選択肢を増やすことで豆乳初心者からヘビーユーザーまで楽しんでほしいと思っているそう。

また、カフェでは台湾フードも提供。現在は催事で、超しっとりモチモチの食感が楽しい「台湾豆乳シフォン」などを販売している。大阪・貝塚市への移転オープンは年末年始頃を予定しているというから楽しみに待ちたい。

「豆乳カフェ」へ行ってみた

  • TOFFEEtokyo「ソイラテ」(580円)、「アイス豆腐チョコ(抹茶)」(Mini 550円※イートイン限定)

今回は東京・大手町の商業施設「TOKYO TORCH Terrace」内に7月にオープンした豆乳カフェ「TOFFEEtokyo(トーフィートウキョウ)」へ行ってみた。運営しているのは、佐賀県鹿島市で豆腐・豆乳を製造する1959年創業の三原食品。カフェ展開は、福岡に2019年にオープンした「TOFFEEpark」に続く2店舗目だ。

メニューは豆乳を使ったソイラテや豆乳ジェラートを使ったオリジナルシェイクなど。一番人気はエスプレッソと豆乳をブレンドした「ソイラテ」。早速飲んでみると、味が濃厚でビックリ。大豆の旨みをしっかり感じるが、青臭さや苦味は一切なく、とにかくまろやかでおいしい。まるで豆腐を食べているようで、飲んだあとにはものすごい満腹感があった。これはリピートしたくなる味!

カフェで使っている豆乳は三原食品の佐賀の工場で造られている無調整豆乳で、濃度が13~15%と高い。コーヒーとブレンドしたときの味のバランスを考え、北海道産大豆のみを使用。大豆の皮をむいてからしぼることで、青臭さや苦味をとっているそうだ。ちなみに佐賀県鹿島市は日本酒の蔵元が多いことでも知られるほど、水がきれい。その水を2度浄水器にかけて使っているのもこだわりだという。

豆乳やおからを使ったフードやスイーツメニューもある。今回ソイラテのお供にしたのは「アイス豆腐チョコ」の抹茶味。自家製の豆腐と豆乳がふんだんに使われ、なめらかで口当たりが軽く、口の中でさっと溶ける。後味にふわりと豆腐らしい風味を感じるが、いわれなければ豆腐チョコとは気がつかないかも。店頭ではほぼ冷凍状態で出されるので、凍ったままアイス感覚で食べてもいいし、常温に10分ほど置いて溶かして食べても美味。約半分が豆腐でできているので一般的なチョコレートよりカロリーが少ないのもうれしい。

  • 「TOFFEtokyo」。コンセントのある席も多くカフェとしても便利

「忙しく時間に追われている方に、早くて、カラダに良くて、おいしいものを提供したいという思いでカフェをオープンしました。TOFFEEtokyoはオフィス街にあるので、近隣のビジネスパーソンのご利用が多いですね」とTOFFEE統括マネージャーの三原あゆみさん。

運動不足になりがちなコロナ禍では健康が気になる人も多いだろう。身近に豆乳カフェがあれば、朝の一杯や退社後の一杯を習慣にしてみては。