ネット社会の現代では、グルメのブームに火が付くのも“SNSがきっかけ”ということも多い。ここでは、流行に乗り遅れないために知っておきたいSNSで話題の“バズるグルメ”をご紹介。トレンドに敏感なクライアントや同僚たちの前で恥をかかないように、しっかり話題のグルメを押さえておこう。第57回は「#ハリッサ」。

  • ハリッサは万能調味料としてさまざまな料理に使われている(画像提供:ハウス食品)

北アフリカ生まれの万能調味料「ハリッサ」

エスニックブームに伴い、家庭でも気軽に使えるエスニック系の調味料が登場している。その中でも人気を集めているのが北アフリカ生まれの調味料「ハリッサ」だ。

ハリッサとは、チュニジアやモロッコなどの北アフリカで使われている辛口調味料のこと。「harissa」と書き、北アフリカの移民の多いフランスでは「アリッサ」と呼ばれて親しまれている。唐辛子をベースに複数のスパイスを混ぜて作られたもので、本場のハリッサは独特の苦味と辛味があり、苦手な日本人も少なくなかった。しかし、複数の食品メーカーが日本人好みの味になるよう開発したことで、2019年ごろからじわじわとハリッサがブームとなっていったのだ。

  • ハリッサを加えたチキンのトマトシチュー(画像提供:ユウキ食品)

ハリッサは、クスクスに添えたり、タジン鍋やケバブに使用したりするのがこれまでの一般的な食べ方。エスニック系の調味料を扱う専門店やクスクスやタジン鍋などを提供しているレストランでしかお目にかからないような馴染みの薄いものだった。しかし、家庭でもエスニック料理を作る人が増えてくると同時に、テレビ番組やSNSなどでハリッサが取り上げられ、さまざまなアレンジ料理が紹介されるようになった。今では万能調味料として活用の幅が広がっている。

ブームの火付け役となったのはカルディのハリッサだ。一時は売り切れが続き、入手困難なこともあった。現在では、ハウス食品やユウキ食品のハリッサ、あるいは輸入品なら、成城石井やコストコ、業務スーパーなどでも気軽に購入できる。

Instagramでは「#ハリッサ」のタグが付いた投稿が約1.3万件(2021年9月現在)もある。煮込み料理やパスタソースなどハリッサを使ったさまざまな料理が投稿されており、万能調味料と言われるのも納得できるだろう。また、関連キーワードとしてはハリッサが欠かせない料理「#クスクス」で約4万件の投稿がある。

スーパーで気軽に買えるハウス食品「魅惑のハリッサ」

2021年2月に販売が開始したハウス食品の「魅惑のハリッサ」(358円)も人気商品となっている。ハウス食品株式会社・食品事業三部の戸矢崎さんは「ハウス食品では、スパイスをより多くの人に身近に感じてもらえるような調味料を開発しようと考えていました。そのときにたどり着いた調味料がハリッサでした。ハリッサが話題になり始めたことも、開発するきっかけの1つです。『魅惑のハリッサ』は、日本人が大好きな味になるような工夫をしています。従来の混ぜる作り方ではなく、唐辛子やクミン等のスパイスを油の中で炒めることで、香ばしくなるような風味付けをしています」と話す。

  • ハウス食品「魅惑のハリッサ」(358円)は、日本人の口に合うように仕立てられたやみつきの味

「『魅惑のハリッサ』は話題の新調味料ということもあり、情報アンテナの高い層から支持を得ています。特に30~40代くらいの従来の購入層より少し若い世代が購入する傾向が高いです」(同社・戸矢崎さん)とのこと。流行りものに敏感な世代にヒットしていることがうかがえる。

おすすめの食べ方を聞くと、「魅惑のハリッサ」を餃子にそのままつけたり、マヨネーズと混ぜて野菜スティックにつけたりするのがいいとのこと。マヨネーズとの相性が良く、辛さが苦手な人でもピリ辛になるので食べやすくなる。

  • ハリッサを餃子につけて食べると、いつもとは違うエスニックな餃子が楽しめる

実際に餃子につけて食べてみたところ、餃子のタレがなくても十分な味わい。中華の味ではなく、エスニックな味にガラッと変わった。ハリッサに使われている唐辛子やニンニクなどと餃子との相性が非常にいい。餃子のタレに混ぜて食べるのもおすすめだ。普段の餃子とは違った味を楽しみたいときはハリッサを加えてみるといいだろう。

Instagramで「#魅惑のハリッサ」の投稿を見ると、「チューブタイプなので使いやすい」「物足りないときのアクセントにちょうどいい」といった声がある。

ブームの前から販売されていた!ユウキ食品「ハリッサ」

ユウキ食品のハリッサが販売されたのは2017年3月。ブームになる前から開発に取り組んでいたのだ。ユウキ食品株式会社・経営企画室広告部の森島さんは「当社では、中華調味料の製造で培った技術とドレッシングやシーズニングなどのマコーミック製品の開発で培ったスパイスやハーブの知識を組み合わせた新しい調味料の開発を考えていました。そのときに着目したのがハリッサです。実際にチュニジア料理のお店に行って味を確認してみたところ、『これは日本でも受け入れてもらえるのではないか?』と思い、開発に踏み切りました」と話す。

  • ユウキ食品の「ハリッサ」(110g、324円)

「日本では、スパイスの風味や苦味に苦手意識を持つ人がまだまだいます。そこで、本場の風味を残しつつもスパイスの量やバランスを見直し、微調整しています。唐辛子やスパイス、オリーブオイルなどの原料に熱を加えて馴染ませ、日本人の味覚に合うような味わいに仕上げました。スパイス特有の苦味がまろやかに感じていただけると思います」(同社・森島さん)とのこと。やはり日本人好みの味に工夫したことがハリッサ人気の理由となっているようだ。

ハリッサの使い方としては、カレーやミートソース、ミネストローネなどにちょい足しするといいという。鶏肉や豚肉のソテー、ソーセージといった肉料理に少量つけて食べたり、料理の下味として使ったりもおすすめだそうだ。

北アフリカでは日本の味噌や醤油のようにあらゆる料理に使われているハリッサ。日本人好みにアレンジされた各社のハリッサは、普段の料理に少し加えるだけでエスニックな味わいにできる。肉や魚、野菜、豆腐などにもよく合う。そのままご飯に乗せたり、チャーハンの味付けにしたりといった使い方もあり、まさに万能調味料といえるだろう。自分なりのハリッサの食べ方をぜひ見つけてみては?