次々に新しい料理や食材などが登場するとあって、『食のトレンド』は刻一刻と移り変わっていく。しかし、クライアントや職場の同僚と「あれ食べた?」という話になることはよくある。そんなときに「……聞いたこともない」というのは、かなりマズい。この連載では、ビジネスマンが知っておけば一目おかれる『グルメの新常識』を毎回紹介していく。第56回は「たんぱく質おやつ」。

  • 小腹を満たしつつ、おやつ感覚でたんぱく質を摂取できる商品が人気

「たんぱく質おやつ」って何?

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によると、たんぱく質の摂取量は18歳以上の男性は1日60g、18歳以上の女性は1日50gが推奨されている。しかしながら、近年の日本人のたんぱく質摂取量は不足気味。同省の調査によれば、国民1人1日あたりのたんぱく質摂取量は、戦後間もない1950年代の水準にまで落ち込んでいるという。特に今はコロナ禍という背景もあり、健康への意識がますます高まるなか、おやつ感覚で手軽にたんぱく質を摂取できる商品に注目が集まっている。

もちろん、以前からたんぱく質を豊富に含む食品は多数販売されてきたが、例えばサラダチキンや魚肉ソーセージなどどちらかといえば“食事”のカテゴリーに入るものや、プロテインバーやプロテインドリンクなど“スポーツや筋トレをしている人向け”というイメージが強いものだった。

最近の「たんぱく質おやつ」は、一般的なビジネスマンや主婦などが”おやつ”として気軽に手に取れるものが多い。高たんぱく質でありながら製法や素材にこだわった本格的なスイーツも登場するなど、現代人の多様なニーズに応え、よりバリエーションが豊かになっているのが特徴だ。

「たんぱく質おやつ」はどこで買える?

スーパー、コンビニ、ドラッグストアなど、「たんぱく質おやつ」は街中のさまざまな店舗で購入することができる。また、ネットショップ等で通販をすることも可能だ。

  • 「TANPACT」シリーズの一例。左上から「ミルクチョコレート ビスケットIN」(168円)、「チーズビスケット/チーズビスケットミルクチョコレート」(各268円)。左下から「ギリシャヨーグルト 甘さひかえめ」(180円)、「アイスバー ホワイトチョコレート」(140円)

明治が2020年3月から発売を開始した「TANPACT(タンパクト)」シリーズは、栄養価が高く消化によい乳由来のたんぱく質=乳たんぱくをとることができる同社のブランド。21種類(2021年2月現在。宅配専用品含む)という豊富なラインナップが特徴で、ヨーグルト、チーズ、ドリンクなどのほか、チョコレート、アイス、ビスケットなど、お菓子類も充実している。

現代日本人のたんぱく質不足という課題に着目し、いつでも・どこでも・おいしく・手軽にたんぱく質を摂取できる環境を整えるために開発したという同社。「ライフスタイルに合わせて朝食・昼食・夕食・間食まで、幅広いシーンで効率よく乳たんぱくを摂取できるようさまざまな形態や温度帯で商品を販売しています。ラインナップの多さはTANPACTの魅力の1つです」(明治 マーケティング本部 井上義貴さん)

同ブランドの発売以来、累計販売個数は5,000万個以上に到達。発売直後は、運動関与度が高い男性の購入が多かったが、2020年10月に調査すると女性の購入が増えており、30~40代女性がメインの購入者層だったという。味にもこだわっており「たんぱく質が“入っていないものより、入っているもの”とお客様に思っていただける商品にしている点が魅力ではないかと考えています」(井上さん)と話す。

  • 人気のチーズ専門レストランとコラボしたマッスルデリの「&CHEESE」(3500円)

ボディメイクやダイエットに取り組む人に最適な栄養素を含んだ食事を開発・宅配するマッスルデリは、2020年11月に”罪悪感のないチーズケーキ”として「&CHEESE(アンドチーズ)」を発売。注文は公式サイトからのみだが、発売初日はわずか2時間で完売。その後も毎週日曜日11時から数量限定で販売しており、毎回数時間で完売してしまうという人気ぶりだ(※在庫増加に伴い、現在は常時販売中)。

同社広報の藤澤華子さんは「昨今のダイエットや筋トレブームを受け、チーズケーキ風のプロテインバーやお菓子など多くの商品が出ていますが、おいしさと栄養バランスが両立しているものはなかなか見当たりませんでした」と開発の背景を語る。同社の管理栄養士と、東京を中心に展開する人気のチーズ専門レストラン「DAIGOMI(ダイゴミ)」のシェフとの共同開発によって、同社の目指す理想的なチーズケーキが完成した。

たんぱく質の含有率が高いカッテージチーズを使用しており、一般的なチーズケーキ (1食90gあたり)と比較して、たんぱく質は50%増の11.4g。また砂糖の代わりに甘味料のラカントを使い、脂質・糖質の約70%、カロリーの約60%をカットしており、筋トレ後やダイエット中にもぴったり。人気店のシェフが開発に関わっているだけあって、焼き目の香ばしさやしっとりとした濃厚な味わいが楽しめると評判だ。

「マッスルデリをご利用いただいたことのない新規のお客様が『タンパク質のとれるチーズケーキ』として興味を持ってくださるなど、想定外の反響をいただきました」(藤澤さん)といい、今後は2月のバレンタインシーズン限定で販売していたフレーバー「フランボワーズ」が、ホワイトデーシーズンに再登場する予定だという。

「たんぱく質おやつ」を食べてみた

明治の「TANPACT」シリーズから、「チーズビスケット」と「ミルクチョコレート」の2品を実食。いずれもドラッグストアのお菓子売り場で購入できた。それぞれパッケージに乳たんぱくの含有量が表示されており、チーズビスケットは1箱(96g)あたり8g、ミルクチョコレートは1袋(44g)あたり5gとなっている。

  • 写真左上から「TANPACT チーズビスケット」(268円)、「TANPACT ミルクチョコレート」(168円)。見た目は一般的なお菓子類と変わらない

まずはチーズビスケットから。甘さ控えめのビスケット生地に、北海道十勝産のゴーダチーズが配合されているという。1箱に3枚入りの袋が4つ入っており、袋を開けるとほのかにチーズの香りを感じた。ひと口かじると、サクッとした食感で、やや厚みのあるクラッカーのような印象。チーズの塩気が絶妙で、おやつとしてはもちろん、忙しい日の朝食代わりに食べたり、ワインと一緒に楽しむのも良さそうだ。3枚食べ終えると、ほどよく空腹感が満たされた。

続いて、ミルクチョコレートを実食。同社の代表的な商品「明治ミルクチョコレート」と比較して、2.6倍の乳たんぱくを配合しており「おいしさや形状を維持しながら、健康的な商品に仕上げています」(井上さん)という。コロンとした一口サイズで気軽に手でつまめ、噛むと口の中でやさしく溶けていく。ミルクのコクがありながらも甘すぎないので、大人から子どもまで美味しく食べられそうだ。まろやかな甘さで、コーヒーと一緒に味わいたくなる。

どちらもおやつとして美味しく味わったが、たんぱく質を摂取していると考えると、食べながら「体にいいことをしているな」という気分にもなれた。「味」や「癒し」を求めて食べるおやつに「栄養(たんぱく質)」がプラスされることで、「美味しく食べてたんぱく質も取れて、一石二鳥!」という点がたんぱく質おやつの最大の魅力といえそうだ。

※特記がない限り、価格はすべて税別