「人生100年時代」と言われる現代。20代でも早いうちから資産形成を進めることが求められています。一方で、どのように投資・資産運用の目利き力を磨いていけばいいのか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

この連載では、20代の頃から仮想通貨や海外不動産などに投資をし、現在はインドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏が、投資・資産運用にまつわる知識や実体験、ノウハウ、業界で面白い取り組みをしている人をご紹介します。

今回のテーマは「事業投資に必要な"リノベーション"という観点」。

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事業も投資のひとつ

第3回『あなたに合っているのは? 3つの投資分類とその特徴』でご紹介したように、事業も投資のひとつです。起業することも投資ですし、M&Aによって会社や事業を買うことも投資です。

金融商品投資の場合、一度買ったら(投資したら)中長期で保有するか、もしくはデイトレードやスイングトレードによって利益を出していくわけですから、頻繁にトレードしない限り「毎日が決断の連続」というわけではありません。

しかし事業投資の場合は、毎日が決断の連続です。毎日どころか、毎時間と言っても良いかもしれません。

「会社のビジョンや理念をどうするか」
「採用の時期をどうするか」
「採用媒体はどこを使うか」
「研修はだれにやってもらうか」
「人事評価はどうしようか」
「売上をアップするにはどんな広告を使おうか」
「営業アプローチはどうやろうか」
「クロージングのタイミングはいつか」 「だれとアライアンスを組むのが良いのか」
「製造管理はどのようにやろうか」
「内部統制をどうするか」
「資金調達はどの金融機関からが良いか」
「投資家から調達するのが良いのか」
「税務はだれに依頼しようか」
「財務に強い人間を社内におくべきか」

などなど、決断しないといけないことは多岐に亘ります。そして、多くの社員・従業員の人たちは「社長はミスしない生き物だ」と錯覚していることも多くあります。

ところが、社内でもっとも多くトライ&エラーをくり返しているのが経営者です。むしろ、失敗の方が多いわけです。

事業投資にはイノベーションとリノベーションが必要

いわゆる「0→1」は産みの苦しみの連続です。事業の持続性、会社の生存率は決して高くありません。起業から3年後の生存率は50%ほどとも言われていますが、現実はもっと低いでしょう。

事業を継続するためには、常にイノベーションが必要です。「コロナショック以後、これまでの常識やノウハウは通用しなくなった」と話す経営者の方もいらっしゃいます。それだけ先が見えない、未来予測が難しいということでしょう。

とは言え、時代は常に激動で、激動でなかった時代はなかったはずです。例えば、縄文時代は縄文時代で激動だったはずなのです。イノベーションはいつの時代も起こり続けていますから、変革を受け入れるマインドを持つことも事業投資家には必要なスキルと言えます。

また、リノベーションも事業投資において必要な観点です。特にM&Aによって会社や事業を引き継いだときにはリノベーションが必要になるでしょう。

リノベーションは、建物の改装などで使われる言葉です。近しい言葉にリフォームがありますが、リフォームは「ボロボロになったところの修復工事(欠陥などを直す工事)」を指します。一方リノベーションは、「新たな機能や価値を付け加える工事」を指します。「新たな機能や価値を付け加えること」は、まさに事業投資に必要な観点です。

M&Aの場合、「既存事業とのシナジー」を狙って会社や事業を引き継ぐケースがありますが、いざ引き継いでみると「そうでもなかった」という場合も少なくありません。思いどおり進まないのが事業ですから、致し方ない部分もありますが、常に創意工夫や柔軟性、忍耐力を持って臨む必要があります。

事業ですから行き詰まることもあるでしょう。そんなとき、頼りにしたいのが専門家たちです。

事業投資のエキスパートが集まるZ-EN(ゼン)

事業投資の領域で第一線を走るエキスパート集団がいます。つながりバンクさんが運営する「Z-EN(ゼン)」というサイトや「スモールM&A研究会」というコミュニティには、弁護士や中小企業診断士、税理士、社会保険労務士、司法書士、行政書士などの士業や、経営コンサルタント、現役の経営者、投資家などの専門家が数多く集まっています。

実務経験豊富な専門家や英知、アイデア、人脈がこれほど集まっているコミュニティは数少ないでしょう。「あまり表には出たがらない実力派」が集まっていると私は感じています。気になった方は、「事業投資 ZEN」などで検索してみてください。

だれもがこのコミュニティに参加できるわけではありませんが、参加することができれば、事業投資の成功確率は格段に上がるのではないでしょうか。

Z-ENのサイトには、「経営や事業投資は、重要な判断の連続です。自分の内面と向き合いベストな『解』を出し、速やかに実行する行動力が求められます。リスク、失敗を許容する精神鍛錬も必要です。その精神は、『禅』に通じるものがあり、その想いを込めてメディア名を『Z-EN』としました」とあります。

ここに書かれていることは、事業投資の真理だと思います。まさに行動力や精神鍛錬が欠かせない分野だと感じます。