渋谷ABEMAS・多井隆晴は、Xでこう語った。
「2萬止めよりも、伝えたいことや自慢したいことがいくつかある」
と。
それでも私は、今週の名場面として多井の「2萬止め」を取り上げたい。
先週は、Mリーグ公式ホームページのメンテナンスが行われており、試合の牌譜が見られない状態になっている。
そのため、選手たちは配信で牌譜検討をすることが難しくなっているのだ。
多井の牌譜検討では、超一流プロならではの読みの話がたくさん聞ける。
多井は、自身でも手応えのある選択を、多く打った感触があるのだろう。冒頭の多井の発言は、そういった背景があってのものだ。
ただ、先週のMリーグで見るものを最も沸かせた多井のプレーは、間違いなくこれだった。
11月5日(木)麻雀2chの1試合目。
オーラスに、
4着目の佐野からリーチがかかる。
このとき、
多井は3着目。
佐野もリーチに踏み切ってくる以上、逆転の可能性を秘めている手を作ったはずだ。
多井は、おいそれと放銃することは出来ない。
ここは、
打1萬とした。
7筒は、下家にいる佐野の筋の牌だ。佐野は4筒を切っている。
ただし、筋は安全牌ではない。
リャンメンで当たることはないが、カンチャン、ペンチャン、シャンポン、単騎にヒットする可能性がある。
佐野の河は、
真ん中の4索から切り出していたり、4萬や6萬という使い勝手がいい牌のあとに端の1萬が出ていたりと、変則的だ。
素直なリャンメンリーチだと考えられる場合は筋は多少当たりにくくなるが、この佐野の河を見て、7筒が安全だとは到底言えない。
多井は、現物の1萬を打ち出しながら、イーシャンテンをキープする選択をとった。
次に多井が持ってきたのは、
4萬であった。
ここで多井は、
場を見て、考える時間をとった。
全体図を見ると、
(灰色の牌はツモ切りを表す。園田は7萬ポン→打9萬)
対面の園田と、下家の佐野が4萬を切っている。
自身の手にある2枚と合わせて、4萬は「4枚見え」。いわゆる「4萬のノーチャンス」が出来上がっている。
となると、今、手格好として切りたい2萬はリャンメンで当たらない、それこそ「ノーチャンスを頼れる」牌だ。
ここで2萬を切れば、マンズの445678萬という連続形が活かせる。
また、ピンズで6778筒の中膨れ形があるので、44萬を雀頭として、ピンズを横に伸ばしてテンパイするルートも残すことが可能だ。
実を言うと、佐野は、
2萬単騎待ちの七対子でテンパイしていたのだ。
2萬を多井が切ってしまうと、良くて3着。
裏ドラが2枚乗ると、リーチ七対子裏裏は8000なので、多井は4着へと転落する。
河から読めるように、佐野が七対子など変則手のテンパイだとしても、待ちの候補はいくつかある。
2萬だけが危ないわけではない。
“多井の放銃か――”
考える多井を見て、放銃しても仕方ないと思った視聴者は多かったのではないか。
意を決して、多井が切った牌は、
8萬だった!
2萬を止めた!!
やはり、
佐野の手が、トイツやアンコを重視した縦系の手だと考えると、2萬はかなり危険だ。
リーチ宣言牌が1萬となっているが、佐野の第4打の時点で、124(6)萬とあった場合に、4萬はかなり切りやすい。
なぜなら、早めに4萬を並べることで、この部分だけを見れば「1萬も2萬も釣り出しやすく出来る」のだ。
1萬に関しては、4萬のスジ。
2萬は、4萬が早く切られている外側の牌。リャンメン待ちなどでは当たりにくそうに見える。
「この部分だけを見れば」と書いたように、あとから手出しで1萬が出てくると122萬の形などが疑われる。
しかし、もし1萬が重なったときには、4萬を切っている2萬待ちというのは多少の盲点になる。2萬を引いての1萬待ちも同様だ。
また、メンツが出来る3萬受けも残るため、心理的に124(6)から4は打ちやすくもある。
以上より、
七対子の単騎待ちで色々と待ち候補はあるにしても、1萬が引っ張られた以上、2萬にはある程度以上のケアが必要だというのが、おそらくポイントだろう。
メンツ手での122萬からのシャンポンリーチパターンもある。
なんせ、多井隆晴はこういうとき絶対に甘えない。
“多井なら打たない”
というのがABEMAのコメント欄では一種のミーム化をしているが、それくらい「鉄壁」なのだ。
8萬ではなく4萬を打つパターンもある。多井はそもそもこの二択で悩んでいた可能性も高い。
ただ、8萬を打ってアタマ候補の4萬を確保しておく方が、他家が2萬を通してくれたときにピンズの中膨れ形を活かしてテンパイしやすい。
また、4萬を打つと、ツモ69萬で結局2萬が余るケースもある。
だから多井は4萬をキープして、8萬を切ったのであろう。
次に多井は、
見事3萬をキャッチしてテンパイ!
ここは、
現物の4萬を打った。
マンズの1-4-7萬三面張はフリテンだ。
しかも、先ほどもお話したように、7筒はリーチの佐野に通っていない。
不自由な形の単騎テンパイだが、タンヤオがついておるので、7筒が出てもアガれる。
だから、
多井は、佐野に単騎待ちで当たる可能性のある2枚切れの中を押していった。
そして、
佐野が7筒を持ってきた!
「ロン」
多井の低い声が響く。
「1300」
タンヤオのアガリ。打点こそ低いが、リーチ棒も手に入るので、多井は2300点をゲットして園田を逆転。
見事、2着で半荘を終えることに成功する。
オーラスを筆頭に、とにかく頼りになる多井隆晴。
ここで、3着や4着になるのと、2着で終えるのとでは大違いだ。 チームとしては、11/6(金)を終えた時点で、
7位のABEMAS。
入れ替え規定を弾き返すためには、レギュラーシーズンで6位までに入らないといけない。
この試合でのプレーのように、多井隆晴がギリギリのところで踏みとどまっているABEMASを救う「神」となることを、ABEMASサポーターは祈っている。
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