今年8月の千葉豪雨では、冠水した道路で動けなくなったクルマが千葉県内で約2,700台確認されるなど、日本では大雨によってクルマが水没する事例が相次いでいます。水没すると、どのくらいの修理費用がかかるのでしょうか? 今回は修理費用の大まかな相場と、保険など大雨への対策方法について解説します。
パターン別:水没による車の修理費用の相場
水没による修理費用は、浸水の深さによって変わります。代表的な例を見ていきましょう。
タイヤの下半分まで水没
タイヤの下半分程度であれば、影響を受けるパーツは少ないため、数万円程度で済むケースが多いです。そこまで高額になることはないでしょう。
ただし、この程度の浸水でもブレーキまわりには注意が必要です。ブレーキローターなどが錆びたり、ブレーキフルードに水が混入したりすると、ブレーキの効きが悪くなり、事故につながるおそれがあります。水が引いたあとは、整備工場で点検を受けましょう。
タイヤの上半分まで水没
タイヤ全体が水に浸かると、より多くのパーツに影響が及ぶため、10万円以上の修理費用がかかる可能性があります。とくに注意すべきなのがドライブシャフトです。ジョイント部分に水が入ると、内部のグリスが流れ出してベアリングが焼き付き、走行できなくなるおそれがあります。
ドライブシャフトの交換費用は1本あたり5万~10万円程度と言われています。前輪駆動車なら左右に2本付いているため、両方を交換すると20万円近くかかることもあります。
シートの上まで水没
水がシートの上まで来てしまったら、50万円以上の修理費用がかかる可能性が高いです。床より上まで浸水すると、エンジンや電気系統にも水が入っている可能性が高く、フロアやシートなどの分解清掃も必要になるため、車種によっては100万~200万円に及ぶことも。
エンジンやトランスミッションの交換が必要になれば、さらに高額になります。ここまでくると、修理をするよりも、新たに買い直したほうがよいかもしれません。
水が引いてもエンジンはかけない
水没したクルマは、見た目に問題がなさそうでも、電気系統のショートによる車両火災や感電のおそれがあります。国土交通省は、自分でエンジンを始動せず、販売店や整備工場に相談するよう呼びかけています。ハイブリッド車や電気自動車は高電圧のバッテリーを搭載しているため、むやみに触れないようにしましょう。
水没に対応する車両保険は?
水没した車両に保険が適用されるかどうかは、保険の内容によって異なります。
加入している車両保険をチェック
そもそも車両保険に加入していなければ、自分の車の損害は補償されません。車両保険に加入していれば、一般型(フルカバー型)とエコノミー型(車対車+限定A)のどちらでも、水没は補償の対象となるのが一般的です。ただし、原因については注意が必要です。
台風・洪水・高潮などによる水没は補償の対象となりますが、地震・噴火、またはこれらを原因とする津波による水没は、原則として補償の対象外です。
地震・噴火・津波による損害に備えるには、専用の特約を別途契約する必要があります。
保険を使うと等級は下がる
水没で車両保険を使った場合、「1等級ダウン事故」として扱われ、翌年の等級が1つ下がります。等級が下がると割引率が小さくなるため、保険料は上がります。
修理費用が少額の場合は、保険を使わずに自費で直したほうが、トータルの負担が少なくなることもあります。保険を使うかどうかは、保険会社や代理店に相談して決めましょう。
保険以外での水没対策
ここからは、保険以外で実践したいクルマの水没対策について説明します。
冠水する前の早期移動
一番確実なのは、道路や駐車場が冠水する前に、高台や安全な場所へクルマを避難させることです。ハザードマップを見て駐車場の浸水リスクをチェックし、大雨になる前から気象・河川情報を確認することをおすすめします。
自治体によっては、「車の避難所」を設けていることもありますので、自治体の情報も確認しましょう。
地下駐車場や周囲より低い場所にある駐車場は、大量の雨水が流れ込むと短時間で水位が上昇する可能性があります。周囲より高い場所や、浸水想定区域外などへ移動させましょう。
車両用浸水防止シート・バッグ
冠水・水害から愛車を守るための防災アイテムです。クルマをシートなどですっぽりと覆うことで浸水被害を防ぎます。
大きく分けて2種類あります。被せるタイプは、シートや大型の袋を車体に被せ、紐やバンドで固定するものです。数千円程度で購入できるのがメリットです。
包み込み・密閉タイプは、防水ジッパーなどを用いて車全体を密閉するタイプです。IPX7相当の防水ジッパーを採用した製品もあります。IPX7とは、水深1mに30分間沈めても内部に浸水しないレベルの防水性能のことです。
数万円程度かかりますが、防水性が高いのがメリットです。


