ポルシェやフェラーリといった高級車のブレーキが、「クルマ1台分で200万円以上」になることもあると聞くと、驚く方が多いのではないでしょうか。これは、「カーボンセラミックブレーキ」という高性能な部品を使っているためです。どんなブレーキなのでしょうか?
高級車のブレーキの値段は?
ブレーキをどれだけいじっても、クルマが速くなるわけではありません。ただ、しっかりとクルマが止まるからこそ、安心してアクセルを踏めるわけです。
新車に工場オプションで装着されるカーボンセラミックブレーキの価格は通常、5,000ドルから1万5,000ドルほど。メーカーやブレーキのサイズによっては、2万ドル以上にもなります。
この価格には通常、カーボンセラミックブレーキディスク、専用ブレーキパッド、高温に対応するために設計されたアップグレードキャリパーが含まれています。キャリパーとは、摩擦によってクルマを減速・停止させる重要なパーツです。
1万5,000ドル以上ともなると、軽自動車1台分を軽く超える金額です。金属製ブレーキと比較すると、カーボンセラミックブレーキはまさに、市場の最高価格帯に位置しているのです。
カーボンセラミックブレーキが高価な理由
ポルシェやフェラーリでも導入されているカーボンセラミックブレーキが、なぜこれほど高価なのでしょうか。その理由は次の通りです。
作るのに時間も技術も必要
炭素繊維とセラミックを焼き固めた高価な複合素材を採用しているため、製造には膨大な時間と高度な技術が求められます。何千度という高温で何度も焼き上げる特殊な加工技術が必要なのです。
超耐熱・高剛性
超高速域からのフルブレーキングでも熱ダレ(効きが悪くなる現象)が起きにくい特殊な素材を使用しています。
少量生産
一般的な大衆車や軽自動車のように、何十万台分も同じパーツを大量生産することはありません。職人の技術や専用の設備が必要で、限られた台数に向けて専用設計されるため、1個あたりのコストが跳ね上がります。
カーボンセラミックブレーキのメリット・デメリット
レーシングカーでも用いられるカーボンセラミックブレーキを一般道路で利用するメリット・デメリットを考えてみました。
メリット
優れた耐熱性
圧倒的な軽量化
ブレーキダストが出ない
極限の高温下でもフェード現象(制動力低下)を起こさず、安定した効きめを維持します。バネ下重量の大幅な軽減により、ハンドリングや路面追従性が向上します。
ブレーキで発生するダストが非常に少なく、ホイールが汚れにくいため、美観を保ちやすいのも大きなメリットです。
デメリット
交換コストが高い
衝撃に弱い
低速時にブレーキ鳴きが起こる
車両購入時のオプション価格や交換時のローター・パッド費用が数百万円規模と非常に高価です。衝撃に弱く、工具をぶつけて欠けや傷が入った場合、部分補修ができず、ローターごと交換になるリスクもあります。
また、特殊な素材の特性上、街乗りなどの低速時や冷間時に「キーキー」と音が鳴ることもあります。
結論:カーボンセラミックブレーキはコストに見合う?
カーボンセラミックブレーキには、コストに見合う価値があるのでしょうか。それは、主に運転習慣と期待値によって決まります。毎日、通勤で運転する人にとっては、そのメリットが費用に見合わないかもしれません。
しかし、高性能車や大型高級SUV、あるいは過酷な環境での高いコントロール性能を求めるドライバーにとって、カーボンセラミックブレーキは明確なメリットがあります。軽いのに高性能で熱への耐性も高いため、適切な用途であれば、投資として価値のあるものとなるでしょう。

