「あの世界の中に入れるんだ、ということがものすごくうれしかったです」――宮下今日子が、TBS系日曜劇場『VIVANT』(毎週日曜21:00~)で演じているのは、“中国の別班”ともいえる民間情報組織「Xinxi(シンシー)」の責任者・樊林杏(ハン・リンシン)。強烈なビジュアルと存在感を放つハンを、単なる“悪”として「一色にしない」ことを意識しているという宮下が、役作りや堺雅人、阿部寛との共演、アゼルバイジャンロケの舞台裏を語った。

  • 宮下今日子

    宮下今日子

「何でもいいから出演します!」念願の『VIVANT』参加

第1シーズンは、息子が初回放送を「好きなアニメの放送を待つように」楽しみにしていたことをきっかけに見始めたという宮下。物語が始まると自身も引き込まれ「『1週間待てない!』という気持ちになったのは久しぶりでした」と振り返る。

それだけに、第2シーズンからの出演オファーには「何でもいいから出演します!」というほど歓喜。「決まった時は『あの世界の中に入れるんだ!』ということが、ものすごくうれしかったですね」と明かす。

樊林杏は、自衛隊直轄の非公認組織「別班」に所属する乃木憂助(堺雅人)の前に立ちはだかるシンシーの責任者。宮下は「悪役ではありますが、SNSでは好意的な声もたくさんいただいて」と想像以上の反響を喜び「『キャラクターとして認めてもらえているのかな』と感じられるのもうれしいです」と話す。

「悪い」「強い」だけにしない ハンにも“彼女なりの正義”

役作りで意識したのは、ハンを“一色”にしないことだった。

「『悪い』『強い』だけの人間にはしたくなかった」といい、「一人一人それぞれの正義で動いているので、ハンにも彼女なりの正義があると思うんです」と人物像を掘り下げた。

現在の地位まで上り詰めた背景についても「きっとものすごく大変な思いをして今の地位まで上り詰めた“苦労人”なんじゃないか」と想像。「どんなに強い人間にも弱い部分があって、いろいろな面がありますよね。そういう人間的な部分がにじめばいいなと思って演じていました」と語る一方「ただ、この先はそれどころじゃなくなっているかもしれません(笑)」と予告する。

印象的な長い三つ編みは、宮下自身の提案だった。豪華な共演陣に囲まれる中「相当特徴的なビジュアルがないと太刀打ちできないな」と考え、衣装合わせ前に「長い三つ編みにしたい」と提案。「あの髪型には本当に助けてもらいました」と振り返った。

中国語は「もう2年勉強させてほしい(笑)」

劇中で披露する中国語には相当苦労したという。「本当に大変でした。あと2年足りなかったなって(笑)。『もう2年勉強させてほしい』という気持ちです」と苦笑する。

特に難しかったのが発音。「学生時代にやっておけばよかったと後悔しました」といい、セリフは丸暗記。何度も翻訳アプリに向かって発音したものの「全然違う言葉が出てきて『がっかり…』みたいな(笑)」という経験もあったそうで「少し発音が変わるだけで違う意味になってしまう難しさがありました」と語った。

堺雅人の“一人三役”に「どうなっているんだ」

そんな宮下が間近で目撃したのが、乃木、その別人格のF、リュウ・ミンシュエン(劉銘軒)という三役を演じ分ける堺の芝居だった。

「本当に全然違う人なんです」と驚きを口にし「撮影現場で三役を行き来される場面を拝見したのですが、一人一人がまったく違って見えるんです」と証言。特に動き方がそれぞれ異なり「動作一つをとっても、見事に演じ分けていらっしゃる」と圧倒されたという。

しかも、切り替えの時間をほとんど感じさせずに人物を行き来する姿を見て「『どうなっているんだ』と思うくらい衝撃でした」と振り返った。

警視庁公安部外事第4課・野崎守役の阿部についても「とにかくすごく引きつけられる方」といい「こちらが何かお芝居を作ろうとしなくても、阿部さんをただ見ていれば自然とそうなる」と表現する。

すでに出来上がったキャラクターたちの中へ途中から加わることに「どこに立てばいいんだろう」と考えていたが、「『こうやろう』と決め込むより、撮影現場に行って堺さんと阿部さんと向き合うと、居方が見つかったような感覚があって。お二人にはとても引き上げていただいたと思っています」と感謝した。

豪華な家具に驚がく「さすが!」

実際に『VIVANT』の現場へ入って感じたのは、その圧倒的な規模だった。

「何もかも規模が違って、初めてのことばかりでした」といい、衣装合わせの段階からスタッフの人数に「こんなに大勢!?」と驚いたという。アゼルバイジャンで阿部と2人で歩くシーンにも触れ「実際にあの場所へ行ったからこその映像ですよね。本当にうれしかったです」と振り返る。

ハンの執務室にも本物の高級家具が使われており、ソファの金額を聞いた際には驚がく。「『さすが!』と思いました。画面から感じる重厚感は、本物の調度品や高級家具だからこそなんですね」と、細部まで作り込まれたセットにも感銘を受けた。

アゼルバイジャンでの撮影は「本当に楽しかったです! また行きたいくらい」といい「旅番組があれば出演したいな」と思うほど気に入ったそう。街並みや人々の雰囲気に加え、伝統的な家庭料理・ドルマも堪能した。

撮影の合間には観光し、カーペットも購入。「ロケ地を巡るには少し距離がある場所もありますが、ぜひ皆さんにもおすすめしたいです」と語った。

「責任者としてのハンが、どんどん恐ろしくなっていく」

第18話以降については「責任者としてのハンが、どんどん恐ろしくなっていく展開ですね」と予告。「こちらもきわどい状況になっていくので、“怖み”はさらに増していくと思います」と明かす。

ただ、ハンを単純な悪役として捉えなかった役作りと同様、シンシー側にも「こちらにはこちらの正義と目的」があると強調。「シンシーにも目的があって、それぞれの焦りや人間味も見えてくる」といい、物語が進むほど「シンシーが何を考えているのか、だんだん“得体が知れてくる”」点にも注目してほしいと呼びかけた。

そして、TBSラジオ『VIVANT 悪役会議室』について、「私もいつか出演できるのかな(笑)」と期待。ハンの部下・シュウ・ハオラン(周浩燃)役のリンリンも出演を狙っているそうで「私もそろそろ交ぜてもらえるのかなと。そこも楽しみにしています」と笑った。

本編放送後にTVerで配信された『VIVANT-Adventure Log-』#16では、堺が宮下との芝居について「宮下さんだからできたリュウ」と語る場面や、宮下が提案した長い三つ編みなど、ハンのビジュアル作りの裏側も紹介されている。ハンの“怖み”が増していく中、彼女とシンシーがこの先、乃木たちの物語をどう揺さぶっていくのか注目だ。

【編集部MEMO】
宮下今日子は、1975年8月14日生まれ、東京都出身。3歳からクラシックバレエを始め、1998年にNODA・MAP『ローリングストーン』に出演するなど舞台を中心に活動を広げる。ドラマ『天体観測』『相棒』『不適切にもほどがある!』『宙わたる教室』、映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』『ヤクザと家族 The Family』『ルノワール』などに出演。舞台でも幅広く活動している。

(C)TBS