50歳を間近にしたヒロイン(内田有紀)と、20歳も離れた青年(寺西拓人)との“歳の差恋愛”をピュアに描きながら、年齢差ゆえのリアリティや、それぞれが抱える過去、家族や友人たちとの軋轢まで織り込んだフジテレビ系木曜劇場『ラストノート』(毎週木曜22:00~※FOD・TVerで見逃し配信)。
このエンターテインメント性たっぷりのラブストーリーを手掛けるのは、今なお流行中の“不倫ドラマ”の火付け役ともなった『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(2014年)や、センシティブな夫婦のセックスレスを描いた『あなたがしてくれなくても』(2023年)、“托卵”というテーマがセンセーショナルだった『わたしの宝物』(2024年)など、一筋縄ではいかない恋愛を描き続けてきたフジテレビの三竿玲子プロデューサーだ。
そんな三竿Pが今回挑んだのは、意外にも“まっすぐなラブストーリー”だった。なぜ今、そんな恋愛物語を描こうと思ったのか。作品に込めた思いから、キャラクター誕生の裏側、そして今後の見どころまで聞いた――。
「キラキラのラブストーリーをやります」と言っても誰も信じない
これまで「不倫」「セックスレス」に「托卵」と、恋愛ドラマでありながら一筋縄ではいかないテーマを扱ってきた三竿P。だからこそ、『ラストノート』の出発点は、これまでとは対照的なものだったという。
「私の作品は『昼顔』『あなたがしてくれなくても』『わたしの宝物』で“不倫三部作”とか言われていて(笑)、ちょっとトリッキーなテーマをやってきたので、純粋にお互いが好きで…という本当にまっすぐなラブストーリーをやってみたいと思ったんです。それと、世の中に不倫モノのドラマが結構増えている現状もあって、逆に振りたいという思いもありました」
一方で、「私が“キラキラのラブストーリーをやります”と言っても、誰も信じないし、求められないというのがありまして(笑)」とハードルが。そこで、「“どんな要素があったら求めてもらえるんだろう?”と考えた結果、“自分と歳の近い女性が、だいぶ年下の男の子と恋愛をしたらどうなるんだろう?”というところから、私の同世代の女性が“こんな物語があったらいいな”と夢見ることができる物語ができたらいいのではないかと着想しました」と明かす。
その夢をただのファンタジーに終わらせないために重要だったのが、葵(内田)のキャラクターと、彼女を取り巻くリアルな日常だ。
「内田さんと寺西くんというキャスティングでやりたいと思った時に、内田さんにどういう職業でやってもらうのがいいんだろう?と脚本家と話している中で、身近な職業ではないほうがいいと考えました。そんな中で、知ってそうだけど知らない、どういう仕事をしてるのかは分からないけど、ちょっとかっこよくて、色気もある調香師を見つけました」
その先に、作品の象徴ともいえる“香り”をタイトルにどう落とし込むかを考える中で、「ラストノート」という言葉に出会った。
「香りというのはテレビの前で伝わらないので少し不安もあったのですが、香水用語の『ラストノート』が“人生最後の恋”にかかると思って、このタイトルに決めました」
内田有紀と作った“50歳のリアル”
葵というキャラクターを作る上では、内田自身との会話も大きな意味を持った。内田は「今の年齢、50歳だからこその等身大を大切にしたい」と話していたという。三竿Pもまた、50歳という年齢には、若い頃とは違う恋愛の捉え方があると考えた。
「50歳というのは、この先の人生が見えてきて、あんまり大きな出来事が起きなくていいから日々が幸せであればいいという、ある種の諦めみたいなものが私たちの世代で分かる感情だという話をして、葵というキャラクターを作っていきました」
だからこそ、第4話で葵がぎっくり腰になってしまう場面も、単なるコミカルなシーンという狙いではなく、三竿Pと内田の間で交わされていた「年齢を重ねることによる身体の変化」についての会話が、そのまま物語に取り入れられたのだそう。
「この年になると腰も痛いし、なんだか体の調子悪いなと感じる日も増えてくるという話を内田さんともしていたので、“それを物語に入れていいですか?”と聞いたら、“むしろ入れてほしい。それこそがリアルだからちゃんとそこはやってほしい”と言ってくださいました」
第4話に登場したハンバーガーを食べて胃もたれしてしまうくだりも、同じ発想から生まれた。
「そういう話を入れていくことで、より身近に感じられるのではないかと思いまして、それによって新しい感覚として描いたドラマにもなるのではないかと思ったんです」

