内田有紀と寺西拓人がW主演を務めるフジテレビ系ドラマ『ラストノート』(毎週木曜22:00~ ※FOD・TVerで見逃し配信)の第6話が、13日に放送された。

本作は、20歳差という年齢はおろか、育った環境や経験にも大きな隔たりがある“恋をするはずがない/恋するわけにはいかない”男女が惹かれ合う大人のラブストーリー。

第6話で見えてきたのは、「こんな男なら好きになってしまってもしょうがない」と思わせる、澄晴という人物そのものの圧倒的な魅力だった。そして、元ロマンス詐欺師という危うささえ抱える“出来すぎた男”を、嫌味なく一人の人間として成立させているのが、寺西拓人の芝居だ。

  • (左から)寺西拓人、内田有紀 (C)フジテレビ

    (左から)寺西拓人、内田有紀 (C)フジテレビ

なぜ葵は20歳年下の澄晴に惹かれたのか

50代を間近にしたヒロインが、20歳も離れた男性に恋に落ちる。当然、実年齢がまるで50歳とは思えない内田有紀が演じているため、美男美女のカップリングとして画面に映れば、その年齢差に大きな違和感を覚えることはない。2人が恋に落ちること自体を、殊更に説明する必要もないだろう。

しかし、令和のこの時代に、あえて20歳差という恋を描くのであれば、それ相応の説得力が必要になる。50代を間近にした女性が、なぜ20歳も年下の男性を好きになるのか。そして、葵(内田)自身が「好き」という感情をどう受け入れていくのか。今作において、20歳差の恋を成立させるための最大の鍵は、そこにあったのではないだろうか。

今回の第6話で、ついにその答えが提示された。それは、葵の心情を掘り下げることでも、年下男性との恋に戸惑う彼女の葛藤を描くことでもない。澄晴(寺西)というキャラクターそのものの、圧倒的な魅力だった。

ここで改めて、澄晴という人物を振り返ってみたい。すると澄晴というキャラクターは、実に“危険”な設定のオンパレードである。

何しろ、元ロマンス詐欺師で、女性たちをだまして金を得ていた過去がある。一方で、絵を習っていたというロマンチックすぎる才能を持ち、葵との最初のコミュニケーションでは、メモ帳にさりげなく花の絵を描いてみせる。

詐欺師を辞めると、足を洗うためにすぐさま運送屋のバイトを始めただけでなく、葵と楽しく過ごしたハンバーガーショップでバイトまで始めてしまう始末。そこで出てきた“ハートのピクルス”を見つければ、嬉々(きき)として葵を呼び出す。

恥ずかしげもなく何げなく花を買って渡せるし、葵への感情に気づくと、過去の罪と向き合い、なんと出頭して罪を自白してみせる。「好きになる資格」を得るために、そこまでしてしまうのだ。

さらに今回は、葵との縁が切れそうになれば、未練たらしく引き留めるのではなく、葵の“香り”を取り戻すためのアイテムとして、花瓶をセレクトできる男なのである。

ロマンス詐欺に、絵の才能。さりげなく描いてしまう絵、ひたむきすぎる行動、“ハートのピクルス”、すぐに渡してしまう花、そしてそこに生ける花瓶――。一つひとつに、ミステリアスな“影”、ロマンチックな“キザさ”、まっすぐな“純粋さ”、どこか危うい“少年性”、そして女性に対する“さりげなさ”が詰め込まれている。そう。澄晴はあまりにも出来すぎているのだ。

  • (C)フジテレビ

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王子様を“演じているように見えない”強さ

普通に描けば、ただの“作り込みすぎた王子様”にしか見えない。けれど、そうならない。寺西拓人が演じる澄晴には、それが皆無なのだ。「女性をだましていたじゃないか!」「警察へ行ったからって過去を精算できるはずがない!」「花をプレゼントなんてキザすぎる!」と、こちらがいくらツッコミを入れようとも、寺西拓人の芝居はびくともしない。驚くほど邪念がないのである。

澄晴は、何かを計算しているようには見えない。花を渡すことも、ハートのピクルスを見つけ出すことも、葵のために花瓶を選ぶことも、ただ「好きな人に何かしてあげたい」という、その瞬間の感情から出ているように見える。だから、キザなのにキザに見えないし、作り込まれているはずなのに、全く作り込まれてもいない。王子様なのに、王子様を演じているようにも見えない。そのすべてを、寺西拓人が成立させてしまっている。

だからこそ、澄晴という一見すると“危険なキャラクター”が、私たちの目の前で、ちゃんと一人の人間として成立する。むしろ、あまりにもまっすぐだからこそ、彼が詐欺師として多くの女性をだましていたことすら、許してしまいそうになる。

…もはやこれは、私たちが澄晴に恋愛詐欺を仕掛けられているのではないか?…そう思えてくるほどだ。

ここまで見せられてしまえば、ラストの葵の行動にも納得してしまう。これまでの澄晴との日々が走馬灯のように蘇り、その衝動のまま彼のもとへ走り出す葵。あんな男性に出会ってしまったのならば、自分が齢50に近いことなど関係ない。20歳差という年齢差だって関係ない。「好き」という、その感情だけで走り出してしまう。

それを見て、私たちも思うのだ。――澄晴って、好きになってもしょうがない男だよな。――そう思わせることこそが、今回描かれた“20歳差の恋を成立させる説得力”だったのではないだろうか。

そして今回、いよいよ2人は結ばれた…はずなのだが、そこへ待ってましたの優子(坂井真紀)である。今度は澄晴の父・眞澄(佐々木蔵之介)と接点を持とうとするようだが、またしても全く予想のできない展開へ…。

2人がようやく結ばれたと思ったら、今度はそこに優子がどう絡んでくるのか。しかも、その相手が澄晴の父親とは。ここまで来ても、まだ何が起こるのか分からない。けれど、だからこそワクワクしてしまう。もう、次回が楽しみで仕方ない。

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