後編では、猿まわしという厳しい世界で壁にぶつかりながらも、自分と向き合い、一歩ずつ成長していく新人たちの姿が描かれる。中でも印象的だったのは、師匠が投げかけた「悔しがれ」という言葉だった。
「相手は人間ではなく動物なので、思い通りにいかないこともたくさんあると思うんです。それでも、お客さんを楽しませたいという思いで、お猿さんと向き合い続ける姿は、本当にかっこいいなと思いました」
夢や目標があるからこそ、思うようにいかない現実に悔しさを覚える。その感情とどう向き合うかが、人を成長させる――そんなメッセージを、志田も自身の経験と重ね合わせながら受け止めていた。
「私自身も昔は結構負けず嫌いだったので、悔しい気持ちになることはたくさんありました」
芸能活動を始めてからも、オーディションに落ちたり、思い描いたような結果につながらなかったりする経験は少なくなかった。しかし、いつしか物事を違う角度から受け止められるようになったという。
「以前だったら『ダメだった』と落ち込んでいたと思うのですが、今は『きっとこの役には私が合わなかったんだろうな』と思えるようになりました」
もちろん悔しさがなくなったわけではない。それでも、その感情に飲み込まれるのではなく、前を向く力へと変えていく。そうした考え方は、フィギュアスケート時代の経験や、さまざまな現場で積み重ねてきた時間が育んだものなのだろう。
「落ち込むことがあっても、それを引きずるより、『次に頑張ろう』と思えるようになった気がします」
「好きじゃないと続けられない」からこその前向きな姿勢
今回、『ザ・ノンフィクション』で初めてナレーションを務めた志田。その経験は、かねて目標に掲げていた「声の仕事」という夢をかなえた一歩にもなった。
今後挑戦してみたいことを尋ねると、「『プリキュア』シリーズの声優をやりたいです」と笑顔を見せる。
「スーパー戦隊でヒーローを演じさせていただいたので、次は『プリキュア』に挑戦できたらうれしいです。あと、もう22歳になったので、専門用語がたくさん出てくるようなお仕事モノにも出演してみたいです。新人のおてんばな看護師さんなども、ぜひ演じてみたいですね」
現在出演中の劇団☆新感線『アケチコ! ~蒸気の黒ダイヤ、あるいは狂気の島~』の地方公演が続く今年の夏は、各地のおいしい食べ物を楽しみにしているという。
なかでも夏の好物は「かき氷」。「メロンやコーラのシロップがかかっているのが好きですね」と表情を緩めた。
最後にあらためて番組の見どころを尋ねると、「好きじゃないと続けられない世界だと思うんです。だからこそ、皆さんの前向きな姿勢がすごく刺さりました」と、長時間にわたるナレーション収録後の充実感をにじませながら語った志田。
「怒られない時代」を生きる若者たちだからこそ、夢をかなえるまでの道のりや、そのスピードは、人それぞれ違う。それでも、自分が選んだ道を信じ、悩みながらも、一歩ずつ歩み続ける登場人物たちの姿は、観る人たちの背中も押してくれるはずだ。
●志田こはく
2004年生まれ、埼玉県出身。22年に舞台『六番目の小夜子』で俳優デビューし、同年にはテレビ朝日系スーパー戦隊シリーズ『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の鬼頭はるか/オニシスター役で注目を集める。以降、ドラマ『私がヒモを飼うなんて』『ガチ恋粘着獣』『最高の生徒 ~余命1年のラストダンス~』『リビングの松永さん』『伝説の頭 翔』『なんで私が神説教』『浅草ラスボスおばあちゃん』『プロパガンダゲーム』などに出演。今年はドラマ『女の子が抱いちゃダメですか?』でW主演を務めたほか、劇団☆新感線の舞台『アケチコ!~蒸気の黒ダイヤ、あるいは狂気の島~』に出演している。

