ワールドカップ初出場にして、世界ランク2位のスペインを相手にスコアレスドロー、続く第2戦でもワールドカップ初代王者・ウルグアイから2点を奪って引き分け、決勝トーナメントでは前回王者のアルゼンチンを延長戦まで追い詰めるなど、世界に衝撃を与えたアフリカの島国・カーボベルデ。大躍進の立役者となった40歳の守護神ヴォジーニャは、SNSのフォロワー数が急増するなど、世界的な注目を集めている。

そんなカーボベルデに、世界が本格的に注目する前から現地入りしていたのが、フジテレビのスポーツバラエティ番組『ジャンクSPORTS』(毎週土曜16:30~ ※関東ローカル)の蜜谷浩弥チーフプロデューサー。片道36時間をかけ、当初は3泊6日の弾丸取材で帰国する予定だったが、第1戦のスペイン戦後の熱狂と現地で得た手応えから延泊を決断。結果的に8泊11日に及ぶ長期取材となった。

この模様は4日の放送で紹介されたが、21日(19:00~)に全国ネットで生放送されるゴールデン特番でも“完全版”として展開。現地取材で人生観が変わったという蜜谷CPに、たっぷりと話を聞いた――。

  • カーボベルデ代表のユニフォーム姿で浜田大明神を抱える『ジャンクSPORTS』蜜谷浩弥チーフプロデューサー

    カーボベルデ代表のユニフォーム姿で浜田大明神を抱える『ジャンクSPORTS』蜜谷浩弥チーフプロデューサー

21日生放送SPへの“押さえ”企画だった

出発点は、ワールドカップ直後の21日に生放送が決まっていた2時間スペシャルを制作するにあたっての“押さえ”の企画だった。オリンピックやワールドカップのような大きな大会を受けた特番では、選手や関係者が番組に出演できるかどうかが、放送ギリギリまで見えない。蜜谷氏は「直前まで調整が必要な生放送に対応するために、VTRをいくつか用意しておかないといけなかったんです」と打ち明ける。

その中で出会ったのが、カーボベルデ。最初のフックは、人口60万人に満たない小さな国でありながら、ワールドカップ初出場を果たしたという事実だった。

さらに調べていくと、この国が「すごく親日らしい」という情報に行き当たった。理由を掘っていくと、1960年代に日本のマグロ漁船が大西洋漁業の補給基地としてカーボベルデの港に寄港していたこと、そこから地元の人々との交流が生まれたこと、独立後も日本との友好関係が続き、干ばつや飢餓に苦しむカーボベルデへ日本が米を支援してきたことなどが分かった。

「(日本の)マグロ漁船が立ち寄っていて、江戸前寿司屋がいっぱいある。日本が米を送った経緯から米食が主食になって、それが親日のきっかけになっている。昔をさらに調べると、500年前は無人島だったという話もあって、建国から50年ちょっと。こうしてトピックを羅列しただけで、“どんな国なんだろう”と気になっていきました」

こうして、「地球の反対側にある親日と言われる国で、人口50万人ぐらいしかいないのに決勝トーナメントに行ったカーボベルデは、なぜこんなに強いのか」という疑問から、現地取材が動き出した。

  • カーボベルデの寿司職人とマグロ寿司 (C)フジテレビ

    カーボベルデの寿司職人とマグロ寿司 (C)フジテレビ

「日本は素晴らしい国なんだ!」と熱弁される

日本からのルートは、まずドイツへ飛び、そこからポルトガルを経由してカーボベルデへ。片道だけで約36時間かかり、飛行機では「腰が爆発しそうでした(笑)」という苦行の旅だったが、「リサーチを重ねれば重ねるほど、視聴者が見て面白いと思ってもらえそうなものが撮れる」と確信していた。

現地で最初に驚いたのは、日本人への反応。街を歩くと、ほぼ全員に声をかけられた。海外に行けば「これを買ってくれ」といった商売の売り込みが定番だが、カーボベルデではまず「お前はジャポネ(日本人)か?」と聞かれ、「ジャポネ」と答えると、「オーブラザー!」と一気に距離が縮まるという。

「ちょっとしゃべると、“日本は素晴らしい国なんだ! お前は本当に分かっているのか?”と熱弁されて、“米を送ってくれた”とか逆に日本のことを教えてくれるんです。すごくうれしい気持ちにもなりましたし、こっちもカーボベルデを知らなきゃという気持ちになりました」

かつて奴隷貿易の中継地点であり、ポルトガルの植民地だった時代を経て、1975年に独立したカーボベルデ。建国から50年あまりの若い国でありながら、日本とは独立と同時に国交を結び、51年間友好関係が続いてきた。「Saiko Dayo(最高だよ)」という日本語の歌詞が入った国民的な歌も存在するほどの親日国だったのだ。