• ヴォジーニャの母・エヴォラさん (C)フジテレビ

    ヴォジーニャの母・エヴォラさん (C)フジテレビ

カーボベルデの快進撃を語る上で欠かせないのが、40歳の守護神ヴォジーニャだ。蜜谷氏は、現地で彼の存在の大きさを実感したという。

「何か言うとしたら“カーボベルデ”か“ヴォジーニャ”と話しかけられるんです。みんな“ヴォジーニャが何とかしてくれるだろう”と思っている感じでしたね」

近年の各国代表チームは、ルーツをたどって招集された海外育ちの選手も多い。カーボベルデ代表もそうした選手が多く占める中で、ヴォジーニャはカーボベルデで生まれ育った存在。そのことも、国民にとって特別な意味を持っている。

カーボベルデ国内でサッカーを続けるだけでは生活が難しく、大人になると仕事を求めて海外へ出る人も多い。だからこそ、サッカーは子どもたちにとって人生を切り開く憧れでもある。蜜谷氏は「楽しいだけでサッカーをやっているのではなく、背負っているものが一段違うんです。これは相当なプレッシャーだと思います」と想像。それだけに、スペイン戦後、ヴォジーニャが涙を流した姿には、大いに納得した。

今回の滞在では、ヴォジーニャの母・エヴォラさんへの取材が実現。スペイン戦前から現地に入っていたため、海外メディアとしていち早く家族に接触できた。とにかく日本人に優しいカーボベルデの人々が紹介してくれたことも大きかったという。

スペイン戦後、ヴォジーニャは母のビザの保証金を払えなかったことを涙ながらに語っていたが、息子の活躍を近くで応援できない歯がゆさの心中を、エヴォラさんも涙ながらに明かしている。

国民性を象徴する「NO STRESS」

現地で蜜谷氏が印象に残ったのは、国を愛する風景が日常に自然にあることだった。多くの人が「I LOVE CAPE VERDE(アイ ラブ カーボベルデ)」と書かれたTシャツを着用。それは試合の日だけではなく、普段着として当たり前のように身につけているのだという。

また、彼らの国民性の一つを表す言葉が、「NO STRESS(ノーストレス)」。カーボベルデでは、国のスローガンのように「NO STRESS」と書かれたTシャツやキャップを多くの人が身につけていた。

昼間の暑い時間は無理をせず、夕方になると人々が街へ出て、友人と話し、散歩して帰るという生活。仕事に対する考え方も日本とは異なり、「お金が必要な時だけ働く」という感覚で、「僕は本当に真逆の人生だなと思って、“自分はこの人生でいいのかな”とちょっと思いました」と感化された蜜谷氏は、思わず「CAPE VERDE NO STRESS」と書かれたキャップを購入した。

  • 「CAPE VERDE NO STRESS」キャップ

    「CAPE VERDE NO STRESS」キャップ

現地ロケを通して、すっかり“カーボベルデ推し”になった蜜谷氏。「なんなら日本より推している可能性あります」と笑いながらも、その言葉には、取材を通じて本気で心を動かされた実感が伝わっていた。