藤井聡太棋聖に服部慎一郎七段が挑戦するヒューリック杯第97期棋聖戦五番勝負(主催:産経新聞社、日本将棋連盟)は、第1局が6月4日(木)に千葉県木更津市の「龍宮城スパホテル三日月」で行われました。対局の結果、挑戦者用意の急戦策を打ち破った藤井棋聖が99手で勝利。快勝といえる内容で好スタートを切りました。

期待の新鋭が挑む!

藤井棋聖は7連覇を、服部七段は初タイトルを目指す戦い。注目のシリーズは振り駒で後手となった服部七段がさっそく工夫を披露して幕を開けました。角換わりの出だしから先手に飛車先の歩交換を許すのは今年3月の棋王戦で増田康宏八段が見せた力戦調の指し回し。飛び出した飛車を目標に角打ちで応戦して序盤からのっぴきならない戦いが始まりました。

先手が角を、後手が飛車を手にして激しい応酬は一段落。両者手探りの中盤戦で、藤井棋聖としては飛車の代償に作った馬をいかに働かせるかという展開です。対する服部七段は現状の歩切れに加えて盤上に残ったほうの飛車をいかに活用するかが課題で、これが自陣で眠ったまま終局した本譜の展開を思うと、この時点でやや作戦負けだった可能性が残りました。

自陣飛車VS自陣角、結果は…

形勢容易ならずと見た服部七段は勝負手を繰り出します。自陣四段目の飛車の隣に持ち駒の飛車を並べるのは見るからに苦労がしのばれる珍形で、先手の馬の圧力に物理的な攻めで対抗したい狙い。しかしこの日は藤井棋聖のこなれた指し回しがその一枚上を行きました。読みの入った自陣角が受けの決め手で、後手の銀の進軍はピタリと止まってしまいました。

丁寧な受けでペースをつかんだ藤井棋聖がリードを広げにかかります。3筋に歩を打った手が抑え込み完成の決め手で、後手の飛車は働く目途が立たなくなっています。終局時刻は18時58分、このまま逆転の見込みなしと認めた服部七段の投了で藤井棋聖の開幕勝利が決定。敗れた服部七段は局後、「(桂跳ねの)暴発したのが悔やまれる」との感想を残しました。

水留啓(将棋情報局)

  • 勝った藤井棋聖だが「(41手目の)金寄りがちょっと甘い手だった」と自戒を込めて振り返った(提供:日本将棋連盟)

    勝った藤井棋聖だが「(41手目の)金寄りがちょっと甘い手だった」と自戒を込めて振り返った(提供:日本将棋連盟)