第47回将棋日本シリーズJTプロ公式戦は2回戦が進行中。8月8日(土)には伊藤匠二冠ー斎藤慎太郎八段の一戦が北海道札幌市の「札幌コンベンションセンター」で行われました。対局の結果、相掛かり持久戦のねじり合いから抜け出した斎藤八段が97手で勝利。一瞬のチャンスを見逃さず宿敵を破りベスト4進出を決めています。

リベンジ目指して

4~5月にかけて行われた叡王戦五番勝負では伊藤二冠にフルセットのすえ惜しくも敗れた斎藤八段。リベンジを目指す本局は、振り駒で先手番を得て迷わず相掛かりを志向しました。玉を4筋に上がったのは細かい工夫で、右玉をベースにじっくり指す含みを持たせています。このあと地下鉄飛車からの飛車先逆襲を見せる指し方で後手からの仕掛けを誘いました。

すでに定跡形からは大きく外れており、両者手探りの時間が続きます。右辺に桂を跳ね出したのが斎藤八段の決断よい指し回しで、直前に打った角との連携で敵玉そばに馬を作ることに成功。分岐点が待っていたのはこの直後でした。桂を打って金の両取りをかけたのは後手・伊藤二冠期待の反撃ですが、「両取り逃げるべからず」で放置したのが斎藤八段の好判断。

充実ぶり示す快勝

金取りの判断を委ねられた伊藤二冠ですが、タダのほうの金を取って手番よりも実利を重視した手が敗着となりました。激しい駒の取り合いに突入するこの変化は先手に飛車を与えるだけにさすがに危険で、自陣に飛車を打ち込まれてからは一方的な展開に。早い段階で作戦負けを感じていた伊藤二冠としては全体的な悲観が形勢悪化を招いてしまった格好です。

終局時刻は17時21分(対局開始16時8分)、最後は伊藤二冠が形を作って投了。終局図で斎藤玉には詰めろがかかっているものの、伊藤玉が一手早く詰んでおり投了もやむを得ない形でした。一瞬のチャンスを見逃さず一直線の変化に踏み込んだ斎藤八段は充実の内容でライバルに快勝。準決勝では近藤誠也八段―佐々木勇気八段戦の勝者と対戦します。

水留啓(将棋情報局)

  • 斎藤八段は局後「終始難しい将棋だったが集中して指せた」と一局を振り返った(写真は第11期叡王戦第1局の際のもの。撮影:會場健大)

    斎藤八段は局後「終始難しい将棋だったが集中して指せた」と一局を振り返った(写真は第11期叡王戦第1局の際のもの。撮影:會場健大)