第85期順位戦(主催:毎日新聞社・朝日新聞社)B級2組は、3回戦全13局の一斉対局が各地の対局場で行われました。このうち東京・将棋会館で指された羽生善治九段―斎藤明日斗六段の一戦は117手で斎藤六段が勝利。注目の一戦を制して3連勝とし、昇級に向け好スタートを切っています。
注目の「ベテランvs若手」対決
二人の対戦はこれまで6回あり羽生九段の4勝。昨年の順位戦では羽生九段が貫録を示しているだけに、昇級を目指す斎藤六段としてはリベンジを目指したいところです。斎藤六段の先手番で始まった対局は両者得意の相掛かり空中戦へ進展。角交換で局面が落ち着いたように思われましたが、右辺での端攻めに踏み切ったのが斎藤六段らしい踏み込みでした。
難解な中盤戦を前に、順位戦らしいジックリとした午後の長考合戦が続きます。形勢が動いたのは数手後、羽生九段が当たりになっている香を逃げて受けきりを目指したときのことでした。チャンスと見た斎藤六段はジェットコースターのような一直線の手順で後手玉に肉薄。角を捨てて飛車を取り返すトリッキーな手順も披露して指しやすさを手にしました。
斎藤六段が攻めきって快勝
駒の損得こそないものの、後手玉が中段に追い出されており、羽生九段としては苦しい受けの時間が続いています。持ち駒の飛車と角を打って先手玉にプレッシャーをかけたのはせめてもの反撃ですが、手厚く金を打って角取りとしたのが斎藤六段用意の攻防手で、先手優勢は揺らぎません。最終盤に一失あったものの、以降はおおむね斎藤六段の一人舞台となりました。
終局時刻は23時38分、ともに持ち時間を使いきる熱戦は、自玉の受けなしを認めた羽生九段の投了で幕。中盤で丁寧な受けを選んだ羽生九段ですが、香を浮いて空いたスペースに垂れ歩を打たれることで斎藤六段の鋭い攻めを誘発してしまった格好です。快勝で開幕3連勝とした斎藤六段は昇級に向け好発進。一方敗れた羽生九段は0勝2敗の苦しい星取りです。
水留啓(将棋情報局)
