福間香奈女王に西山朋佳女流三冠が挑戦する第19期マイナビ女子オープン五番勝負は、両者2勝で迎えた最終第5局が5月29日(金)に東京・将棋会館で行われました。対局の結果、両者得意の相振り飛車から抜け出した福間女王が113手で勝利。快勝といえる内容で女王初防衛を決めています。
通い慣れた相振り飛車で
改めて振り駒が行われた本局は第4局に続いて福間女王が先手番に。後手の三間飛車に先手が中飛車模様からの向かい飛車で対抗するのは両者の間ではよくある進行で、この日は後手の西山女流三冠が角道を止めたことで前局のような早い戦いは回避されました。福間女王は美濃囲い、西山女流三冠は矢倉ベースの囲いに組んでともに戦いの時を待ちます。
駒組みが頂点に達したところで福間女王が動きます。9筋の香を犠牲に一歩を入手したのが実戦的な攻め方で、急所をにらむ角筋との協力で敵玉コビンの急所をめがけてクサビの桂を打ち込むことに成功。しびれを切らした西山女流三冠がこの桂を銀で食いちぎったのは受け切りが難しいと見ての窮余の策ですが、代えては丁寧に角を追って受けに回る手が優ったとの結論に。
粘りを許さず押し切る
形勢のバランスが崩れてからは一方的な展開となりました。6四の急所のマス目に歩をねじ込んだのが単純ながら厳しい攻めで、▲金金△角という黄金の二枚換えが成立しては後手も粘りようがありません。西山女流三冠としては不出来な内容で、序盤で矢倉に組みに行った手順が完全に逆用されてしまった格好です。王手飛車こそかけられたものの福間女王の優勢は揺るぎません。
読み筋通り飛車を取らせた福間女王は手番を握って最後の反撃に乗り出します。6筋に香を打ったのが「下段の香に力あり」の格言通りの決め手となりました。金駒の少ない後手玉は粘りようがなく、対する先手玉は美濃の金銀が残って詰みづらい形です。終局時刻は17時3分、最後は自玉の詰みを認めた西山女流三冠が投了。快勝で防衛に成功、3期目の女王を獲得した福間女王は「自分の弱さを受け入れて力を出せるように挑んだ」と振り返りました。
水留啓(将棋情報局)
