主要22作がそろった2026年春ドラマ。今回もドラマ解説者の木村隆志が、主要新作の初回放送をウォッチし、俳優名や視聴率など「業界のしがらみを無視」したガチンコでオススメ作品を探っていく。

別記事(「今春ドラマトップの主要キャスト」「意外性と没入感」「一枚上のクオリティ」2026年春ドラマのオススメ5作は? ドラマ解説者が22作の傾向を徹底分析「見たことのない設定」「ファンタジー乱発の現実と未来」) において2026年春ドラマの主な傾向を【[1]見たことのない設定が目白押し [2]ファンタジー乱発に浮かぶ現実と未来】の2つと解説。

おすすめドラマとして、『エラー』(ABC・テレビ朝日系 日曜22時15分)、『銀河の一票』(カンテレ・フジテレビ系 月曜22時)、『田鎖ブラザーズ』(TBS系 金曜22時)、『刑事、ふりだしに戻る』(テレビ東京系 金曜21時)、『102回目のプロポーズ』(フジ系 水曜23時)の5作を選んだ。

本記事では、それらを含む主要22作のレビューと目安の採点(3点満点)を挙げていく。

『サバ缶、宇宙へ行く』 月曜21時~ フジ系

出演者:北村匠海、出口夏希、神木隆之介ほか
寸評:前作『ヤンドク』に続く事実ベースのオリジナルで、感動とリアリティが担保される反面、わかり切っている結末へ向かう物足りなさがある。さらに第1話が急ぎすぎて「なぜ宇宙?」「なぜサバ缶?」が消化できないまま進む戸惑いも。高校の青春ムードと福井ロケの素朴な風景は魅力的だが、シンメトリー多用や細かいカット割りなどのスタイリッシュ系演出で、みずみずしさやのどかさが薄れているのが気がかり。
採点:【脚本☆☆ 演出☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

  • 北村匠海

    北村匠海

『銀河の一票』 月曜22時~ カンテレ・フジ系

出演者:黒木華、野呂佳代、松下洸平ほか
寸評:「政治モノは数字が取れない」という定説を覆せるか。佐野亜裕美P、松本佳奈監督、脚本・蛭田直美と黒木、野呂と女性5人で固めた布陣は鉄板で時勢にも合う。ダブルヒロインの魅力を高めて政治をどこまでエンタメとして見せられるか。政治の闇をフィーチャーしすぎると苦戦必至であり、“野呂都知事”の誕生を祝う大団円で盛り上がりたい。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆☆】

  • 黒木華

    黒木華

『産まない女はダメですか? DINKsのトツキトオカ』 月曜23時6分~ テレ東

出演者:宮澤エマ、浅香航大、北山宏光ほか
寸評:DINKsのリアルと心境の変化をとらえた物語と思いきや、すぐにサイコホラー系にチェンジ。子どもじみた夫、毒母、異様な執着の後輩、育児ノイローゼの女性など「問題アリ」の人物が暗躍し続けるダークサイド偏重型の作風となった。追い込まれた宮澤の演技は要注目だが、クライマックスはすべての鬱憤を晴らす展開を見せたいところ。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆】

  • 宮澤エマ

    宮澤エマ

『リボーン~最後のヒーロー~』 火曜21時~ テレ朝系

出演者:高橋一生、中村アン、鈴鹿央士ほか
寸評:前期の『リブート』とコンセプトやタイトルが似ているように1人2役の高橋がどう演じるかを楽しむ作品。ただ虚実皮膜の世界観だった『リブート』に対して当作は突き落とし、タイムスリップ、転生という何でもアリの粗い設定が視聴者を選ぶ。商店街再生も情報番組でこすられたエピソードがそろい、他作以上に脚本の質が成否を左右しそう。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆】

  • 高橋一生

    高橋一生

『夫婦別姓刑事』 火曜21時~ フジ系

出演者:佐藤二朗、橋本愛、矢本悠馬ほか
寸評:「秘密の夫婦」「年の差夫婦」は70年代から続く王道パターンでそれを令和にアップデートという秋元康らしいプロデュース。主演2人のギャップは魅力的だが、コメディとシリアスの振り切り方が両方とも大きく、火曜21時にしては見て疲れる感がある。同枠の『踊る大捜査線』のようにコメディのトーンは抑えたほうが見やすそう。「福田雄一監督作品の佐藤二朗」のイメージに引っ張られたのではないか。3話までが放送された現時点では、内容と乖離したタイトルは悪ノリであり、批判されて仕方なし。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆】

  • 佐藤二朗

    佐藤二朗

『時すでにおスシ!?』 火曜22時~ TBS系

出演者:永作博美、松山ケンイチ、佐野史郎ほか
寸評:若年層の恋愛と仕事を扱ってきた火曜ドラマが「子育てを終えた主婦の第二の人生」を選んだことに驚かされる。ただ鮨アカデミーという舞台は斬新であり、定時制ドラマのようにさまざまな年齢・立場の生徒が集う分、人間ドラマは作りやすい。各話のエピソードは薄味なため「生徒の誰かに共感できるか」は微妙。見応えを増すために、鮨職人の技術や魚の知識などをうまく盛り込んだほうがいいかもしれない。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

  • 永作博美

    永作博美

『コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店』 火曜22時~ NHK総合

出演者:中島健人、田中麗奈、鈴木福ほか
寸評:コンビニのフェロモン王子と何でも屋のワイルド男子という2役を中島がどう演じるか。山下智久の『正直不動産』と似た設計の連ドラであり、自由な制作環境にあるNHKにしては保守的と言わざるを得ない。地方都市が舞台であるうえに、コンビニという小さなスペースの物語だけに誘因力は弱めで、女性層に癒しを感じさせたいところ。
採点:【脚本☆ 演出☆ キャスト☆ 期待度☆】

  • 田中麗奈

    田中麗奈