新しい会社で新しいコンテンツを立ち上げる仕事は、制作者としてベテランの域に入った橋本氏にとって、刺激的なものだった。

『本日も絶体絶命。』というタイトルは、毎日配信するコンテンツであることと、コントにおいて面白い要素になるピンチの瞬間を描きたいというテーマから決定。橋本氏、米永氏、伊吹氏の3人がSNSマーケティングの仕事で遠方のロケから帰京する車中で話し合って命名したといい、「当時は会社のお金もなかったから、交代で運転しながら決めました。本当にベンチャーな感じでしたね(笑)」(橋本氏)と振り返る。

時には夜中1時に赤坂の中華料理屋で企画会議を始めることもあったそうで、「47歳でまだこれをやる人生が待っていたって驚きはあるけど、“何か面白いものを作ろうぜ”とみんなで考える20代の熱気の中に混ぜてもらって、やっぱり楽しいんです。僕は『梨泰院クラス』(※)が好きなので、若い頃にこういう青春を送りたかったなと思いながら、駆け出しのベンチャーの取締役として頑張らなきゃダメだという気持ちになります」(橋本氏)

(※)…飲食業界で成功を目指し、仲間と共に奮闘する若者たちを描いた韓国ドラマ。

米永氏は、かつて自身がADの頃に橋本氏が総合演出という関係だっただけに、「その数年後に同じ車の中で一緒に企画書を書いたり、深夜に呼び出して企画会議するなんて、全く想像できませんでした。僕らの青春に、めちゃめちゃ巻き込んでしまっています(笑)」と苦笑い。

橋本氏は、日テレ時代の2020年に経験した『有吉の壁』のレギュラー化が“最後の青春”と位置付けていたそうだが、「まだ果てしなくありました(笑)。人生100年時代だと思えば、次々に大きなゴールがあるから、退屈しないし、今は楽しくてしょうがないですね」と充実の表情で語り、まさに“青春”を謳歌しているようだ。

●橋本和明
1978年生まれ、大分県出身。東京大学大学院修了後、03年に日本テレビ放送網入社。『有吉ゼミ』『有吉の壁』『マツコ会議』などヒット番組を企画・演出、18年・21年の『24時間テレビ』で総合演出を担当。22年12月末で日テレを退社し、「株式会社WOKASHI」を立ち上げてフリーに。配信で『最強新コンビ決定戦 THEゴールデンコンビ』のほか、『ファイナルドラフト』(Netflix)、『愛のハイエナ』(ABEMA)などの人気コンテンツを手がけ、デジタルコンテンツを制作するQREATIONの取締役も務める。

●米永圭佑
1994年生まれ、神奈川県出身。東京大学卒業後、18年に日本テレビ放送網へ入社し、バラエティ番組『有吉ゼミ』のディレクターや『有吉の壁』のビジネスプロデューサーを担当。21年5月に米スタートアップ企業・Dispoへ海外1号社員として参画し、カントリーマネージャーとして日本事業をけん引。22年11月にQREATIONを創業、代表取締役を務める。