ここ数年で一気に市場が拡大した縦型ショートコンテンツにおいて後発組のQREATIONだったが、ノウハウの融合による「最高品質」と「未開拓ジャンルの開拓」で快進撃を続けている。

「どんなプラットフォームでも、量が増えた先は質がいいもの、リッチなものを見たい流れになるので、キャスティングも、制作チームも含めて最高品質のコンテンツを作る。そして、『―絶体絶命。』は当時“本格縦型コント”というジャンルがなかったので、最高品質なもので新たなジャンルを開拓していくことを意識しました」(米永氏)

現在レギュラーで10タイトル以上を展開しているが、全てがヒットコンテンツに。「この信頼感が、QREATIONの強さだと思います。“当てる”というのが一番難しくて大変なことだからこそ、実直にやり切ることが大事なんです」(橋本氏)というが、その“当て勘”が磨かれたのは、テレビの仕事だという。

「テレビマンの優れた能力の一つは、マーケティング力だと思います。バラエティを50週作るというのは、毎週視聴率のグラフを見て、何がウケて何がウケなかったのかを分析して改善する作業。そのサンプルは関東で3,000万人というものすごいビッグデータだから、そこにめちゃくちゃ本質があるわけなんです。『ヒルナンデス!』演出時代には、お弁当とか家具屋さんのVTRを出すとどの層が伸びて、どの層が落ちるのか。そういうのを死ぬほど勉強しました。この分析力を生かせればNetflixでもPrime VideoでもABEMAでもTikTokでもYouTubeでも戦っていけると思います」(橋本氏)

「僕は新卒でテレビ局に入って良かったのは、“マスの心が動く”というのはどういうことなのかを考えるDNAを叩き込んでもらえたことだと思っています。日テレを辞めた後に、Z世代向けアプリのマーケティングや、ビジネスマン向けのキャリアSNSの開発をしていたのですが、どの仕事でも結局最後は“それを通じて人の心がどう動くのか”が肝だったので、テレビマンとして培ってきた能力が今、すごく生きています」(米永氏)

ただし、「マーケティングだけができても意味がない」と強調。「見たことないものを作りたいという情熱、野心、夢を持つこととの両輪が必要です。テレビにいるとその両方が養われるので、僕らはそこを往復しながらコンテンツを作っています」(橋本氏)

  • 『うえだしんや界隈』

    『うえだしんや界隈』

  • 『まめで四角でやわらかで』『江戸にログインしました。』

    『まめで四角でやわらかで』『江戸にログインしました。』

  • 『青春リベンジ同好会』

    『青春リベンジ同好会』

10億円調達で新作続々「毎月鬼のように投下」

この快進撃をさらに加速させるべく、同社では10億円の資金調達を実施。早速、昨年12月に上田晋也(くりぃむしちゅー)が企画・監督・出演するバラエティ『うえだしんや界隈』、1月に入って柳葉敏郎主演時代劇のスピンオフ『江戸にログインしました。』、テレビ東京との共同企画『青春リベンジ同好会』と、新たな縦型コンテンツを相次いで発表した。今後も「毎月鬼のようにタイトルを投下していきます」(橋本氏)と鼻息が荒い。

これらの取り組みは、芸能事務所やタレントと直接タッグを組み、テレビ並みのクオリティのコンテンツをTikTokやYouTubeなどデジタル上で展開。さらに、リアルイベントとも接続するなどIPとして育て、グローバル展開まで射程に入れている。

そこで橋本氏が描くのは、クリエイターやタレントが“もっとライトに”IP作りに挑める世界だ。

「上田さんにしても、あるいは若い世代のインフルエンサーにしても、自分の才能をコンテンツで表現することが、もっとハードルを低くしてやりやすい時代になったほうがいいと思うんです。それはクリエイターも同じで、これまでのテレビの世界だと10年修業して打席立って一球勝負というキャリアだったけど、20代からもっとライトにタレントとコンテンツを作って世界を目指すことができたらいい。制作者のキャリアとしていろんなルートを作る先駆けになる会社になれたらと思い、米永と話して今回の資金調達に至りました」(橋本氏)

この方針を体現するのが、若手の育成方針。橋本氏は「『―絶体絶命。』では、半年から1年ADをやったら2年目で監督をやってもらっています。お互いの能力をリスペクトして、若いうちからどんどんチャンスを与えられて、背中を押してあげられるような社会になったらいいなと思うんです」と、“立場が人を作る”育成を実践している。

日テレ時代『有吉の壁』で橋本氏に、2年目でディレクター、3年目でプロデューサーに抜てきされた米永氏は「実力が間に合ってたかは分からないですが、その“打席”に立つしかない場になると責任が芽生えて育った部分があったと思います。そこでバックアップしてくれる大人がいる環境が大事なので、QREATIONとして、若い世代がエンタメで本気で戦える場所を作っていきたいです」と力説。

人材の確保に向けて、コンテンツ制作の現場経験を問わないアシスタント兼プロデューサー候補を橋本氏のX(Twitter)で直轄募集する“やる気採用”を実施すると「熱量のある人の応募が結構ありました」(橋本氏)といい、2027年度には初の新卒採用も予定している。