3番目に注目されたシーンは20時14分で、注目度74.0%。鶴屋喜右衛門(風間俊介)の協力で芝居小屋にチーム写楽が潜入するシーンだ。

「ああ、どうも危うく遅まき唐辛子」役者の稽古場へやってきた蔦重が挨拶する。すると北尾重政(橋本淳)や北尾政演(古川雄大)ら絵師だけではなく、大田南畝(桐谷健太)に朋誠堂喜三二(尾美としのり)など、戯作者も続々押し寄せてくる。あっけにとられる河原崎座座本(モロ師岡)に「声かけたら描きてえって方が山のように集まっちまいまして」と蔦重は説明した。

「このお方も?」最後に現れた特徴的な髷の男について座本が尋ねる。「ああ、げんな…いや、うちの親父なんです。近頃戻ってきまして」と、男について蔦重は曖昧に話しお茶をにごす。蔦重たちを見送った座本のもとへ、次は喜右衛門が喜多川歌麿を連れてくる。歌麿の後には多くの弟子たちがぞろぞろと続く。「歌麿先生の方はお弟子さんたちですから」と、喜右衛門はいつもの笑顔を崩さずにぼう然とする座本に言った。「私の席、どこだい?」と歌麿が威厳たっぷりに尋ねると、それをみた重政は「あいつ、存外芝居っ気あんだねぇ」と、蔦重にこぼした。やがて稽古が始まると、先ほどまでの喧騒が嘘のように、皆一様に真剣な眼差しで役者に見入っていた。

「久々にほっこりした」

ここは、耕書堂の一大プロジェクトに視聴者の関心が集まったと考えられる。

歌麿の加入で、蔦重の求める写楽の絵がようやくメンバーにも伝わった。さらに蔦重が松平定信からしっかり資金を調達したことで、報酬もいつもの倍もらえると分かったメンバーは士気を高める。しかし、歌麿は役者絵を描いたことがなく、芝居小屋への見学が必要だったが、1人で行けば歌麿が写楽だとばれてしまう。そこでチーム全員で芝居小屋に潜入することになった。

SNSでは「みんなめちゃくちゃ楽しんでるじゃん、久々にほっこりした」「絵描きを隠すには絵描きの中ってことだな」「やってきたのが大物の先生ばかりだから、座本も強く言えないんだな」と、蔦重一派の活動に視聴者の投稿が集まった。

芝居小屋は歌舞伎・人形浄瑠璃・軽業などの興行が行われた劇場で、江戸の大衆娯楽の中心地。江戸では中村座・市村座・森田座の歌舞伎三座が幕府に公認され、初期は中橋・葺屋町・堺町に、後に天保改革を経て猿若町に集約された。建築は木造一階建てが基本で、観客席は升席・桟敷・土間席などに分かれ、舞台には花道・廻り舞台・迫り上げなど後世の歌舞伎に継承される仕掛けが整っていた。

江戸の芝居小屋は舞台機構が高度化し、廻り舞台、迫りが導入され、独自の演劇様式が進化する。蔦重と喜右衛門が交渉した河原崎座、都座、桐座は江戸三座の控櫓。控櫓とは江戸三座が興行できない場合に、その代わりに歌舞伎興行を許された劇場のことだ。河原崎座が森田座、都座が中村座、桐座が市村座の控櫓を担った。江戸の芝居小屋は度重なる火災や経済的困難に見舞われることが多く、興行の継続が難しい場面もあった。そのため、控櫓制度は歌舞伎文化を安定的に維持するための安全装置のような役割を果たした。