「孤立死予備軍」だった男性が支える側に――。日本テレビ系ドキュメンタリー番組『NNNドキュメント’26』では、孤立死をなくそうと活動する鹿児島のNPO法人を取材した「死なせてください…待ってください」(鹿児島読売テレビ制作)を14日(25:05~)に放送する。
死に場所を求めるように鹿児島へ
誰にも看取られず亡くなる「孤立死」。内閣府は、2025年に「孤立死」をした人が2万2,222人いたとの推計を公表した。番組では、社会問題とも言える孤立死をなくそうと活動する鹿児島市のNPO法人「やどかりプラス+」を取材。行き場を失った人たちへの居住支援と、“新たな見守りのカタチ”を追う。
大阪出身の寺尾真次さん(45)は、広告の仕事に就いたものの、徐々に人間関係が疎ましくなり、自暴自棄に。家族と離れ、死に場所を求めるように鹿児島にやって来た。
そんな「孤立死予備軍」だった寺尾さんが出会ったのが、「やどかりプラス+」だった。社会から孤立した人たちへの居住支援に感銘を受けた寺尾さんは、現在、同法人の職員に。生活を支えられる側から、支える側へと変わった。
鹿児島市出身の山下剛さん(仮名・51)は、営業職で働きながら母の介護を続けていたが、母の死をきっかけに人生が暗転。人との関わりを絶ち、仕事も辞めた。家賃の滞納で退去命令を受け、インターネットカフェで過ごす日々。命を絶とうと考えたが死にきれず、たどり着いたのが「やどかりプラス+」のシェルターだった。
山下さんは、寺尾さんの支えを受け、新たな人生のスタートを切る。
孤立死をまぬがれた最期
番組では、宮永勝信さん(72歳で死去)の人生にも迫る。
宮永さんは、ホームレス状態で「やどかりプラス+」と出会った。居住支援を受けながら、周囲の人とつながり、「ピアサポーター」として活動。支えられる側から「支える側」へと変化していった。
そして宮永さんは、自分の力でつながった12人の他人に見送られ、生涯を閉じた。孤立死をまぬがれた最期だった。
LINEグループ、週1回の居場所サロンも
「やどかりプラス+」の代表・芝田淳理事長は、「孤立死ゼロ」を目標に掲げる。プロの支援員が回る従来の見守りに疑問を抱き、提唱しているのが“新たな見守り”だ。
芝田理事長は「当事者が自らつながりを持たなければ孤立死は防げない」と考える。そこで取り組んでいるのが、当事者同士が自らつながりを持ち、お互いを見守るという仕組み。LINEグループを活用した見守りや、週1回の居場所サロンが注目され、安倍晋三元首相の妻・昭恵さんも視察に訪れた。
鹿児島読売テレビ、孤立死を継続取材
鹿児島読売テレビでは「孤立死」をめぐる問題を継続取材しており、孤立死をテーマにした『NNNドキュメント』の制作は、2025年11月に放送した「なぜあなたは独りで逝ったのですか?―孤立死2万人の時代―」に続き2回目。
報道制作局の内田直之ディレクターは「孤立死は、地方都市でも増えています。『セルフネグレクト』に陥り、自宅で1人で亡くなる若い人も多い状況です」と指摘する。
前作では、特殊清掃会社を営む男性と出会い、故人や遺族と真摯に向き合う姿に感銘を受け、孤立死の現場を取材した。今回は「どうすれば防げるか?」という視点から、「孤立死ゼロ」を目指すNPO法人を追ったという。
内田ディレクターは「死を覚悟した『孤立死予備軍』から人生を取り戻した方々に多く出会いました。すべてを失っても、再び“つながる”ことで、人生は再生できると知りました」とコメント。「人との関わりが希薄な今の時代に『孤立死』を自分事として受け止めてもらい、防ぐためのヒントを考えるきっかけになれば幸いです」と呼びかけている。
ナレーションは、声優の坂本真綾が担当する。
(C)KYT





