俳優の吉沢亮が主演を務めた大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)の最終回が26日に放送され、幕末から明治へ、激動の時代を駆け抜けた渋沢栄一の物語が完結。ラストは、若き栄一が地元・血洗島を激走するシーンで締めくくられた。このシーンについて、吉沢は「1年前より全然走れなくて、年取ったなと思いました」と語っていた。

  • 『青天を衝け』渋沢栄一役の吉沢亮(

新一万円札の顔としても注目されている渋沢栄一は、時代の大渦に翻弄され挫折を繰り返しながらも、青天を衝くかのように未来を切り開き、約500の企業を育て約600の社会公共事業に関わった“日本資本主義の父”。晩年は民間外交にも力を注ぎ、ノーベル平和賞の候補に2度選ばれている。

最終回「青春はつづく」で栄一は、ワシントンの軍縮会議に合わせて再び渡米し、移民問題など悪化した日米関係の改善に尽力。関東大震災が発生すると、救援の最前線に立って内外の実業家に寄付を呼びかけ資金を集めた。また中国の水害に対しても、自宅からラジオを通じて募金への協力を呼びかけるが、満州事変が勃発。救援物資は受け取りを拒否されてしまう。それでも栄一はあきらめず、病床から自らの思いを伝え続けた。

吉沢はインタビューで、終盤の見どころについて「何歳になっても栄一のエネルギーは衰えず、終わりに向けてまとめに入るということではなく、最後まで現役でやりたいことをやって失敗もする。年を重ねてもどんどん挑戦している姿がこの作品の肝だと思う」と述べ、「それを最後までやり切ったと思っているので、そういう部分を見ていただきたいと思います」と語っていた。まさにその通り、走り続けた栄一の人生が描かれた。

最後、若き栄一が登場。孫の敬三(笠松将)に「まだまだ励むべぇ!」と話しかけて畑を耕し、両親や千代(橋本愛)、慶喜(草なぎ剛)らが「栄一」「お前様」「渋沢」と呼びかける声を聞いて、「あ~! ハハハ!」と笑い叫び、息を切らしながら激走するシーンで締めくくられた。第1回でも、馬に乗って走る徳川慶喜(草なぎ剛)を、栄一と喜作(高良健吾)が追いかける激走シーンが描かれたが、ラストも栄一の激走で締めくくり。走り続けた栄一の物語にふさわしいラストとなった。

吉沢はこのラストシーンについて、「若い栄一を久しぶりに演じたら、役作りでパンパンに太っていたので、すごく体が重くて、1年前に全力で走っていたときより全然走れなくて、年を取ったなって思いました」と笑っていた。

ちなみに、「若い頃に村一番の力持ちだったという話を聞き、できるだけ体を大きくしようと思いました」と、青年期で6キロ増量。「最終的には8キロ増。最後が一番多かったです」と、青年期よりもさらに体重を増やして貫禄のある晩年の栄一を演じた。

大河ドラマ初出演にして初主演の大役を見事全うした吉沢。「転機となった作品は『青天を衝け』だと、一生言っている気がします」と言うほど、約1年4カ月にわたって栄一を演じた本作は、吉沢にとってかけがえのない経験に。「大河の主演としてうれしい思いもしましたけど、苦しい思いもつらい思いもたくさんして、渋沢栄一を演じている時間は、めちゃくちゃ生きてるなって思った時間でした。生を感じるというか。なかなかこんな刺激的な現場は出会えるものじゃないなと思います」と達成感に満ちた表情を見せた。

最終回放送のきょう26日、東京商工会議所で行われた「大河ドラマ『青天を衝け』クロージングイベント in 東京商工会議所」に出席した吉沢。イベント前に取材に応じ、最終回で印象に残っているシーンについて「ラジオで話すところも、篤二(泉澤祐希)と再会するところもすごく印象に残っている。この作品は、生命力がテーマの一つでもあるのですが、生きている人たちのエネルギーが特に最後のラジオのシーンは……90歳になってもエネルギーに満ち溢れている栄一が見ていただけると思います」と語っていた。

(C)NHK