――ゲストで登場するヒューマギア役の俳優さんもなかやまきんに君さんと同じく見事な個性付けで、非常に印象的に描かれています。特に第7話から第13話までたびたび登場していた「暗殺ちゃん(祭田ゼット)」役の松村龍之介さんは、その活躍の仕方に加えて、目を見張るほどの整った顔立ちがファンからの人気を集めました。

大森:松村さんは以前から知っていた方でしたけど舞台出演でとても忙しく、今回スケジュールをやりくりしてようやく出ていただいた方でした。すごく綺麗な顔をしていてお芝居もしっかりしているので、AIアンドロイド役にピッタリ。『ゼロワン』のどこかで必ず入ってもらおうと思って、暗殺ヒューマギアの役を演じていただきました。

――ファンの方々も同じだと思うのですが、気になっていることといえば、オープニング映像の「地面に投げ捨てられているゼロワンドライバー」「涙を流すイズ」「廃墟に倒れ込む或人」といったものすごく意味深なシチュエーションがあります。もしかして、今後のストーリーの中で出てくる未来予測のカットなのでしょうか……?

大森:あれは杉原(輝昭)監督が師匠の田﨑(竜太)監督に見習って「オープニングはこうであろう」という信念に基づいて作った映像ですね。ああいった謎めいたビジュアルは、僕たちの打ち合わせ段階で出たいくつかの「要素」を拾っていますから、もしかしたら今後あんな風な展開が待っているかもしれませんし、反対に全然違う方向に行く可能性も否定できません。

高橋:未来はまだ分かりませんからね……。

大森:まだ始まって間がなく、先は長いですしね。

高橋:オープニングの疑問を明らかにするチャンスがあれば、そういったお話を書くかもしれません。

――元お笑い芸人の或人が毎回のように「ぜんぜん面白くない一発ギャグ」を披露していますが、大森さんによれば「ギャグ指導」に松竹芸能の芸人・ハッピー遠藤さんをお招きして、真剣に面白くないギャグを追求されているのが素晴らしいと思います。ただ一つだけ心配なのは、シナリオで「面白くないギャグ」を考えなければならない高橋さんのギャグセンスが『ゼロワン』によって著しく低下しないか、ということなんですけれど……。

高橋:むしろ面白いギャグを書け、と言われるほうが難しいですけどね。しかしギャグというのはどんなものでも、文字にするとなんだか恥ずかしいですね。

大森:このギャグはどうなんですかね、みたいに打ち合わせで悠也さんに突っ込んだことはありません。いつも、良質なつまらないギャグを書いてきてくださいます。

高橋:違った笑いを追求しようとするんですけど、結果的にいつもダジャレになってしまうんです。或人のギャグは今後もやっていきますから、ダジャレじゃないギャグをどうやって表現するか、工夫していこうと思っています。

大森:どんなギャグを言っても、最後に「アルトじゃ~ないと!」を入れたらオチになるという法則を悠也さんが生み出してくれました。今後のギャグも楽しみにしています。

――現在、全体の1/4くらいのエピソードがオンエアされた『ゼロワン』ですが、ここまでをふりかえってどういうご感想がありますか?

大森:まずは、いい感じに走り出したと思います。これまで「仮面ライダー」シリーズを観ていなかった方が『ゼロワン』から観始めてくれた、などの声が聞こえてきて、個人的には確かな手ごたえを感じています。これからも「お仕事」テーマで最後までずっと続けるという自分の「信念」を貫き通せるか、それが自分自身に課した大きな課題です。単発エピソードで「お仕事」ものを続けていけば、面白さがもっと増していくと思っています。

高橋:仮面ライダーが一回も出てこない話を「やっていいよ」と言ってもらえるだけで、だいぶやりやすくなりますけどね(笑)。

大森:仮面ライダーは出てくるんだけど、ぜんぜん戦わないでお仕事をするだけの話とかなら大丈夫かもしれません。

高橋:夢が広がりますね(笑)。

――最後に、お2人から映画『令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』にかける意気込みを聞かせてください。

高橋:「ヒューマギアが心から笑える世界を作りたい」という或人のメンタリティが、この映画を通してどのように昇華していくのか、或人の過去にどんな出来事があったかという「背景」も含めて、ゼロワン誕生の物語を一生懸命に作りました。ぜひ多くの方たちにお楽しみいただきたいです。

大森:ゼロワンとジオウの共演というのも大事ですけど「お父さんと子ども」の話というドラマの見どころも推していきたいです。仮面ライダー1型というのはイメージ的には昭和の仮面ライダー1号で、その息子が令和の仮面ライダー1号としてぶつかります。昭和~平成~令和と続いたこれまでの仮面ライダーの歴史をふまえて、ぜひご家族一緒に楽しんでいただけたらうれしいです。そして『ゼロワン』テレビシリーズを観てくださっているファンの方には、テレビでの「謎」を解き明かすヒントがあるかもしれないので、何度でも繰り返しご覧ください。

「ゼロワン/ジオウ」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映