「仮面ライダー」シリーズ最新作『仮面ライダーゼロワン』と2019年8月に終了した『仮面ライダージオウ』がファン待望の共演を果たす映画『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』が現在公開されている。

  • 左から大森敬仁プロデュ―サー、脚本家・高橋悠也氏 撮影:大塚素久(SYASYA)

人工知能搭載人型ロボット=ヒューマギアを"人間と共存する仲間"だと信じている仮面ライダーゼロワン/飛電或人のいる世界が、突如「ヒューマギアが人類を制圧している世界」に変貌。飛電インテリジェンス社長という或人の地位も、ヒューマギア・ウィルに奪われてしまった。或人は仮面ライダージオウ/常磐ソウゴと仲間たちの協力を得て、歴史改変の痕跡がある「12年前」にタイムトラベル。そこには「仮面ライダー1型」なる兵器を開発し、ヒューマギアを守るために戦う父・飛電其雄の姿があった。歴史改変の影で暗躍するタイムジャッカー・フィーニスの真の狙いとは何か? 世界のゆがみはどうなってしまうのだろうか? そしてゼロワン誕生に隠された親子の「夢」の物語の行方とは……?

映画の公開を記念し、マイナビニュースでは『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』のキャスト&スタッフのインタビューを連続掲載している。今回は『仮面ライダーゼロワン』のチーフプロデューサー・大森敬仁氏と、メインライターとして大森氏と共に作品世界の構築に携わった脚本家・高橋悠也氏のスペシャル対談をお届けしよう。映画の骨子を作り上げる際の並々ならぬ苦労話から、ゲスト俳優のキャスティング秘話、そして好評放送中の『ゼロワン』テレビシリーズの製作裏話など、『ゼロワン』ファンなら読まずにはいられないエキサイティングな話題が続出。ぜひお楽しみいただきたい。

――まずは12月21日より公開の映画『仮面ライダー 令和ザ・ファースト・ジェネレーション』についてのお話をおうかがいしたいです。恒例の「冬映画」ということで『仮面ライダーゼロワン』と前作『仮面ライダージオウ』が合体する内容だとは予測できましたが、時空を超えて平成仮面ライダーの歴史をめぐる、少しメタな要素も含まれている『ジオウ』と、AIをテーマにしたリアリティのあるSFドラマが志向されている『ゼロワン』ではあまりにも方向性が違うので、お話作りは簡単ではなかったと思います。たとえば以前の『MOVIE大戦』のような「2本立て+クライマックスのみ合体」で構成されるという案なんてありませんでしたか?

大森:それはまったく考えていなかったです。『ジオウ』が平成最後、『ゼロワン』が令和最初の「仮面ライダー」であることから、この2つの時代をつなぐ仮面ライダー共演には意味があると思っています。

高橋:前(MOVIE大戦)のパターンに戻る、という選択肢はなかったですね。

――脚本の高橋さんは『ジオウ』については事前にご覧になっていましたか。

高橋:『ゼロワン』をやることになった段階で「そうなると冬のライダー共演映画もやるかもしれない」と思い、あらかじめ『ジオウ』を観て勉強し始めていました。

大森:僕のほうも、テレビシリーズで声をかけたときからすでに「冬の映画」があることをほのめかしていました(笑)。

高橋:『ジオウ』って、とても面白い作品なのですが、時間軸とか世界観についてはかなり複雑でつかみにくく、ほんとうに細かい部分は白倉(伸一郎)プロデューサーに監修していただいて、『ゼロワン』『ジオウ』の整合性が取れたところがあります。

大森:昨年、白倉のインタビューで『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』のシナリオが「9稿」までかかったという話があったと思いますが、今年も同じくらい改稿を重ねて決定稿に持っていきました。去年と同じくらい、今年も悩み苦しみながらやっていたんです。『ゼロワン』はまだテレビシリーズが始まったばかりなんですけれど、冬映画を上映するタイミングで「ゼロワン誕生の物語」というエピソード・ゼロ的ストーリーにしようという大まかな考えがありました。

――お話を作っていて、もっとも難しかったのはどんなところでしょう。

大森:難しいところは、いっぱいありましたね。最初、僕たちはずっと『ゼロワン』寄りの話を進めていたのですが、白倉は「ゼロワンを知らない人が観て、どれだけ内容が理解できるか」をポイントとしていたんです。それからは映画単品としての「わかりやすさ」を強く意識しました。

高橋:書いていて一番大変だったのは『ゼロワン』と『ジオウ』とのブレンド具合です。『ゼロワン』単体の映画だったら悩まないところなんですけど、『ジオウ』は知っていても『ゼロワン』を観ていない方が劇場に来られることを想定して、どんな方が観に行っても楽しめる「ゼロワン誕生の物語」ってどういうことだろう?と考えたのも、9稿までかかった苦労のうちのひとつですね。

大森:ストーリーの構造を一言で語ると、舞台設定と全体の世界観が『ジオウ』で、その中に『ゼロワン』のドラマが放り込まれている、という形です。