JR西日本は10日、特急「はるか」の新型車両271系の報道公開を近畿車輛本社で実施した。おもに6両編成で運行される「はるか」の増結用として新造され、計18両(3両編成×6編成)を投入予定。2020年春頃の営業運転開始を予定している。

  • 特急「はるか」の新型車両271系を報道公開(写真:マイナビニュース)

    特急「はるか」の新型車両271系を報道公開

米原・京都~関西空港間で1日上下計60本(30往復)運行され、関西国際空港へのアクセスを担う特急「はるか」は近年、とくに訪日外国人の利用者が増加。JR西日本は列車増発や自由席の拡大、さらには「ハローキティはるか」の導入など、さまざまな取組みを行ってきた。今後、国際的な大型イベント等の開催でさらなる利用拡大が見込まれることもあり、増結用の新型車両が投入されることになった。

新型車両271系は普通車3両編成の直流特急形電車。6両編成の281系との併結運転を考慮し、デザインは現行の「はるか」ブランドを踏襲している。車両仕様はJR西日本が近年投入してきた新型車両と同様、オフセット衝突対策や衝撃吸収構造の採用による車体構造の強化、運転士に異常が発生した場合に列車をより早く停止させる装置(EB-N装置)の採用、運転台計器類の二重系化による信頼性向上などを図っている。

客室内の座席は一部を除いて横4列(2列+2列)の回転リクライニングシートとし、全座席にモバイル用コンセント(AC100V)を設置。ドア上部に大型の情報配信ディスプレイを設け、地図等を用いた視覚的にわかりやすい表示を可能とした。停車駅や列車運行情報をはじめ、日本語・英語・中国語・韓国語の4カ国語に対応した多言語案内を行う。

  • 客室内の座席は回転リクライニングシート。全座席にコンセントを搭載する

  • ドア上部に大型ディスプレイを設置。客室内に大型荷物スペースも設けた

大型荷物スペースはこれまでデッキ部にあったが、271系では客室側に設置され、高さを拡大して大型スーツケース等にも対応。車内のセキュリティ向上のため、荷物スペース付近とデッキ部に防犯カメラを設置した。既存の281系と同様、271系も訪日外国人向けフリーWi-Fiサービスを提供し、バリアフリー設備も充実させている。

新型車両271系の最高速度は130km/h、運転保安方式は「EB-N、ATS-SW・P」とされ、18両合計の投資総額は約60億円。2020年春頃の営業運転開始が予定されている。

特急「はるか」は現在も一部列車で9両編成の運転を行っているが、既存の281系(6両編成×9編成、3両編成×3編成)に新型車両271系(3両編成×6編成)が加わることで、全列車において9両編成の運転が可能に。両数が増えることで1列車あたりの座席数が現在の約1.5倍となり、より便利に快適に「はるか」を利用できるという。

  • 特急「はるか」の新型車両271系の車内・外観