• キュウレンジャーVSスペスク座談会

――石垣さんから見て、岐洲さんの印象は第18話での共演時と比べて変化しましたか。

石垣:プロデューサーとも話したんですけれど、キュウレンジャーの中で一番成長したのって、確実にラッキーだと思うんですよ。テレビシリーズを1年間見続けていましたが、その成長ぶりは如実に伝わってきました。役者には良い経験を積んで良い齢の取りかたをする人と、無駄に遊んでしまう人に分かれるのですが、岐洲くんは見事に経験を重ねて、戦士(ファイター)の顔つきになっていました。スチール写真1枚でも、最初のころと今とでは、表情が違うのがよくわかります。1枚の写真が連続して、つながっているのが「映画」ですから。1枚の写真で決まらない奴が、動画で決まるわけないんですよ。僕としては、たくましく成長を遂げたラッキーと再会できてうれしかったです。

岐洲:そう言ってもらえて、僕もうれしいです。

――今回の作品では、ギャバンがラッキーおよびキュウレンジャーを助けていましたが、今後、ラッキーやツルギがギャバンを助ける展開なんて、あってもいいかもしれないですね。

石垣:いやあツルギはね~、自分から動くことはないでしょうね。なにせ、宇宙大統領だから(笑)。

南:ラッキーをギャバンの救援に向かわせてもいいんですけれど、そういったお話は、前もってこの大統領である俺様を通してもらえませんでしょうか(笑)。

石垣:そうだね。まず「大統領! こんちわ!」って挨拶しに行ってからね。

南:そうすると、よくいらっしゃいました、うちのラッキーをお貸ししますって(笑)。

石垣:いいねえ(笑)。こういう将来的な話をすると、本当に実現することがありますから。どんどん言葉にしておきたいです。

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――岐洲さんも『キュウレンジャー』を1年間やりきったことで次のステージへと進み、これからいろいろな作品に挑戦されると思いますが、人間的にも俳優的にもいっそう大きく成長した姿になって、いつかふたたびヒーローとして帰ってきてほしいですね。

岐洲:僕にとって「ヒーロー」という存在にはずっと憧れを持っていましたから、これからより経験を積んだ形で、またヒーローを演じてみたいと思っています。

――岐洲さんが今後、チャレンジしてみたい役柄はありますか?

岐洲:ラッキーというキャラクターは、いい意味で人間離れしているというか、いろいろぶっとんでる人だったので、今後はもっと人間的というか、ナチュラルな人間像を演じてみたいです。今度、8月に公開される『青夏 きみに恋した30日』という映画に出演するんですけれど、事務所で台本を読みながら練習していたとき、ヒーロー役のクセというか、無意識に肩が入ってしまって、笑われたことがあったんです。好きな女の子に告白するシーンなのに、まるで戦いに行くみたいになっちゃって(笑)。ナチュラルな演技をもっと鍛えないといけないと思いました。ただ、ラッキーというキャラクターそのものを自分の中から消し去ってしまうのは悲しいので、ラッキーであることを大事にしつつ、他のどんな役柄でも演じられるように、演技の幅を広げていきたいと思ったんです。南さんにも相談したりして。

南:僕も石垣さんも、学園もの・青春ものに出ていた経験がありますからね。

石垣:じゃあ岐洲くん、ちょっとここで告白シーンの練習やってみようか。南くんを相手に!

南:ちょっと、おかしいでしょ! 誰が誰に告白するんだって話ですよ(笑)。

石垣:(笑)でもさ、ずっとヒーローの話をしているときに、いきなり恋愛要素が絡んできたらどうするかな?ってときどき思うよね。僕らはそういうドラマや映画をさんざんやってきてるんだけど。

南:今回は、恋愛がらみのシーンは誰もありませんでしたからね。

石垣:でも『スペース・スクワッド』をシリーズ化してやっていくうち、いつかはヒロインを出して、ギャバンとのラブシーンをやりたいんだよ~!

南:なるほど、そう来ましたか!(笑)

石垣:メレのように、愛する者に自分のすべてを懸ける!みたいな、王道のラブストーリーもいいしね。あえて、ヒーローものの中で「恋愛」を真っ向から描いてみたいんです。今の僕の年齢だと、これまでやってきたような恋愛ものからだんだん離れてきて、刑事役であるとか、中年の役どころが多くなっていますから。ふたたび「青春」に戻りたいなという思いもあります(笑)。

岐洲:底抜けに明るい「学園ドラマ」もいいですね。石垣さんも、以前は学園ものにたくさん出ていらっしゃったんですよね。

石垣:出てたよ~、昔は俺「美少年」って新聞のテレビ紹介欄に書かれていたことがあるんだぜ(笑)。

岐洲:ネットで検索してみましたが、確かに美少年でした!

――それでは最後に『キュウレンジャーVSスペース・スクワッド』の公開、およびBlu-ray&DVDの発売を楽しみにしているファンの方々のために、作品の見どころをお1人ずつお願いします。

岐洲:なんといっても、キュウレンジャーが2つに分かれて争うところですね。シシレッドとホウオウソルジャー、2人のレッド戦士が全力でぶつかりあう、このシーンは男子にとってはたまらなく"熱い"シーンだと思います。お互いに心が通じ合っているはずなのに、戦うことになってしまう。ラッキーとしてはいつもの敵と戦うときと違って、攻撃の一発一発に気持ちを込めて、ただ叫ぶだけではなく、より深みのある声の出し方を意識しました。

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南:僕は、ツルギが大統領執務室にラッキーを迎え入れ、互いの思いをぶつけあうシーンを推します。それぞれ異なる立場がある中で、相手を思いやりながら言葉をひとつひとつ伝えていく。岐洲くんとテレビシリーズで半年間ずっと一緒にやってきて培った絆を、改めて噛みしめながら芝居をしました。坂本監督の演出はカットを細かく割らず、一連のワンシーンを連続して撮るハリウッドスタイルなので、途中でセリフを絶対に間違えられないという緊張感がありました。僕にとっては非常に心地よい緊張感で、撮影スタッフさんたちには本当に感謝の気持ちしかありません。

石垣:見どころですか……それは大統領補佐官ロイを演じた出合正幸さんの怪しい目つきです! 俺よりも先輩なので、やっぱり立てておかなきゃね(笑)。今回の作品は『スペース・スクワッド』の続編として始まっているんだけど、『キュウレンジャー』のその後の話でもある、これほど多層的な構造になっているヒーロー作品は、今までなかったんじゃないかな。キュウレンジャーのいる宇宙にシャイダーやギャバンが乗り込んでいくわけですが、もとの宇宙ではジライヤ(磁雷矢)が仲間になっているという。『世界忍者戦ジライヤ』(1988年)なんて、『宇宙刑事』シリーズとはまったく別の作品ですからね。あちこちの作品で活躍しているいろいろなキャラクターをごっちゃにすることができるのが「スペース・スクワッド」というシリーズの良いところなんです。キュウレンジャーも、個性豊かなキャラクターが12人も集まっているでしょう。だから「スペース・スクワッド」と相性がいいんだよね。ヒーローの魅力を最大限に引き立たせる坂本演出もありますし、けっこうな傑作になっていると思います。みなさん、どうぞご期待ください!


石垣佑磨(いしがき・ゆうま)
1982年、岐阜県出身。2000年にホリプロ「21世紀ムービースターオーディション」で準グランプリを受賞し、芸能界入り。『ごくせん』(2002年)をはじめとするテレビドラマや『バトル・ロワイアルII鎮魂歌』(2003年)などの映画作品、舞台などで幅広く活躍。特技のテコンドーを生かした激しいアクションには定評がある。


岐洲匠(きず・たくみ)
1997年、愛知県出身。2014年に第27回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで明色美顔ボーイ賞を受賞。美容専門学校と普通科高校のダブルスクールで学び、美容師免許を取得後、俳優を目指して事務所に所属。オーディションに合格したことから2017年『宇宙戦隊キュウレンジャー』のシシレッド/ラッキー役となり、俳優デビューを飾った。


南圭介(みなみ・けいすけ)
1985年、東京都出身。2004年に俳優デビューし、2006年の舞台『ミュージカル テニスの王子様』での手塚国光役で注目される。その後も映画、舞台、テレビドラマなど幅広い分野で活動を行い、2017年に『宇宙戦隊キュウレンジャー』の追加戦士、ホウオウソルジャー/鳳ツルギ役でSPACE22「伝説の救世主の正体」よりレギュラー入りした。

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