武部:"鳥"の意匠を加えようという話も出ましたよね。実は決定デザインの鎧武にも、足に鳥の羽根のような模様が残っているんですよ。
大田原:それは知らなかったかも……。
西澤:鷹のライダーと呼んでいた時期もありました。他のライダーにもツバメとか、鶴とかのイメージを加えていて。ただ、動物だとモチーフの強さでどのライダーが強そうかわかってしまう恐れがある。例に挙げると、鳥なら鷹が最強、肉食動物ならライオンが最強とか。そんな中「フルーツ」はどうですかという話を持っていったら、みんなの間で何のフルーツが好きか、という話が始まって……。
武部:フルーツで話が盛り上がったんですよ(笑)。子どもはどんなフルーツが好きだろうとか。「仮面ライダー」でフルーツというのは、今までなかった題材ですから、これはぜひやってみたいという声が各所から上がってきて。私としては「いいけど、フルーツでも(ライダーは)カッコよくしてください」とお願いしました。
大田原:そうなると、カッコいいのは大事ですね(笑)。
西澤:変身前にフルーツが降ってくるというコンセプトはユニークですけれど、変身後を見ると、まさかフルーツが変形したようには思えない――というものにしたかったんです。
武部:それが実現できるならぜひやりましょう! ということで走り出しました。
西澤:頭上から大きなオレンジが降ってきて、それを被る、そして"変形"という変身のアイデアが出てきて、フルーツ状態の画を一瞬でもいいから映したい、という話になったんです。
武部:そのアイデアを聞いて、第1話の田﨑(竜太)監督がノリノリになって(笑)。「絶対これ(フルーツを被る)だ! これが今回のすべてなんだ」と(笑)。テレビ朝日さんも「これだ!」と言われるようになり、あのフルーツ変身が番組全体の目玉にまで成長します。
大田原:番宣CMやweb動画などでも、フルーツを被った状態で画面が止まって「この続きは放送を!」みたいな、大プッシュをしていました(笑)。
西澤:実際、あそこまでフルーツ変身をプッシュしていただいて、僕たちとしてもビックリしましたが、インパクトに拍車がかかったのは間違いないです。
武部:私は根が真面目なので、大丈夫かな……って心配ではありましたが(笑)、思い切ったのがよかったんでしょう。
――鎧武だけでなく、バロン、龍玄、斬月、ブラーボなど、すべてのアーマードライダーがフルーツを上から被り、ワンタッチで展開してヨロイになるという仕組みで統一されているのがすごいです。それでいて、変形のパターンが色々あって。
西澤:鎧武の「オレンジアームズ」のように左右対称な変形だけでなく、シグルドの「チェリーエナジーアームズ」みたいな左右非対称のもの、デュークの「レモンエナジーアームズ」のようなマント状になるものなど、バリエーションがつけられています。
武部:ライダーの場合、『スーパー戦隊』チームの『DXトッキュウオー』のように、商品見本を見ながらの提案とか、あまりなかったかも。
西澤:確かに、武部さんとの打ち合せはほぼ二次元の中で済んでいた(笑)。
武部:『鎧武』のライダーたちは『アームズチェンジシリーズ』(全身可動フィギュア)として商品化されるものが決まっていて、いくつかは商品化されないはずだったのが、番組で人気が出たことにより後から商品化が決まったものがあります。
西澤:商品化が決まっていないライダーも、デザイン段階でフルーツの変形は考慮に入れていますから、あとはどう再現するかを突き詰めればいいだけなんです。