東映とテレビ朝日が制作する『仮面ライダー』と『スーパー戦隊』シリーズ――この2大特撮作品の劇中に登場するキャラクターや変身アイテム、巨大ロボットなどの商品開発・販売を行っているバンダイ。同社がキャラクター商品の企画、開発を手がけるという連携の歴史は、1971年にまでさかのぼる。当時、社会現象とまで言われた"変身ブーム"のけん引力となった『仮面ライダー』。その劇中に登場する仮面ライダー1号の変身ベルト「タイフーン」を商品化した『光る! 回る! 仮面ライダー変身ベルト』を開発したのは、当時バンダイグループのキャラクター玩具事業メーカーとして設立された「ポピー」(後にバンダイに吸収合併)だった。

左から武部直美プロデューサー(東映)、西澤清人氏(バンダイ)、大田原智康氏(バンダイ)、中野拓氏(バンダイ)、宇都宮孝明プロデューサー(東映)

ポピーが東映グループと組んで送り出したヒットキャラクター商品は数知れず、「超合金」「ポピニカ」といった2大ブランドが生まれ、一時代を築き上げた。「ポピー」の精神はその後「バンダイ・ボーイズトイ事業部」などに受け継がれており、キャラクターやアイテムを劇中イメージそのままに商品化するといったポリシーもまた、変わらず貫かれている。このように長い歴史を持つバンダイと東映、そしてテレビ朝日との強固な連携とノウハウの積み重ねの結果は、『仮面ライダー』シリーズの変身ベルト玩具が「日本おもちゃ大賞」のヒットセールス賞を3年連続で受賞(2014年は『DX戦極ドライバー』)するなど実績となって表れている。

ヒット商品を映像作品と連動させる意義、玩具の魅力を伝える映像作品作りにどのような苦労と努力が隠されているのか――今回は、現在公開中の『仮面ライダー鎧武 サッカー大決戦!黄金の果実争奪杯(カップ)!』と『烈車戦隊トッキュウジャーTHE MOVIE ギャラクシーラインSOS』公開のタイミングで以下5名に集まってもらい、「仮面ライダー&スーパー戦隊の舞台裏」として、大ヒット玩具やヒーローの今を聞いた。

・武部直美プロデューサー(『仮面ライダー鎧武/ガイム』プロデューサー)
・宇都宮孝明プロデューサー(『烈車戦隊トッキュウジャー』プロデューサー)
・中野拓氏(ボーイズトイ事業部・戦隊チーム リーダー)
・西澤清人氏(ボーイズトイ事業部・ライダーチーム リーダー)
・大田原智康氏(ボーイズトイ事業部・事業戦略チーム サブリーダー/プレミアムバンダイ 兼 WEB担当)

絶好調『トッキュウジャー』の成り立ちを探る

――今回はお集まりいただきありがとうございます。そもそも『仮面ライダー』チーム、『スーパー戦隊』チームが一緒にお話しをするということはあるのでしょうか。

武部:バンダイさんのチームだけでしたら割とあったかもしれませんが、私たち東映を含めるとそんなにないことかもしれませんね。

西澤:実は初めてかもしれないですね。

――早速ですが、ファンの方々は『仮面ライダー』や『スーパー戦隊』の企画がどのように立ち上げられ、その中で玩具開発がどのように進んでいくのか、という部分に興味を持っていると思いますので、そういったところからお話を進めてまいりましょうか。

中野:2009年の秋の『仮面ライダーW』から、『仮面ライダー』と『スーパー戦隊』の番組時期は半年ほど違っています。

武部:『鎧武』は昨年の10月からスタートして、いよいよこの夏はクライマックスに向けて、大きく盛り上げなければならない時期です。一方、今年2月スタートの『トッキュウジャー』は、夏の劇場版でちょうど一年の折り返し地点という感じです。私としても、烈車戦隊の開発秘話が聞きたいです。

――「スーパー戦隊」シリーズでは、恐竜や自動車、動物など、子どもたちがいつの世にも好きなものというモチーフを、ヒーローやメカのキャラクターに落とし込まれています。このモチーフというのは、どのようにして決まるものなのでしょうか。

宇都宮:ひとつに定まるまでいくつかアイデアが提案されて、その中から今度は電車でいこう、という流れです。

中野:まず子供のことを常に考えて、色々なアイデアを出し合っていきます。

宇都宮:最初から「今年は電車、列車でいこう」と定めていくわけではないです。いろんな題材を吟味しつつ、あれがいい、これいいと。そしてあれがダメ、これがダメとか(笑)。そういう中で電車モチーフに固まっていきました。当初は"烈車"というネーミングじゃなかったんですよ。

中野:漠然と電車で考えていましたね。

宇都宮:レッドのキャラクターも新幹線で考えていました。それを機関車に変更したことから、機関車だと「電車」戦隊とは言いがたいなあ、それじゃあ列車か、となると「烈車戦隊」だ! ということに。

武部:なるほど~! でも、電車の戦隊で行こうと、宇都宮くんの中で決め手になったのは、何なんですか?

宇都宮:いやあ~、いろいろ検討していくうちに、だんだん選択の余地がなくなってしまって……(笑)。