武部:発想が非常に自由ですね。ただカッコいいというのではなく、面白い、なんか笑えちゃうという方向性は企画のキーワードになります。こちらでやっている『鎧武』でも、「こういう変身シークエンスは笑えるかな?」とか、笑いをとりにいっているところもあるし(笑)。

大田原:『鎧武』のフィギュア商品(『アームズチェンジ』シリーズ)は、プロポーションもリアルでいいんですが、何より劇中と同じ変身が再現できるところがすごい。

左から武部直美プロデューサー(東映)、西澤清人氏(バンダイ)

武部:そうですね。大きなミカンを頭に乗せた状態を「ミカンを被ったミカン星人だ」なんて言っていました(笑)。そういうのが、子どもにウケるんだと思います。

西澤:『鎧武』の変身はインパクトあって、話題になりましたね。

――新番組の発表会で、新仮面ライダー、新スーパー戦隊が初公開された時、多くの人から「カッコよくない!」という声が聞こえてくる作品もあります。

武部:なんじゃこりゃ!? なんて声もあるそうですね(笑)。でも、確かに笑えるくらいユニークなキャラクターの方が、印象に残りますから。トッキュウジャーのロボ「トッキュウオー」もすごい。ボディがチョコバーみたいに縦に割れるんだから! よく思い切ったなぁって。

一同:(爆笑)

――宇都宮さんは映像作品を作る際、玩具展開をどのように組み込もうと考えられていますか。

宇都宮:僕は、あまり玩具展開が上手くないと思います……。

武部:へえ~。でも『トッキュウジャー』は意欲的にどんどん見せていこうとしているように見えます。

宇都宮:せっかくの電車型メカなので、長く連結していきたいと思ったんですよね。ロボットに合体するパーツとして、過去に電車モチーフもありましたが、一車輛ずつしか合体しなかった。これだと電車としては短い。電車だからこの際長くしようよと提案させてもらったんです。それでも、いざ商品ができあがってくると「こんなに長くしなくてもいいんじゃない?」と思ったりもして(笑)。

中野:『DXトッキュウオー』に付属する、5編成のトッキュウレッシャーを連結すると、長さは1.2メートルになります(笑)。

武部:「トッキュウオー」の合体の仕組みは、今までの合体ロボからすると斬新な気がします。積み重なる合体ではなくて、列車の縦のラインを活かしつつ、ロボの形態を維持するなんて。

中野:しかし、デザイン画の状態だと、僕たちもなかなか心配でした。ただ、最初に色のついていない立体の試作モデルを立体で見た時に「あっ、これはイケるかも!」と思いました。

西澤:僕たちもその段階で見ていました。ああ、これはいいかもしれない! って。

武部:そうですね。セオリーでいけば、お腹の部分は横向きになったり、各メカが複雑に積み重なる印象がありますけれど、これをぜんぶ縦にしたというのは、合体ロボ的には斬新ですよ。

中野:進行方向も揃えていますから、『トッキュウオー』の状態で寝かせてもそのまま走れます。そういう合体シークエンスを、テレビでもやっていただきました。映像によって、合体の仕組みが簡単だということをアピールしてくださったこともあって好評です。

武部:すごいね! それに劇中の「トッキュウオー」も、玩具のプロポーションを再現できています。

宇都宮:そこは映像側ががんばって……まあ、完全に再現できてはいませんけど(笑)。

一同:(笑)

大田原:映像の「トッキュウオー」も、演出がすごいです。合体して顔が出てくるところで、「ドアひらきま~す」なんて、ドアが開くと「トッキュウオー」の顔が見えるとか。

宇都宮:そこは、特撮監督の佛田(洋)さんがしっかりやってくださっています。あと、助監督の小串(遼太郎)さんが、すごく電車好きなんですよ。

武部:いわゆる"鉄オタ"ですね。

宇都宮:小串さんのこだわりで、本当に細かいところまで電車っぽい部分が表現されています。列車のミニチュアには、実際の鉄道みたいな番号や記号とかも書かれていて。まあ、すごく近くまで寄らないとわからないような部分ですけれど(笑)。