「コレクション」アイテム開発裏話

――「スーパー戦隊」シリーズは1年に1作のペースで長く続いています。昨年の「恐竜」から「電車、列車」へとモチーフを新しくする一方で、過去作品で成功した要素をうまく次作に受け継いでいるのも、長寿シリーズだからこそできることですね。

中野:それはありますね。『キョウリュウジャー』では、変身アイテムに使う『獣電池』が巨大ロボ『キョウリュウジン』にもセットできるようになりました。「ロボット玩具と"なりきり"を連動させる」というアイデアが、『トッキュウジャー』における合体メカ『トッキュウレッシャー』の先頭車両を、そのまま変身アイテム『トッキュウチェンジャー』に連動するギミックに受け継がれているのではないかと思います。

左から西澤清人氏(バンダイ)、大田原智康氏(バンダイ)、中野拓氏(バンダイ)

大田原:近年は『仮面ライダー』シリーズの影響もあって、『スーパー戦隊』でも変身アイテムのような、なりきり要素に力が入っています。

中野:『スーパー戦隊』の場合、巨大ロボという特色がありますので、うまくなりきりと組み合わせて発展させていきたいところです。変身アイテムとロボット、どちらかを持っていると、もう一方がより楽しくなる、というねらいで。おかげさまでこの2アイテムが非常に好調です。

武部:この変身アイテムって、どの色の『トッキュウレッシャ―』もセットできるんですか?

中野:できますよ。こちらの『DXトッキュウオー』のパーツになっている烈車の先頭車両は、どれも『変身ブレス トッキュウチェンジャー』にセットできる仕様になっています。

――『トッキュウレッシャー』シリーズは、ガシャポンと言われるコインベンダー、コンビニやスーパーで売られる食玩としても発売されています。これは『仮面ライダー』シリーズにも言えますが、近年は、特になりきりアイテムにセットする数種類のミニアイテムをコレクションする楽しさを打ち出しているように思えます。これはいつ頃から流れとして定まったのでしょうか。

中野:『炎神戦隊ゴーオンジャー』(2008年)の『炎神ソウル』が先がけですね。それ以前にも、ライダーの方でいくつかあったかな。

西澤:ライダーでは『仮面ライダーカブト』(2006年)のころに『マイザーボマー』というのを食玩で出して、武器アイテムの『ゼクトマイザー』と連動させました。

武部:ありましたね! 思い出しました。

宇都宮:『仮面ライダー555』(2003年)の『ミッションメモリー』も、そういったミニアイテムの走りでしょう。

左から武部直美プロデューサー(東映)、西澤清人氏(バンダイ)

西澤:そういったいろいろな試みを経て、本格的に変身アイテムとガシャポン、カード、食玩などの連動がスタートしたのは『仮面ライダーディケイド』(2009年)からですかね。

中野:消費者とのタッチポイント(接点)を増やすことで、子どもたちの生活環境のどこにでもミニアイテムがあり、そこからメインの玩具へと繋がっていければ、というねらいです。

武部:『ゴーオンジャー』の炎神ソウルは、CD特典になっていたのを覚えています。

――ミニアイテムそのものに音声ギミックが入れられ、メカやロボ、銃などに装填すると独自の音と光を放つ『炎神ソウル』は大ヒットしました。この流れはのちに『仮面ライダーW』(2009年)の『ガイアメモリ』に継承され、続く『仮面ライダーオーズ』(2010年)の『オーメダル』になると、テレビのニュースでも取り上げられるほどの社会現象になったほどで

大田原:やはり、同じコレクションアイテムでも、シリーズごとに変化をつけているところがヒットの理由かもしれません。

西澤:『ガイアメモリ』は単体に音声を仕込んでいますが、次の『オーメダル』には、ベルトの『DXオーズドライバー』に音声ギミックがあったりします。

中野:毎年、目先を変えることによって子どもたちの興味をひく努力をしています。今やもう、コレクションアイテムは、この手の商品には欠かせないものです。