左から西澤清人氏(バンダイ)と大田原智康氏(バンダイ)

西澤:確かに強いニーズがあります。コレクションアイテムに代わるヒット商品のアイデアがあれば、いろいろな商品展開が考えられますが、子どもたちが喜んでくれている間は、この流れを止めず新しいものを開発していきたいです。

武部:『鎧武』のアイテム『ロックシード』の場合、食玩やベンダーで出ている『サウンドロックシード』はギミックが音声のみで、価格を抑えているんですよね。でも、玩具売り場にある『DXロックシード』は発光もしますから少々値段もお高い。なので、最初は「『DXロックシード』は大丈夫かな……」と思っていましたが、食玩などが発売されてから、DXの売り上げがすごい勢いで上がったらしいです。

西澤:最初、食玩を買って「光る方も欲しい!」と思ってDXに興味を持ってもらう、という流れができたんでしょう。

仮面ライダーの主力「変身ベルト」人気の秘密

――『鎧武』といえば、変身ベルト『DX戦極ドライバー』が「日本おもちゃ大賞」でヒットセールス賞を受賞され、『仮面ライダー』シリーズとしては3年連続です。

大田原:『DX戦極ドライバー』は音と光もさることながら、『ロックシード』を刀で"斬る"ギミックや、フェイスプレートが交換できるなど、盛りだくさんです。

武部:ライダーのベルトも、1作ごとに変化をつけています。前作の『仮面ライダーウィザード』(2012年)が、どちらかというとスマート、シンプルな作りだったので、今回はガチャガチャ動かして遊べるものはどうでしょう? と。

西澤:そうですね。その前の『仮面ライダーフォーゼ』(2011年)の『DXフォーゼドライバー』が、ベルト自体にガチャガチャ遊べるギミックがあったので、宇都宮さんとつくった『ウィザード』の『DXウィザードライバー』では、ベルト本体をシンプルにしました。

宇都宮孝明プロデューサー(東映)

宇都宮:魔法使いライダーのウィザードでは、ベルトから呪文が出てくるから、戦いの時はずっと喋っている印象。よく「黙ると死ぬベルト」と言われて(笑)。

武部:『オーズ』の『DXオーズドライバー』も、ベルトに装填したメダルをスキャニングするだけでシンプルでした。そういった法則性があるかも。

西澤:やはり直近の作品とは印象を変えたい、という思いが開発側には『スーパー戦隊』シリーズと同じくありますので、今回の『DX戦極ドライバー』は、できる限りガチャガチャ遊んでもらえるようなベルトになっています。

前代未聞のフルーツライダー誕生秘話

――『仮面ライダー鎧武』は、フルーツを模した鎧を装着する戦国武将ライダー、というコンセプトが非常に斬新でしたが、「フルーツ」と「武将の鎧」という、一見ミスマッチな発想はどのあたりから出てきたのでしょうか。

西澤:まず、武部さんとの打ち合わせでは、ざっくばらんに色々なアイデアが出てきました。

武部:まず初めにやりたかったのは、"多人数ライダー"で行きましょうということ。最近のライダーシリーズでは、いわゆる主役ライダーと2号ライダーの2人体制が定着していましたから、久しぶりにライダーがたくさん出てきてしのぎを削る展開にしたいなって。次に、多人数ライダーをやるなら「戦国武将」でいきたいと提案したんです。でも、それだけだと普通にカッコよくなるから、もう一つ手を加えたいということになって……。

大田原:カッコよくていいんじゃないですか?(笑)

武部:カッコよくなりすぎるのは……。

西澤:そうなんです。カッコいいに加えて、何かひっかかる面白ポイントを加えたい。その時も、恐竜や昆虫を隠しモチーフで入れようとか、いくつか案が出ました。