霧島温泉郷(鹿児島県)
温泉の滝が流れる、神仙境に湧く湯
温泉の滝というのを初めて見た。霧島で「丸尾の滝」を前にした時である。滝からはもうもうと湯煙がたち、湯しぶきが風に舞う。
霧島は、天孫降臨、すなわち初めて神が地上に降り立ったと伝えられる神話の里。霧島活火山帯の周辺に10以上もの温泉地があり、泉質も様々だ。
霧島神宮の門前に広がる霧島神宮温泉郷は、良質な温泉と湧水があちこちから湧き出ている。このあたりの自然の美しさは、桃源郷のようと言っても大げさではないかも。湯はかすかな硫黄の匂いがあり、白濁した湯が肌にすーっとなじんで心地よい。
霧島温泉郷の中で「飲む温泉」として有名なのが関平温泉。天保3年(1832)から飲み継がれているという鉱泉で、霧島山麓に湧出し、高熱の地下深くをつたい、多くのミネラルがとけこんでいる。源泉には近づけず、ボトルやパック詰めしたものを買うしかないが、スッキリと澄んだ味わいでおいしい。飲用では胃腸病に、浴用では神経痛や筋肉痛に適している。
関平(せきひら)温泉 鹿児島県霧島市牧園町三体堂2057-8
TEL:0995-78-4012
霧島の自然の中で飲泉を楽しむなら、妙見温泉へ。天降(あもり)川・新川渓谷に自然噴出する湯で、シュワシュワッとはじける炭酸泉がある。10軒余のすべての宿が自家泉源をもち、かけ流し。飲泉場を備えた宿も多い。
「妙見石原荘」は自家泉源を4本もち、水で薄めず、空気にも触れさせず、地中からの温泉をそのまま味わえる。飲用では慢性消化器病、糖尿病、痛風、肝臓病などに。渓流の岩場に野趣あふれる露天風呂がある。
霧島は坂本龍馬と"おりょう"が新婚旅行をした土地。二人は妙見温泉も訪れている。神々の息吹と歴史ロマンを感じつつ、湯巡りを楽しむのもいい。
妙見(みょうけん)石原荘
鹿児島県霧島市隼人町嘉例川4376番地
TEL:0995-77-2111 飲用:可
この記事に掲載されている全ての旅館・宿の情報は取材時(2008年8月末)のものです。その後、詳細が変更する場合もありますのでご了承ください。