熊野本宮温泉郷(和歌山県)

おいしくて美肌になる湯。温泉粥が名物

湯のよさで忘れられないのが、熊野本宮温泉郷である。日本最古の湯とされ、今も山深い秘境の雰囲気を保っている。湯の峰温泉、川湯温泉、渡瀬温泉と3つの温泉があり、それぞれ泉質が違う。

熊野詣での湯垢離場として栄えた湯の峰温泉は、薬湯として名高い。硫黄の匂いのある、やや白濁した湯で、浴用の効能はリュウマチ、胃腸病、皮膚病で、美肌効果も。自噴泉の井戸「湯筒(ゆづつ)」では、卵があっという間にゆであがる。源泉の温度が約90度と高いのだ。そばにある公衆浴場「つぼ湯」は、小栗判官の蘇生伝説で知られ、七色に変化するという神秘の湯。浴場として唯一の世界遺産でもある。飲泉所は公衆浴場入り口にある。

川原にある公衆浴場、つぼ湯

湯の峰温泉公衆浴場(つぼ湯・薬湯)
和歌山県田辺市本宮町湯峰
TEL:0735-42-0074 飲用:可

湯の峰温泉で旅館第一号は「あづまや」。フランスの作家アンドレ・マルローが絶賛した宿で知られる。湯の峰の宿の中で唯一自家泉源をもち、各部屋の洗面台の蛇口から出るのも、飲める温泉。料理にも使われ、温泉で炊いた粥は香りよく、身体にやさしくしみわたる。温泉コーヒーも深い味わい。そもそも生の温泉がおいしいのだ。滞在中は心なしか胃腸がさわやかだった。築80年の檜造りの大浴場は日帰り入浴も可能。

(上)湯の峰の老舗旅館、あづまや(右)檜が香るあづまやの内風呂

あづまや
和歌山県田辺市本宮町湯峰122
TEL:0735-42-0012 飲用:可

川湯温泉は、大塔川の川原に湧き出す天然露天風呂。川原をスコップで掘ると自家製露天風呂ができあがる。11月~2月の冬期には川の一部をせきとめた「仙人風呂」が出現。さらりとした透明な湯で、川底からぼこぼこと温泉が湧きだすのが肌に当たり、肌がすべすべになる。飲泉できる宿が川沿いにいくつかあり、飲用では胃腸病に適している。

川湯温泉(仙人風呂)
和歌山県田辺市本宮町川湯
TEL:0735-42-0735(熊野本宮町観光協会) 飲用:可

熊野の冬の風物詩、川湯温泉の仙人風呂

渡瀬温泉では、「クアハウス熊野本宮」に飲泉所がある。温泉成分が長年の間に固まって岩のようになり、温泉パワーを物語っているようだ。熊野に行ったら、この3つの湯を入り比べ、飲み比べしてみるのもいいだろう。

クアハウス熊野本宮
和歌山県田辺市本宮町渡瀬45-1
TEL:0735-42-1777 飲用:可