連載『住まいと安全とお金』では、一級建築士とファイナンシャルプランナーの資格を持つ佐藤章子氏が、これまでの豊富な経験を生かして、住宅とお金や、住宅と災害対策などをテーマに、さまざまな解説・アドバイスを行なっていきます。


考えよう! 住まいの役割とはなにかを! ~住まいは生命と財産を守る器~

家族の生命と財産以上に大切なものはありません。「住まい」は、それを守る器です。明日にも起きるかも知れない大地震に対して、親として子供を守らなければなりません。住まいの耐震性能が問題ありと思うのであれば、直ちに詳細を把握して対処しなければならないはずです。

『住まいと防災』シリーズの第1回に、災害の種類を表にしてあります。皆様の住まいが受けるかも知れないと想定される災害はどれとどれでしょうか。自然環境だけでなく、社会環境の項目にも地震と関係するものが多くあります。この災害リスクに対する住まいの性能が充分でなれければ、改修が必要となります。改修には費用がかかりますが、生命ほど重要なものはないはずですので、住まいの性能に対する状況把握とともに、徹底的に節約してでも費用の捻出をしなければなりません。補助金の有無等も確認ください。

(※参照:住まいと安全とお金 第1回『住まいと防災(1)--考えなければならない防災とは?』)

国や自治体がネット上で提供している情報は貴重~情報はできるだけ生のものを~

ネット上には政府や自治体、外郭団体等による防災データがいろいろ掲載されています。防災の心構えから詳細のデータまで様々ですが、このコラムを通じて最終的には是非、直接生のデータに触れてください。このコラムはそのための水先案内人だと思っています。

現代はいろいろな情報があふれています。雑多な情報が飛び交う中、とかく末端の情報に左右されがちです。大切な事柄に関しては、できるだけ直接的なデータに触れる事を習慣付けてください。新聞で気になる情報を見つけたら、図書館等で数紙を比較してみてください。さらにデータ元のHPを検索して、より詳細の情報をチェックしてみてください。命にかかわる情報が最も重要な情報なはずで、一生の中で、そのような重要な情報はそれほど多くはありませんので、その時くらいは徹底的に情報収集ができるはずです。

防災情報問合せ先(コンサルタントオフィス ハウステージ 2015.03.05改訂)

住まいの性能は何で決まる? ~住まいの性能は最も弱い部分で決まる!~

国の性能表示制度では、性能評価は10項目あります。耐震性能に直接大きくかかわるのは以下の築年数、地盤、構造体、管理の4つの項目です。弱い地盤に適切な事業や基礎が施されていなければ、その他の性能が高くても意味を成しません。過去にリフォームが行われている場合、壁や柱を撤去していることが少なくありません。阪神淡路大震災では、隣り合わせに建っていた全く同じ間取りの分譲住宅が、その後のリフォームの違いにより、倒壊と補修で済む状態の明暗を分けた事例が報告されています。

建物の性能のチェック項目

(C)佐藤章子

ネットで簡単チェック! 我が家の耐震性能~簡単な事から動き始めよう!~

我が家がどの程度の耐震性能があるかの判断は、なかなか難しいものです。地方自治体では診断の補助や診断機関の斡旋を行っているところもありますが、ますは自分で診断してみましょう。国土交通省監修の『だれでもできるわが家の耐震診断』は、文字どおり誰でも簡単に自分の家の耐震性能をチェックできます。

リーフレットになっているものと、ネット上で診断するタイプの二通りあります。診断項目は10項目で、どのような部分が耐震性能に影響するのかがわかりますし、簡単なチェックでおおよそ自宅の耐震性能がどのレベルかが分かります。専門家に依頼する前に自己診断しておくと、建築士の説明も理解しやすいと思います。あまりに結果が悪ければ、耐震リフォームが待ったなし! と言うことも理解できます。また余談ですが、中古住宅などを購入する時に、図面などから耐震性能を診断するのにも利用できます。

誰でもできるわが家の耐震診断 国土交通省監修

誰でもできるわが家の耐震診断(国土交通省インターネット版)

<著者プロフィール>

佐藤 章子

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。